前の四編とは雰囲気がぐっと変る。弊機は帰るべき場所を持った、安定した立場になったからだ。
安定したと云っても、プリザベーション連合の特殊性から、難民扱いの自由ボットだが、収入はあり、住処があり、IDも与えられた。
雇われて警備に就くことも自由だし、何某か人間に頼まれ事をして過ごす生活だ。
『逃亡テレメトリー』
表題作は、ディテクティブ・ストーリー。プリザベーション・ステーション内で暮らし始めた弊機は色々な制約の中、殺人事件の捜査に加わる事になる。
冒頭の「死んだ人間」と云う言い回しが何とも。さあ、事件の始まりだ。
警備ボットはやはり、特別な扱いをされてしまうが捜査を進めるうちに警備局や管理局の人間の信頼を少しは勝ち取った様だ。
ステーション周辺では珍しい職務をこなす者として、受け容れられていく。
弊機の卓越した情報処理能力と戦闘力が、事件を解明するが、懸念していたグレイクリスの関わりはなさそうだった。
『義務』
時間軸を遡って、第一話に当たる『システムの危殆』以前の弊機の活動と、心理的な遷移を追う短編。ごく短い一編だ。
弊機は命令を待たずに人を救う。話さない筈の人間に機械が話し掛けた事が、弊機の成長なのだろう。こうして、マーダーボットの遍歴が始まった。
『ホーム――それは居住施設、有効範囲、生態的地位、あるいは陣地』
他の話は、弊機の一人称で進められるが、三人称で語られる。
プリザベーション連合に難民と認定された弊機を、どうやって社会に受け入れるかの過程を、アイーダ・メンサーの視点から物語る。
メンサーと調査隊の仲間達が、帰還後の事後処理をする様子と併せて、プリザベーション連合の構成などが語られる。
弊機もメンサー達を気遣う様子が描かれる。
ログインしてコメントを確認・投稿する