上下巻に四編の中編を時系列順に配した連作。全体として長編とも看做せる。一編だけでも面白く読めるが、(時間的に)前の話を読んでいた用が理解が深まる。
全体を貫くのは、生体の有機部品と機械とを融合して作られた構成機体の精神遍歴だ。そして機械故の情報処理能力と戦闘力に拠って「人間を守る」目的で造られた警備ボットの本能の炸裂だ。心理描写は複雑で、戦闘場面はスピード感に満ちている。
まだまだ全体の話の途中で、投げ掛けられた伏線も此の先改修されて行く事だろう。続き二冊が既に刊行されているが、読むのが楽しみだ。
9/22:257ページ
プリザベーションの三人と接触しようとする弊機。ハッキングの腕は冴えている。
ARTの処置で外見が変わっている弊機と対面するピン・リー達。驚きの表情で懐かしがる。警備ボットには見られなかった効果は絶大だ。
メンサーの元を去ってからの状況を説明する弊機。
相互信用の問題は蟠りを残すが、今は目的は同じ。強力な武力に狙われた状況で如何にメンサーを救出するか。さあ、荒事の時間だ。
グレイクリス社はメンサーの身代金を要求している。でも開放する気はなさそうだ。
プリザベーション側は、綱渡り的な手管で資金を整えるが不安は消えない。弊機が合流した事で事態は開鑿できるのか。弊機は策謀を巡らす。
メンサーとの再会を期待しつつ、弊機は緊張する。複雑な思いがある。有機部品を持つボットの心理構成も単純ではない。
過去の記録を再生し、現状に対して考察する。機械的な記憶装置は便利だな。
敵との複雑な駆け引き。弊機の勝利条件は厳しい。
グレイクリスの言葉を一個も信用しない弊機は、やっぱり嘘で対抗する。活劇こそないが熾烈な争いだ。
メンサーは近付いている。弊機は安全を図りつつ歩み寄ろうとする。複雑な思いはあるが、やはり会いたい気持ちが強い。
警備ボットが帰属意識を持たずに自由になる事は無いのだな。現在はまだ実現していないAIに纏わる問題だ。
弊機はメンサーに対して「マーダーボットです」と名乗る。プリザベーション隊以外には弊機だと判らない言葉。
メンサーには正確な情報が伝わっていなかった。連絡を取ってはいなかったから。そういう行動を弊機は選んでいた。
愈々メンサーが囚われているポッドに突入する弊機。機械ならではの反応速度と探知能力が決め手。
敵の人間を虐殺しつつメンサーを保護する。冷静さは機械ならではなのだな。
メンサーにミルー星での事を報告する弊機。メンサーを助けるため自発的に執った行動だが、成果は絶大だ。
メンサーを伴って宇宙行へ。最後の逃避行動だが、危機はまだ去らない。
弊機がドラマ好きな理由をメンサーに問われる。そこから人間を知ろうとしているのだけど、巧く云い表せない。「寂しくないからです」と云う裏の心情は如何なるものか? 複雑な構造であるが故の言葉。
メンサーに理解されることは怖かった弊機。様々な思いが錯綜する。多分メンサーは弊機が考えているより深く弊機の事を理解している。
宇宙港の仕組みとグレイクリス社の妨害で、帰還船への到達が阻まれる。
自己犠牲、捨身の覚悟で対策する弊機。サイバーアタックで切り抜けようとする。激しい戦闘が始まる。この作品群の醍醐味だ。
弊機は決死の覚悟で戦闘を続けるが、メンサー一行は弊機を回収する方針で行動する。
弊機は滅びたくない。生き延びたいとは思うが危ういメンサーの方策には消極的だ。
敵の戦闘警備ユニットと対話(?)する弊機。自分とは思考回路が徹底的違う。弊機が如何に特殊かと云う事だ。
辛くもメンサーが用意した脱出口へ滑り込む。危機一髪だった。間の心理描写や対話が真髄だな。
9/23:読了
満身創痍で戦闘を終えた弊機。
プリザベーション政体一行は、仲間を迎える様に兵器に接する。不愉快でもあり、心地好さもこっそりある。面倒臭い構成機体だ。有機部品がややこしくしているだな。
シャトルに乗り込み、発進に漕ぎ着けた一行。
まだまだ敵の攻撃は続く。中立的立場で待機する砲艦を手懐けて乗りこむ。警備ボットの同乗を咎めらるがメンサーが説得する。仲間に関わる緊急事態と云う認識だ。弊機は受け入れられている。
自分を捨ててもメンサー達を守りたい弊機。警備ボットの本能。
メンサーは弊機を連れて帰る気でいる。二人の思いがぶつかる。メンサーの思いを前に折れる弊機。
メンサーとの対話、弊機がボットの本能に従う事に怒っている。
それでも平気は勝ちたい、生き残りたいと思う。負けない事で生き残った。自己犠牲と自己保存が複雑に絡み合う。
そんな弊機の内面をメンサーは汲み取り、表情を和らげる。
砲艦からの攻撃が始まり、相手を制御しているのは人間の神経組織から作られた機体らしい。難敵だが対応策を捻り出す弊機。似た者同士のぶつかり合いだ。
グレイクリス側は弊機を狙って攻撃する事に移行したと推測される。秘密を探り出してしまった煩い相手と認定された。能力を脅威と評価されたんだな。
最後の戦闘が始まる。
ハッキングとプリザベーション政体の人間達の協力とで砲撃が開始される。
敵を爆炎の中に沈める。危機を脱するものの、弊機は疲れ果て意識を失う。物理的な戦闘だけが負荷をかけるわけではない。
記憶が断片化して目覚めた弊機。事故の状況を認識できないまま治療を受ける。修理ではない。
混乱した記憶の中、自分が掴めない。生身の人間でも起こるような状況だ。構成機体ならではの過程で復旧していく。人間にはなり切れない。
プリザベーション政体のメンバーの出自についての会話が挟まり、愈々プリザベーション中継ステーションに近付く。
弊機は難民として受け入れられることになった。彷徨い続けて、遂に帰るべき場所に帰る。初めての訪問だが。
プリザベーション中継ステーションに降り立って、復旧を完了する。
居室をこっそり抜出してあちこち見て回る弊機。今度は出奔する訳ではない。プリザベーション連合の仕組みを学ぶ。馴染んで行くんだな。
メンサーの家族たちとも対面し、ここが拠点となる。どこかに行くにしても、母港を得たのだ。
それでもグレイクリス社との確執は解消したわけではない。グレイクリス社の不正を暴き、裁くまで終らない物語だ。
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