中国(系アメリカ人)と日本人が各一編、他は韓国人作家。しかも済州島に嘗てあった「耽羅」がネタ。半島本土にもネタは在りそうなものだが。
もっと広くアジアのSFを期待したのだが、これはこれでヴァリエーション豊かに出来上っている。
『ソーシャル巫堂指数』ユン・ヨギョン
サイバーパンクだけど巫堂の話で、猫が重要。
何とも現代韓国社会を反映している様な、全然空想の世界の様な。軽妙で軽薄な語りと会話がいい雰囲気を出している。
「仏教占星術の間でキリスト教が平和を宣言している。」← 如何にも韓国だ。家族で宗教画ばらばらで、案外干渉し合わないし争いもしないらしい。
儒教は道徳規範みたいなもんで、根底に浸透しているんだな。
「理解できる情報が必ずしもいい情報とは限りませんよ。」← 最もだ。偽科学やカルト宗教が広まる原理。
「俺は辞退した。」← 相手が悪いよな、あの姉じゃ。
『紅真国大別相伝』イ・ギョンヒ
担がれて暴政者から政柄を奪った者が、自分が暴政に魅入られる。
本作も耽羅の伝説を敷いている。限り無く陰湿で陰鬱で人倫に悖る物語だ。龍とは空を翔ける存在だが翼はない、西洋のドラゴンとは違う。
古代の伝説の世界かと思いきや、核爆弾によって荒廃した世界で、遺伝子工学が軸になっている。デザインドベイビーの悲哀が、前面に迫る。
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