最後の長編『モナドの領域』から八年、最後の短編集なのだと。でも、
追加公演も在り得るよな。五十年近くのツツイストとしては、そう望んでしまう。
『深夜便』
不条理な会話劇であり、内省的な思索が廻る。友情と恋情の問題が根底にある。
「青海苔県」や「浴衣半島」は何とも唐突な言葉遊びだな。
『花魁櫛』
昨今話題になっている遺品の問題を皮肉っているのか?
「妻」の欲の皮が伸びて行く様が空恐ろしい。物の価格と価値は別物だな。
『白蛇姫』
不可思議な伝奇物語。記紀神話にも通じる信仰的世界であるな。
服部の祿さんの出鱈目な歌が、『熊の木音頭』にも通じる不条理世界への入り口だ。
『川のほとり』
これは実話を敷いているのだな。
作者の内面的な世界観、宗教観が現われている。以前には『小説・私小説』で揶揄した私小説そのものの体だ。
最後の一行はどういうことであろうか。光子夫人は存命の筈だが。
『官邸前』
静かな、だけど往年を思わせるスラプスティック小説。
権威やお偉い人を揶揄う手腕は流石だ。言葉遊びは他の収録作とも通じる雰囲気を持っている。
『本質』
子供が大人を醒めた目で観察し批判する場面は、過去のいくつかの作品で描かれているが、その子供の視線は筒井康隆自身の視線でもある。
最後に身も蓋もない一言が出るのは、筒井康隆作品の醍醐味でもあるな。/blockquote>
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