深夜の原生林は真っ暗で少し怖いほどだ。遠くに聞こえる梟の鳴き声も夜の山の深さを一そう感じさせる。さいわい今回は梟の鳴き声だけで森の奥深くから女性の笑い声などは聞こえてこない。しかし一旦虫取りに集中し出すと深夜の徘徊は楽しい、何より昼間より圧倒的に虫の姿が多い。セダカコブ、オオキノコ、ゴミダマなどはほとんど夜行性であり、交尾行動なども自然な生態観察ができる。
昨日シイタケホダ木採集の成果
ツシマヒサゴホソカタ、ヨコミゾゴミダマは沢山いたがその他の虫は少ない。
5日 今日も朝から強い日差しが日中の高温を予感させる。今日は今までに行ったことのない場所を中心に車で流しながらポイントを探すこととする。とりあえず厳原近くの上坂公園を目指す。小さな山のてっぺんが公園となっており、蛾屋さんのライトトラップポイントとして有名な場所の様である。照葉樹林を適度に人手が加えられており、採集環境としては良い感じのする場所だ。叩き始めると以外に虫の姿が少ない。季節的ことより朝方の気温が低いのと乾燥がきついのが原因と思われる。林内の落ち枝をたんねんに叩いていくが落ちてくるのはダニくらいで収穫には結び付かない。最後に立ち枯れの根際からハガタホソナガクチキを1頭拾ったのが成果と言えようか。羊さんはカトウヒメナガクチキを落としていた。地元ではかなり稀な種だが対馬ではやや個体数が多そうで採集できる機会がやや多いようだ。
その後は車で流しながらわずかに咲き始めたシイの花掬いや伐採地を見つけて小時間づつ採集。昨年伐採の古伐採地のひこばえスイーピングでヨスジアオカミキリを始めて採集。思いのほかグリーンメタリックが強い美麗なカミキリだった。
ゆっくり走りながら白嶽へ到着も、ここから登山するだけの元気も無く、裾野の小さな林道を見つけて潜りこむ。2次林ながらも多様な環境があり良さげに見えるのだが、虫の数は少ない。ツツヒラタを1頭叩き落したが、かつての珍品も最近ではナラ枯れとともに低地の雑木林にも進出中とあって感動は小さくなってしまった。
白嶽の岩峰を眺める
小さな間伐地
どこにでもいるヒゲオヤジだけが元気に走り回る
林床に咲くランをあちこちで見かけた。
夜の採集は大星山林道へ。灯火で某コガネムシを狙うが白布を張る前から冷たい風が吹き、とても期待はできそうにない状態だ。暗くなるまで車中でうたた寝をして過ごし、暗くなってから採集はもっぱら川原に降りて石起こしを行う。マルクビゴミが多くあちこちで走り回り、ときおりツシマナガゴミやコメツキが彩りを添えてくれる。粘るほどの成果は期待できそうになく、早めの撤収とした。
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