mixiユーザー(id:1742219)

2015年07月02日08:56

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「天の茶助」

感動作品かと思ったが、そうではなくファンタジー作品だった。
ただ、もう少しきちんとプロットを詰めた方が良かったんじゃないかと思った。

天界では何人もの脚本家が人間の人生のシナリオを書いていた。
シナリオはすべての人間に関連し、一人が適当な事を書くと他の人の人生に影響を与えてしまう。
茶助(松山ケンイチ)はその脚本家たちにお茶を入れる仕事に就いていた。

そんなある日、茶助の一言である女性の運命が変わろうとしていた。
その女性はユリ(大野いと)と言う名前で、茶助も常日頃から気に掛けていた女性だった。
茶助は数人の脚本家から依頼され、ユリを護るべく天界には内緒で下界に降り立つ。

いきなり下界に降り立った茶助を助けるのは、骨董店を営む種田(大杉漣)とラーメン店を営む
彦村(伊勢谷友介)だ。
この二人のシナリオを書く脚本家に助けられ、茶助はなんとかユリの命を救う。
しかしその過程で、茶助は天界の人間が持つ不思議な力を使ってしまう。
その力の一つに、病気を治す能力があった。
茶助の能力は口コミで伝わり、間借りする種田の骨董店の前には毎日行列ができるようになる。
やがてTV局もその能力に注目し、番組出演する事になってしまった。
茶助は渋々出演を承諾するが、そのスタジオにユリの命を狙う者が進入する。
茶助が下界に降りてユリの命を護っていることを、天界の人間に気付かれてしまっていた。

映画のテイストとしては、「嫌われ松子の一生」に近いかもしれない。
壮絶な過去を背負った人たちが、その過去を引きずりながらエピソードを織り重ねて行く。
どの登場人物の過去も、普通ではあり得ないほど過酷なものであるが、コミカルな演出で見せている。
そのあたりも「嫌われ松子の一生」に近い。

舞台を沖縄に設定、ファンタジー感を強めている部分は良い。
茶助が不思議な力を使った段階で、もっとマスコミが押し寄せてきたり、あるいは治療行為という事で警察の捜査が入りそうな気もするが、ファンタジー感をきちんと保っているのでそのあたりもあまり気にならない。

ただ、ストーリーの軸となる茶助のユリに対するモチベーションが、やや希薄に思える。
中盤、ユリ以外のエピソードを盛り込みすぎており、茶助がそのエピソードに振り回されてしまって、肝心の映画の主軸が見えづらくなってしまっている。
そうならないよう、序盤からユリに対して茶助本人も説明できない不思議な想いがあった、というような見せ方にした方が、ラストもスッキリしたんじゃないかと思う。

サラッと観る事ができ悪くはないと思うが、ストーリー自体に感動作品の要素が多かったので、もう少し泣ける演出を増やして重みを増した方がよかったのではないかと思った。


60.天の茶助

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