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2015年03月07日08:46

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ゆとり世代の愛国心[読書日記513]

題 名:ゆとり世代の愛国心 世界に出て、日本の奇跡が見えてきた
著 者:税所 篤快(さいしょ・あつよし)
発 行:PHP新書
価 格:820円+税(2014年9月第一刷第一刷発行)
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新聞の書評で取り上げられていた本です。
1989年(平成元年)生まれの著者が、海外に出て知った、日本の姿や自身が海外で展開している事業について語っています。

見返しの「内容紹介」を紹介します。
"「日本に生まれて幸せだ」――世界を股にかける平成生まれの若手起業家は、心の底からそう感じる瞬間に出会った。(略)
経済的に墜ちゆく1990年、2000年代の日本を少年はどのように見て育ったのか。そして世界へ出て数々の理不尽に遭遇し、日本人へのリアルな態度を味わって、はじめて客観的に日本の真の姿が見えてきた。
箱庭にいるだけでは気づくことができない、ホンモノの「愛国」のかたち"

著者が「日本はすばらしい国だ」と感じたシーンを引用します。
"海外で活動していると、世界じゅうで日本人であることの恩恵を感じることができる。
たとえばタクシーに乗ったとき、ドライバーから「おまえは中国人か、韓国人か。それとも日本人か」と聞かれることが多いのだが、「日本人だ」と答えると、「日本人か! おまえたちはナイスだ!」と満面の笑みを返してくれる。
途上国の人々にとっては、戦後の焼け野原から力強く復興した日本は、いまでも驚異の存在であり、自分の国が参考にできる点はないかと貪欲に学ぼうとしている"(7p)

目次を紹介します。
 はじめに――「ゆとり世代」は日本を恨んでいるのか?
 第1章 僕たちは「ぶざまな大人たち」を見て育った
 第2章 世界が僕にくれたホンモノの愛国心
 第3章 英語ができないからこそ気づけたこと
 第4章 日本の学校では教えてくれなかった世界
 第5章 日本はたしかに世界から尊敬されている
 第6章 「ゆとり世代」と呼ばれて
 第7章 「国ではない」ソマリランドから日本を眺めて
 おわりに――ほんとうにすごいのは日本というシステムだ

著者が海外で初めて実行した初の事業が「e-Education」。
バングラディシュで、貧しい村の子供たちに映像授業を通じて教育の機会を与えるプログラム。初年度からバングラディシュの東大と言われるダッカ大学への合格者を出したそうです。
著者自身が高校の押しつけ教育に反発し落ちこぼれだったところ、東進ハイスクールのDVDで授業を閲覧する映像授業に出会い、早稲田大学に進学できたとのこと。
「僕にとって運命の出会いだった」と書いています。
そして、その方法を現地に応用し、「e-Education」ができたという経緯です。

日本人が海外で尊敬されている理由が「第5章 日本はたしかに世界から尊敬されている」で解説されています。
"彼(「ベンガルの賢人」とも呼ばれるバングラデシュ工科大学教授のモザム・フセイン先生)の言葉は重く響く。
「バングラデシュ人に日本企業、韓国企業、中国企業のどこで働きたいかと聞けば、ほぼ同じ答えが返ってきます。
一に日本企業、二に韓国企業、三に中国企業です。日本人と接するなかで、『横柄な態度をとらない』『われわれを見下さない』『嘘をつかない』『約束を守る』といった経験をもっている人たちはたくさんいます。
ビジネスのパートナーとして、日本人は絶大な信頼を勝ち得ているのです」"(147p)

最後に、「e-Education」への参加者を求めて著者が2014年1月に『日本経済新聞』に載せた広告のコピーを引用します。

"求む若者。
報酬なし。
見知らぬ大地に縁者なし。
成功の保障なし。
されど人生最大の挑戦は約束する。
映像教育革命。
途上国、三十ヵ国展開。
最高の授業を世界の果てまで届けよう"(256p)

南極探検隊隊長アーネスト・シャクルトンの募集広告、「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生命の保障なし。成功の暁には名誉と賞賛を得る」の文章を借りたそうです。

著者が行った「海外」はいわゆる途上国が多く、バングラディシュを皮切りにコソボ、ソマリランド、ヨルダンなど。
発展途上なだけでなく、命の危険を伴う場合もあります。
そんな国々で頑張る若者がいることに感動しました。

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税所 篤快(さいしょ・あつよし)
1989年生まれ。東京都足立区出身。国際教育支援NGO「e-Education」創業者。ロンドン大学教育研究所(IOE)修士課程在籍。
失恋と一冊の本をきっかけに2009年バングラディシュに渡り、19歳でグラミン銀行の研究ラボ「GCC」初の日本人コーディネーターに。
同国初の映像授業「e-Education Project」を立ち上げ、貧困地域の高校生を四年連続で国内最高峰ダッカ大学に入学させる。2014年世界銀行本部イノベーションコンペ最優秀賞を受賞、現在はバングラデシュ教育省と連携して同国全土への事業拡大をめざす。また、仲間たちと五大陸での教育革命を掲げて七ヵ国で展開中。
早稲田大学を七年かけて卒業、アフリカの未承認国家ソマリランドに活動を広げている。
著書に『前へ!前へ!前へ!』(木楽舎)、『「最高の授業」を、世界の果てまで届けよう』(飛鳥新社)がある。

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