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2023年09月18日12:17

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『SFマガジン 二〇二三年十月号』読了

しかしなんだ、『SF入門&偏愛ブックガイド』の寄稿者の幾人かの筆名は、商業誌に乗せる様なものとは思えない。
↑ と云うような感想がもうSFじいさんなのか?

『マリのダンス』キム・チョヨプ
出だしが巧い。何が起こったかは具体的に書かずに引き込む。
モーグと云う存在とフルイドと云うシステムが齎す世界は幻想的でありVRのパロディでもある。感覚の問題と社会的問題が巧く掛合わされている。

『隕時』王侃瑜
特殊な元素によって人類の能力を強化(実は劣化なのか)させる技術が齎す異常事態。人類だけでなく世界の構造そのものに影響を与えてしまう。
相対字間と絶対時間があるのか? 時間認識で人類は変わってしまう。やがて世界は滅びに向かう。

『孤独の治療法』M・ショウ
チャック・ウェンディグ『疫神記』を思い出す様な侵略物ホラーと云うのは大袈裟か。何と云うか主人公に認識の変化がジワジワと進んで、人類には在らざる代謝機能とコミュニケーション機能を獲得する様が、文体と相俟って恐怖だ。

『おまかせレスキュー』横山えいじ
そうかあ、人魚を作ったあまりは魚人じゃないのか。いずれにしろ無駄なく資源活用できるんだな。しかし、誰が何の為に人魚なんぞ作ったのかと云うと、成る程そう云う野望があったんだね。相変わらず救助隊は役に立ってないな。

『廃園の天使三』飛浩隆
舞台は青野の区界を離れる。
『グラン・ヴァカンス』など初期に描かれた蜘蛛の王ランゴーニに纏わる舞台。変成した女性が語り手として世界の変容を語る。青野の区界との関連は如何に。ナツメとコオルは園丁として区界を渡る。

『マルドゥック・アノニマス』冲方丁
クインテットの重要メンバーシルヴィアは保護証人へと誘導される。バジルの求婚も仕組まれたものだった。
それでも言を左右して核心を語らない彼女を懐柔しようとバロットはアビーと共に立ち向かう。
猜疑心と計略的な警戒が応酬する。
そうか、アビーはシルヴィアがどうして無駄乳なのか知りたいのか。バロットにしろアビーにしろ、正義のチッパイなんだけどなあ。

『戦闘妖精・雪風』神林長平
田村伊歩が雪風を操縦することで、ジャムの行動を引き出した。
零に操縦を代り、伊歩の目がジャムを捉え、ロンバート大佐を引き摺り出す。新たな解釈を得て、FAFはジャムの解析に向かう。

『コズミック・スフィアンシンクロニズム』池澤春奈
妙にAIっぽさが薄いなと思ったら、人間がかなり制御しているんだな。そのまま誰かラリッた作家が奔放に書いたと云われたら信じてしまいそうだ。
なるほどAIはこういう使方がいいのかと思う。

『カレー・コンピューティング計画』草野原々
草野原々のバカヤロー! 兎に角お決まりの評価だ。勿論褒め言葉。
おバカ理論が爆裂。暴投と結末の齟齬が凄い。AIは使っていないと注があるが、人間の作ではない、人工無能だろう。

『呪文の多い料理店』宮��夏次系
アバターなのか現実の人間なのかゴッチャになってる世界。何かしら人生の何かを語っているんだろう。
終コマで「スケ・コマシ」と叫ぶ人物が、成る程そうなのかと。

『ヴェルト』吉上亮
前号は作者名を間違えていた。
で、まだまだ前振り。とっても長い前振り。歴史改変モノの前駆描写。プラトンもクセノフォンも伝承を汲み取りながら、好きに弄っているなあ。
ここまでで、まだ先の展開は見えない。次回でもこのままだったらどうしよう。

『八は凶数、死して九天』十三不塔
時代は違うが上田早夕里『上海灯蛾』を思わせる様だ。
天地会と云うのは青幇や黒幇の様な組織だろうか? 様々遊戯が描かれるが、実在するのか?
疑問は置いといて、麻雀の成立がどう描かれるのか。清末と云うのは有力説だな。

『小角の城』夢枕獏
人外の者が活動する。佐伯の真魚と思しき漢はそれを知覚していた。
童女を連れた女は何者であろうか。いずれ技を伝える一族であろう。真田幸村や猿飛佐助の物語りと、どう繋がって行くだろうか。

『幻視百景』酉島伝法
遺伝子改変のクリーチャーか、古代の王族の在り様を伝えるのか?
飲料に、食材に、薬にと、他の生物を支える。食物連鎖の一形態だな。

特集
大野万紀さんの『昔話』、十年違いだが自分もしっかりSFじいさんだよなあ。SF大会が盛りあがり、コミケが動き出し「オタク」と云う用語がひっそりと浸透していくのを体験したんだよなあ。
それから冬の時代に身を切られ、インターネットの時代を迎えた。

座談会。先日所謂Z世代の作家、人間六度氏を地方コンに招いて話を聞いたんだけど、受け継がれる物はしぶといな。
確かにファンダムを取り巻く色々な状況は変化しているけど、SFファンの本質は変わらない。バカ話が好きだってこと。

活動。それぞれに頼もしい若者がいるな、とSFじいさんは思うのであった。試行錯誤の繰り返しだろうが、みんな通って来た道だ。頑張れ。

インドSF。非常に興味深い。インドは多言語国家で、それだけでも色々ありそうだし、宗教的にも複雑で神話・伝承も多彩だろう。そんな文化から何が出て来るか、ぜひ味わってみたい。
特撮でハヌマーンものがあった気が(違う国)。レインボーマンは受けないのかな。

『現実とは?』。面白い組み合わせの鼎談だ。それぞれに現実とか世界の在り様とか時間とか因果とか考えがあって違っている。能楽師の人の言葉に対する感覚が凄い。
しかしアップルのソレはそんなに凄いのかな。


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