今月は紙本がなかったな。海外のシリーズ物は尻すぼみだなあ。国内の新刊が秀でていた。
2024年6月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2757ページ
ナイス数:30ナイス
https://bookmeter.com/users/1615/summary/monthly/2024/6
■猟奇の贄 県警特殊情報管理室・桜庭有彩 (メディアワークス文庫) [Kindke]
評価は☆を与え得る限りだ。牧野修ワールドを堪能した。流石は関西SF界で「邪悪な人」と評される作者だけのことはある。これでもかこれでもかって繰り出される残虐行為と猟奇な人格。社会の裏の闇に細い光束を当てる視点。作者は日本SF大会のサイエンスバーで隣り合わせて話したことあるけど、じっくりと人の話を聞いて、穏やかな対応する良い人だった。それがネタ集めかも知れないけど。いずれにしろ、残虐で猟奇で変質的である事こそ槙の作品の醍醐味だ。
読了日:06月29日 著者:牧野 修
https://bookmeter.com/books/22045437
■繭の季節が始まる (光文社文庫) [Kindke]
松崎有理かよ! と云うくらい、表面ほんわかした語り口だけど、この作者らしく厳しい問題を語っている。現実でのこの四年ほど噴出した問題が整理して取り込まれているのが流石だ。実際問題、偽科学や陰謀論は社会を不幸にしてしまう。やってる本人は自覚はないが、稚拙で我が儘なだけだ。本作の未来に待ち受けている不幸は今現在の人類社会が背負ってる負の財産だ。声高に無責任な事を喧伝する罪を悟る助けになるディストピアSF作品だ
読了日:06月25日 著者:福田 和代
https://bookmeter.com/books/22022197
■転位宇宙 アトランティス・ジーン (ハヤカワ文庫SF) [Kindke]
並べたネタは面白いんだけど多過ぎて整理出来てなかったな。三部作の二編とは題名が変わっている最終章だけど、記述が情念的に片寄り過ぎて、SF的なトンデモ理論の広がりが阻害されている。まだまだ筆力が足りないのか。
さらに続きがあるみたいだが、ざっとした紹介を見るとあまり興味を魅かれないな。伝説的ネタに入れ揚げ過ぎている。アプローチの仕方と云うのもある。SFを書きたいのではないかも知れないが、それならそれでファンタジーを堂々と標榜すればいい。
読了日:06月23日 著者:A G リドル
https://bookmeter.com/books/11394264
■第二進化 下 アトランティス・ジーン (ハヤカワ文庫SF) [Kindke]
陰謀論に陰謀論を重ねて捩って捏ね揚げた世界観。ムー読者が大喜びしそうだ。そこに遺伝子工学やらが練り込まれて、ワクワクするSFスリラーが出来上っている。荒事・活劇も質が高い。デビュー作だと云うがレベルが高い。歴史改変ものとしても巧妙だ。時代と世代と人物が絡み合って、交錯した人間関係が見えて来てからが面白い。下巻の終わり方は敢えていろいろ説明を省いているけど、三部作の二作目で、まだ先があるのだ。完結編に突入だ!
読了日:06月19日 著者:A G リドル
https://bookmeter.com/books/11040917
■第二進化 上 アトランティス・ジーン (ハヤカワ文庫SF) [Kindke]
例えば観測が充分でなかった時代に火星人と火星の運河の存在を前提にしたSFもある。基本、事実を展開したトンデモ科学だけでもSFは成り立つんだけど、そこに妄想を基にした陰謀論が絡むと怪しい雰囲気の大活劇を招く。Y染色体のアダムとか、ナチスの南極基地とか、十万年前のオーバーテクノロジーが絡み合って、大きな陰謀が世界の裏で蠢く物語は、面白い。トンデモだから面白い。
場面の切り替えも緊張感を醸していて、人物の性格描写が際立っている。下巻に突撃だ!
読了日:06月15日 著者:A G リドル
https://bookmeter.com/books/10985186
■京新星爆発: 京都破壊SFアンソロジー [Kindke]
京の壊滅に拘ったアンソロジー。京の歴史を踏み躙るもの、京の佇まいを破壊するもの、京の存在を歴史から消去するもの、様々だ。
しかし『ガメラ・イリス覚醒』の影響は絶大だな。
殊に最後に配置された一編は、メタな構造で、この作品集自体と今日の町そのものの存立を脅かすもだった。
長い歴史を紡いでいる古い町だと云うだけではないのが京だ。平安の昔に建立された神社仏閣は、大陸や半島から齎された最新技術の粋を集めて渡来人たちが形成したものであったのだよな。
こんなコンセプトの作品集は他にも在っていいね。
読了日:06月13日 著者:京都破壊SFアンソロジー,神丘 風,鶴めぐみ,スミス中尉,荷葉詩織,グリクラーゲン,さかな,紅坂紫,横村いつき,森看板,うつこちゃん,緑わかめゼリー,青島もうじき,幼縁会,ハマムラバンリ,御神楽,都部 京樹
https://bookmeter.com/books/20162204
■デスパーク (ハヤカワ文庫SF) [Kindke]
トリック優先で書かれたからだろう、終盤に向かって整合性は怪しかった。ミステリとはそういう物だ。一つの肉体に複数の人格が共存して時間を分け合うと云うのは、田中啓文『罪火大戦ジャン・ゴーレ』でもっと破天荒な展開を見せていた。世界設定は未来の技術と倫理感で通っていた点は面白かった。ただ謎解きの場面が先にあって伏線になってないし切り詰めた展開は、ちょっと興が醒めた。全体の評価は★四つだな。
読了日:06月07日 著者:ガイ モーパス
https://bookmeter.com/books/19921985
■障害報告:システム不具合により、内閣総理大臣が40万人に激増した事象について (anon press) [Kindke]
才能はある。構成力もまあまあいい線行っている。発想は極めてSFらしい。ただなあ、助詞の使い方がおかしかったり、慣用的表現が間違っていたりは気になる。文章力をもっと鍛えて行けば、大物SF作家になれるかも知れない。推敲が出来る様にならなければ泡沫作家で終わっちゃうぞ。いいものを持っているんだから、この先期待していよう。しかしいちいち題名が長いんだよな。それも特質かね。
読了日:06月02日 著者:長谷川京
https://bookmeter.com/books/21513772
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