mixiユーザー(id:282502)

2019年09月26日15:18

330 view

映画「ディリリとパリの時間旅行」

フランスのアニメ作品。見終わってから買ったパンフで、作者のオスロが「キリクと魔女」というアフリカに題材をとったアニメを作った人だったと知る。
タイトルの「ディリリとパリの時間旅行」は日本語として問題がありますね。「ディリリとパリ」が同格に読めてしまう。「ディリリと一緒にパリの時間旅行」なんだけど。

それはともかく、最近見たアニメの中で一番、と言ってもいいくらいよかったです。
ディリリは、フランス領ニューカレドニアからパリに来たカナック(カナカ人ともいう)の少女。時は1900年代初頭のベル・エポックの時代。彼女の道案内役は三輪車の配達人のオレル。

闇の組織「男性支配団」によって少女が誘拐される事件が多発、ディリリもその餌食になりそうになり、誘拐された少女たちを助けるべく、知恵を絞って活躍する。

まず、実写とアニメをコラージュした斬新な画風に目を引かれる。
そして、ディリリが出会うのは、ベルエポック時代を彩る綺羅星のような作家、画家、彫刻家、科学者、オペラ歌手、女優、果ては、その時代の画家に描かれた絵の中の人物や生き物たちまで。

「ミッドナイト・イン・パリ」や、レオナール・フジタを主人公にした「FOUJITA」などでおなじみのベル・エポックのセレブたちが続々登場。それだけではなく、ロダンが出てくれば、不服そうな顔をしたカミーユ・クローデルにも一言文句を言わせるし、作家のコレットは「私の書いた小説を夫が自分の名前で出版した」と言うし、フェミニズム批評が明らかにしてきた「女性芸術家の見直し」をおさらいしてくれる。マリー・キュリーやローザ・ルクセンブルクまで出てくる。

ディリリ自身も、じつはカナックとフランス人の混血という生まれで、生まれ故郷では「色が白い」という理由でいじめられ、パリに来たら「色が黒い」と言われて差別されると、怒っている。

この映画のポイントはたくさんあって、
1。楽しいパリ案内。風景は大半が実在する今のパリの写真。
2。冒険ファンタジーとして純粋に楽しい。吹替版もあり、幼い子どもにも楽しめる。賢くて勇敢なディリリがとても魅力的。
3。ベル・エポックの登場人物についてのうんちくが楽しめる。一場面に出てくる人々についての情報量が多すぎて、パンフを買ってみて「ここにいたのはこの人だったのか!」と思う例がたくさん。もう一度見て確認したくなる。
4。字幕版だとフランス語のセリフが楽しめる。普通の俳優が演じるフランス映画はスラングがあったり、早口だったり、ほとんど聞き取り不能だけど、このアニメに出てくるセリフは、とても綺麗な言葉遣い(ディリリは伯爵夫人にお行儀作法を教わった)で、クリアな発音なので、ちょっとでもフランス語をかじった人なら、かなり聞き取れると思う。
5。さっき、フェミニズムという言葉を出したけど、女性解放、人間解放のメッセージに満ちている。芸術性の高さとメッセージ性の高さの両立。それが素晴らしいんです。


女性の人権と同時に、女性の抑圧者である男性も人権を奪われているということを、南の島にいてもパリにいても「他者」として差別されてきたヒロインにきっちり語らせる映画って、もう、子供向きアニメなんかじゃないですよね。

京都シネマでは、延長につぐ延長で、今週いっぱいだったのが10月3日まで伸びました。
大阪のシアターセブンと神戸元町映画館で10月12日から25日までの上映も決まってます。それを逃しても12月に宝塚のシネピピアがある。
私はどこかでもう一度、かならず見るつもりです。

写真の場面は、右から、マティス、アンリ・ルソー、ピカソ、ベルト・モリソとその作品とわかるでしょうか。

2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年09月>
日 月 火 水 木 金 土
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     

最近の日記