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2014年11月20日15:34

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ハジメテのスガシカオLIVE

スガシカオ ライブ 「NEXT ROUND TOUR 2014」
  大阪 堂島リバーフォーラム 11月18日(火) 19時

彼はもうデビュー17年(インディーズデビューからはもうすぐ20年)になるそうで、昔から知ってはいたし、けっこう好きだけど、特にアルバムは持ってなかった。SMAPへの楽曲提供とか、バービーボーイズの杏子や山崎まさよしとコラボした「福耳」のヒット、NHK「プロフェッショナル」やニュースZEROのテーマ曲など、すごいヒットメイカーだけど、知っているのはまだまだ彼のほんの一部だ。

スガシカオはオフィスオーガスタの看板アーティストだったが、そこをやめてここ数年インディーズの活動が続いた。ツアーに関してはUKのライブハウスでライブをしたり国内でもけっこう小さなハコで地道にライブをしていたらしい。レコーディングよりパフォーマンスをやりたい人なのかも。
今回のツアーはそんなインディーズの下積みから再びメジャーデビューを果たしたということで、再起をかけて「NEXT ROUND TOUR」と命名されている。いろいろな過去を精算して本当に自分のやりたいことが見えてきた。さぁ次のステージへ行くぞ!という彼の意気込みが感じられる。

ライブはすごいハードなファンクでびっくり。今回初ライブに行くことになって予習のために彼の過去のアルバムを聞くうちこの人はすごいファンクが好きでライブではファンクをやりたいんだとわかってきたけど。オールスタンディングでずっとノリノリ。終わったら足腰ががくがく。スタンディングはもうこの年ではかなり辛くなってきた(笑)。

彼は最初からメジャー街道を歩いてきたわけじゃなく、一度はミュージシャンを諦めてサラリーマンをやっていた。メジャーデビューもふつうより遅い苦労人なだけに独立したのも何か考えてのことだろうと思う。

スガシカオの世界で特徴的なのは、自尊心は高いが自分に自信がないイマドキの小さい男の心情を歌っていること。そういう男は自分が嫌いと言いながらほんとうは自分が好き。煩わしい人間関係。いい人ぶるのも疲れるが誰ともつるまずに一人で生きていく勇気もない。
実際100%裏表のない人、100%きれいな心の人なんていない。誰かを信じたいけど信じられない。警戒心が唯一自分を守る手段だ。がたまに、「はきだめに鶴」のような清廉潔白な人に出会う。その人はこんなつまらない自分にもわけ隔てなく優しく接してくれる。そんなマリア様のような人に出会ってしまうと心が溶けそうになる。無防備にその人の懐に抱かれたいと思う。だけど悲しいことに愛する事を知らない自分は、相手がいい人であればあるほど劣等感でいっぱいになり、そのマリア様にも悪態をついてしまう。彼女を傷つけることで愛が本物かどうか確かめようとする。彼女の涙を見て安心する。

「THANK YOU」

ねぇ 明日 死んでしまおうかしら… もどかしいこと全て のあてつけに
君の心ゆれますか? ぼくのことで後悔してくれますか?
ねぇ それ以外の やり方で どうすれば神にすぐなれる?

感じわるいかしら… ...でも何もかもが気に障るのです
君の涙落ちますか?あのニブいくそ野郎も泣くかしら
ねぇもう少しお手軽に神になるにはどうすればいいの?

そばにいて そばにいて そして僕の味方になって
許さない 許せないけど 君にいてほしいの

ありがとう ありがとう いつも抱きしめてくれて
ありがとう ありがとう 僕にうそついてくれて・・


彼の曲の歌詞に含まれる毒の中に、私達は自分の中の毒やいやな部分、悪魔の部分を見る。
ときに女性人称で詞を書いていることもあるが、彼の描く女性は男に比べるとドライで優しくて包容力がある。男のほうがしつこくて諦めが悪くてネガティブ。女は意外にあっさりしていて前向き。そんな女の本質を彼はよく理解しているようだ。女性の懐の深さに甘えてるだけの小さな自分。夢はあるけど現実に埋もれている弱い自分。でも頑張ってるんだ。そんな男の声なき声を彼は代弁している。

彼は風貌もニュートラルだけど、きっと男と女どちらにもなれるんだろう。神経症的な人間、変態的な人間の歌も多い。ネガティブなのかと思ったらすごいポジティブな歌も書く。躁と鬱が同時に存在する。基本的に多重人格的。でもそれはまさに現代人のパターンだから多くの人の共感を得るのだろう。 
すいぶん前だけど、村上春樹がスガシカオの「黄金の月」をとりあげて、この人いいね、といっている。確かにスガシカオは聴きこんでいくうちに、村上春樹の文体と類似した世界観があると感じる。
http://murakami-haruki-times.com/tsukitoknifetoougonnotsuki/


「黄金の月」

ぼくの情熱はいまや 流したはずの涙より冷たくなってしまった
どんな人よりもうまく 自分のことを偽れる力を持ってしまった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
知らない間にぼくらは真夏の午後を通り過ぎ 闇を背負ってしまった
その薄明かりの中で 手探りだけでなにもかもうまくやろうとしてきた

君の願いと僕のウソを合わせて 6月の夜 永遠を誓うキスをしよう
そして夜空に黄金の月を描こう
ぼくにできるだけの光をあつめて 光をあつめて

僕の未来に光などなくても
誰かがぼくのことをどこかで笑っていても
君の未来が醜くゆがんでも
僕らが二度と純粋を手に入れられなくても


「月とナイフ」

ぼくの言葉がたりないのなら 胸をナイフで裂いてえぐりだしてもいい
君の迷いと言い訳くらい 本当は僕だって気づいてたのさ

いつかまたあんなふうに誰かを憎むのかな
だとしたら もっともっと抱きしめて 刺のように心にささればいい
あなたにずっとずっと残ればいい

今さら何も言わないけれど 君の言葉は全部ウソでいいんだろう
こんなことばかり繰り返していたら 僕の涙はいつか月に届くだろう

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今年配信された曲「傷口」。携帯で簡単につながって簡単に切れてしまう人間関係や恋愛。自分はすごくつらいのに相手はなんとも思っていない。そんな思いの違い。価値観の違いに傷つく恨みがましい男の気持ちを歌っている。

「傷口」

携帯をにぎりしめたまま いつのまにか寝てしまったみたい
君のアドレス消したら ケータイ少し軽くなった

僕の中の君の存在  君のなかの僕の問題
天秤にかけたら 僕がふわりと浮いただけ

たとえば今夜の悲しみに値段をつけたとして
君から同じ分量のハッピーが消えればいいのに

君のメールはひとつづつ古い順番で消えていく
昨日までの言葉たちが無言で闇にさようなら

僕の中の君はこんなふうに殺されていきます
君の中の僕は多分100年くらいヒトリ

たとえば乾かない傷口に名前をつけたとして 死ぬまでそのひとつひとつを僕は忘れない

あの日の輝きに保存をかけたとして 一つも消さずに未来にはたぶん行けない


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こうして、スガシカオの曲の一部の歌詞を書いてきたが、すごくまともなメッセージ色の濃いものもあるし、ラブソングもある。反面すごく私的で閉鎖的なaffair、現代人の閉塞的な人間関係、うつ病やDV、偏愛やドラッグ、ストーカーを想起させるような内容の詞が印象に残る。
かなりエロい歌もある。最近配信された曲「アイタイ」はエロいというかちょっと変態的。潔癖症で人間嫌いな人がする恋愛ってこういうめんどくさいものなんだろうな。PVにはいま話題の安達祐実が出ていた。
http://tickets.yahoo.co.jp/special/sugashikao-2014/

結局のところ、私は昔からスガシカオの声と多様なメロディーが好きだ。歌詞がどんなに詩的でも、洋楽の要素がないと私は聞かないと思う。今回のライブでもロック、ハウス、エレクトリック、ファンクなど、彼の多様な音楽性が前面に出てていてよかった。


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