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2014年07月11日06:56

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「もののけ姫」(再)

「思い出のマーニー」の前宣伝として、3週連続ジブリ作品を放送するらしい。
その第一弾の「もののけ姫」を録画して見る。

「もののけ姫」も公開されてから17年、劇場で観た後は、家にDVDはあったがあまり見る機会がなかった。
理由は内容がやや教条的であるから。
シシ神を殺しに来たジコ坊はともかく、たたら場のエボシを悪役的に扱っている事がちょっと納得いかなかった。
作品の結論としては、自然も人間も優先されるものなどない、それぞれが精一杯生きればいい、である。
よそ者であるアシタカは、事実を見届ける者としてエボシもサンも否定をしていない。
自分はたたら場で生き、サンにも山で生きることを勧めている。
だがストーリーをそのまま見ると、開発を進めた人間が神の怒りを買ってたたら場を潰されているようにも見える。
ジブリ作品だけに、そう見る人も多かったのではないかと思う。

だが今この時代に見直すと、やはり奥の深さを感じる。
最初にタタリ神となったイノシシをはじめ、乙事主とその一族を決して肯定的に描いていない。
それどころか山犬やサル、コダマやシシ神に至るまで、よく見ると肯定的に描かれている物は何一つない。
むしろ女達を護っているエボシの方が肯定的に描かれているような気もする。

片面から見れば「善」であっても逆から見れば「悪」に見える、しかしどちらもそこに存在する同じ事象なのだ。
その部分をきちんと描いている。

そして秀逸なのが、キャッチコピーの「生きろ」だ。
たたら場の人々、自然、すべてに対して言えることが「生きろ」だ。
時には見苦しいほど生に執着することが、ある意味唯一絶対の「善」と言えるかもしれない。

宮崎駿はそこまで考えていないかもしれないが、見れば見るほど考えさせられる奥の深い作品だ。



83.もののけ姫(再)
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