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2026年05月02日05:54

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SF落語

上方落語で、故・桂吉朝さんのSF落語を録画で見たことがある。
『死人茶屋(しびとぢゃや)』という、題名だけが伝わっている噺をSF仕立てにしたものだった。SF作家の堀晃さんとかんべむさしさんが協力した版である。

その噺に「米アーサー(よねあーさー)」という人物が出てくる。もちろん、米朝師匠とアーサー・C・クラークを掛けた名前だ。
この人物が宇宙船に乗って出発するのだが、そのときの所作が猪牙舟をこぐ動きなのである。
そして一言。
「なんせ船の所作はこれしか師匠に習ってないもんで」
これには客席が爆笑だった。今でもよく覚えている。

もう一つ思い出すのは、米朝師匠を大阪サンケイホールで聴いた『地獄八景亡者戯』の一節。
地獄めぐりをする、どこかSFっぽくもある噺なのだが、登場人物が地獄のとある劇場の宣伝文句を読み上げる。
「なになに、近日来演、桂米朝」
ここでも客席は爆笑。自分の名前を噺の中に滑り込ませて、きっちり笑いを取るのである。

上方落語は、地獄だの死人だの、縁起でもない題材さえ笑いに変えてしまう。
しかも、ただ筋で笑わせるだけでなく、こういうメタな笑いを差し込んでくる。
あのサービス精神というか、客席との距離の近さというか、いかにも上方らしい気がする。

東京の落語にも、こういう種類の笑いはあるのだろうか。
少なくとも私の乏しい見聞では、上方落語のほうがこういう「噺の外から一発入れる」感じが強いように思う。上方落語は“現実が噺に乱入してくる芸能”なのかもしれない。


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