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2023年10月14日19:37

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篠田節子『ドゥルガーの島』は俗と学の狭間で揉まれる

日本だって単一民族と信じてたりするが、とてもじゃないがそうとは思えないのだ。縄文と弥生って時代区分では曖昧で、民族的な違いが根底にあるんだよな。

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ネピ島の住人の間にある蟠りと誤解と偏見が、歴史と共に明かされる。日本人には解りにくい感覚だ。
その根底には島の立地と、火山島であると云う環境と、歴史と伝説の混淆がある。伝奇ロマンでは重要な問題だな。

「歴史的にあり得ない」事実が横たわる。民族よりは宗教的/文化的相違が、違った伝説を持つ人々に対立を齎す。実は民族的に違いが無いのに。この辺はどこの国にもある問題だな。

しかし加茂川一正って俗っぽくて幻想に溺れる奴だな。思いだけじゃ科学は成し遂げられない。
でも、二度目の訪問であんなことがあったのに、よくケワンは三度めに迎え入れたな。どんな思惑があるんだろう。

様々な民族・伝説・信仰と歴史が絡み合う島のインド洋側。島にはスルタンもいる。それぞれが対立して成立つ社会、よろめき歩む。
学術界も行政も片寄ってるんだよなあ。お互いが我らが一番だからな。

海沿いでの調査を遠慮して、内陸で歴史的証拠と伝承の相違を探す加茂川達三人。各人の個人的な内面に触れつつ伝説の正体を解き明かしていく。
謎解き部分はかなり緊張感があって興味深い。
「首狩り族イコール獰猛な殺戮の民というのは、西欧人たちの偏見だからね。」← 筒井康隆『アフリカの爆弾』で指摘されていた問題だ。普遍的だな。
ムスリムがヒンディーを蔑み…。連環になってるんだな。

「習い性だ。」← おいおい、[習い、性となる]なんだよ。
神の像を刻んだ遺物はムスリムに否定され破壊される。実際の歴史上の出来事だ。インドネシアでは罷り通るんだな。

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内陸でとんでもない歴史的証拠を発見してしまう。貴重な遺物が漬物石だったりすることはままある。隕石が神社のご神体だなんてこともあるけど。
いずれにしろ、何れは否定された歴史を再評価させるきっかけになる展開だ。加茂川の意図は不純だが。

作品の題名の意味が明らかになる。困難ではあるが、嘗ての漂着の径路が見えてくる。
ケワンの村に戻って湾内の調査で、推測の裏付けとなる更なる発見をする。
一悶着あって村の神秘と民間医療を体験する。呪詛的でもあるが、本草学的だ。

村の信仰と死生観を体験して、その奥にある伝説の道筋を見出す。こう云った事は様々な変形をしているもんだな。
頑なに信じられている伝承を覆すことは容易ではない。そして事実を探求するのも困難な状況。

村の湾を埋め立てる公共事業の計画が襲う。歴史遺産は潰されてしまう。遺跡と開発工事の対立の図はどこにでもある。
国家に歴史的価値を認めさせなければならないが、非合法な調査でもあり、外国人でもある。情熱があるだけに現実的な障壁は大きいな。

歴史的事実と、現実社会での差別問題が提起される。事実が明らかになる事が不都合な人々もいると云う事だ。そう云う問題は、日本の身分制度の源流を辿ると、差別者扱いされたりするからなあ。

現地を離れ、調査した事実から導き出した推論の裏付けを始めるが、芳しい結果にはならない。取り敢えず公共工事は一時停止はする。
一正の夢想は広がるが、国際的な慣習と学際的な仕組みが水を差す。ここから発見者とはいえ部外者だ。


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