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2024年03月19日15:48

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韓国映画「ローリングガール」

「人生は、美しい」に主人公セヨンの高校時代の親友ヒョンジョン役で出ていたシム・ダルギ主演。

 大学を中退し、ぼんやりと日々を暮らしているジュリ(シム・ダルギ)のアパートに、突然、「この部屋の内見をしたい」という客が来る。なんでもこのアパートが売りに出されていると不動産屋に聞いてきたというのだ。
 驚いたジュリはキンパ屋を営む母ヨンシムを問い詰めると、アパートを売り、キンパ屋も畳むつもりだという。「そんな!」と抗議するジュリに、ヨンシムは「だったら、キンパ屋を手伝って」と、キンパ作りを特訓する。「ちりめんじゃこの味付けがまだまだ。水飴の量を加減して」などと指図し、ようやく合格点となると「じゃ、任せたから」と、実家に行ってしまうヨンシム。実家の母の健康状態がよくなくて、看病するためだ。

 ジュリは自分でも作れる数種類のキンパにチーズラーメンといった臨時メニューを貼り出し、客に応対する。同じ町内の旧知のパン屋のおばさんが来てくれたり、毎朝、食べに来る常連の学生さんがいたり、お小遣いを握りしめて買いに来る子がいたり。
 ある日、試験に遅れそうと言う常連さんをバイクで大学まで送ってあげた見返りに、キンパ作りを手伝ってもらうことに。ちょうど、地元の山岳会から「山岳会の記念登山で北漢山に登るので、昼食用に50本作って欲しい」と注文が入っていたのだ。
 2人で早朝からキンパを巻いていると、注文主から登山口まで出前してほしいと言われ、重たい荷を持って登山口へ。無事、商品を引き渡すと「せっかくここまで来たんだから、あなたたちも山頂まで行ってみては」と言われ、2人で山頂まで行き、ソウルの町並みを見下ろす。
 その後、祖母が亡くなり、葬儀の後は母もソウルに戻ってくる。ジュリも働いてみようという気になり、ある会社のオンライン面接を受けてみるが、「なぜ大学を中退したのか」「なんか合わないと思って」「TOEICの点が低い」「また勉強して受け直します」「何か他に特技は?」「えーっと、キンパを巻くのが得意です」という答えで不採用に。そこで母のキンパをジュリがバイクで出前することを思いつき、チラシを配る。常連の青年も自分のヘルメットを持って現れ、2人でバイクに乗って町を走る。

 2022年制作、上映時間76分と短い映画。撮影時期もまだコロナの最中だし、映画もその設定だが、それにしてはキンパを作るときに透明のアクリル板みたいなのをつけているだけ(これ、感染予防の効果なしといわれていましたよね)だったり、マスクをつけている人も、会話の時にマスクを顎まで下げていたり、感染予防意識はゆるい。
 ジュリが作れるキンパは、基本の具材が卵焼き、茹でた青菜、細切りにしてさっと火を通したにんじん、たくあんなどで、そこにちりめんじゃこ、ツナなどが入る。ちりめんじゃこは、醤油と水飴で甘辛く仕上げるようだ。ゴマ油も入れていたかな。去年、韓国に行ったとき、一回だけキンパ屋に入ったが、とにかくメニューの種類が多くて驚いた。トンカツ入りとか、天ぷら入りみたいなのもあってどれにしようかすごく迷ってしまった。
 ジュリはよくタバコを吸うので、近所のパン屋のおばさんにも食品を扱う時は吸うなと注意されている。でも、祖母の葬式後のほっとした空気の中で、母から「私にも1本ちょうだい」と言われて2人で吸うというシーンも。ジュリの父については何も語られないが、この母がキンパ屋を切り盛りしてやってきたんだろうな、というのはわかる。このパワフルな母の楽しみは、ズンバ教室で体を動かすことだ。
 こんな世の中、あくせく働く気もしないし、ゆるく生きていてもいいよね、とマイペースのジュリを肯定してくれる。見た後、ほっこりと心が温かくなる物語。

 主演のシム・ダルギは、自身も短編映画を撮り、多くのドラマやインディーズ映画にも出演して、演技派として注目されているらしい。
 この映画は、カク・ミンスン監督の長編第一作で、全州国際映画祭に選出、ソウル独立映画祭でフェスティバル・チョイス作品に選出された。こういう低予算インディーズ映画が評価されて、日本でも上映されたのはうれしい。配給はライツキューブというあまり聞いたことのない会社。シネマート心斎橋で2月に上映してたときは見逃し、京都シネマにやってきたのでやっと見ることができた。(3月14日 京都シネマ)
 
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