mixiユーザー(id:282502)

2022年07月30日17:02

120 view

映画『恋愛の抜けたロマンス』

チョン・ガヨン監督の商業映画デビュー作。
私は、彼女の独立映画作品『ビッチ・オン・ザ・ビーチ』を大阪アジアン映画祭で見て以来、大ファンである。独立映画監督として一定の評価を受けてきた彼女が、王道ラブコメに挑戦というので、楽しみにしていた。しかし、なかなか見に行くことができず、最終日に何とか駆けつけた。
主演は、『バーニング』でデビューしたチョン・ジョンソ。あの不気味な映画の印象と違って、生き生きと演じている。相手役はソン・ソック。私はまったく知らなかったのだが、Netflixのドラマで大ブレイク中。ソン・ソック見たさに見に来た観客も多いらしい。

つきあっていた男性が別の女性と結婚すると聞かされ、傷付いたジャヨン(チョン・ジョンソ)。もう恋愛なんて懲り懲り。だけど寂しさは埋めたい。そんなジャヨンに飲み友だちのソンビンとユミが出会い系を勧める。

ウェブ雑誌の編集部で働くウリ(ソン・ソック)は、編集長にセックスコラムの執筆を命じられるが、気が進まない。元同僚に出会い系アプリを勧められ、渋々登録する。

アプリで出会った2人は、旧正月の休日にデート。ウリに対してジャヨンは身元調べの質問責め。「カルト宗教とか信じてます?」には、時節柄、声を立てて笑ってしまう。「いいや。君は?」「当然信じてませんよ。イカれてないので」「結婚してる?」「まさか。独身だからアプリを使ってる」とむっとするウリ。「とにかく、恋愛はいらない。割り切ったお付き合いするためよ」と言い切るジャヨン。
2人は平壌冷麺の店に入り、その後、モーテルに向かう。そして、次のシーンはモーテルから出てきたところだ。

実は、これはウリが書いたコラムそのまま。アプリで出会ったジャヨンとの会話を詳しく記事に書くが、その結末は「二人はモーテルに入った。そしてモーテルを出た」。セックスコラムのはずが、かんじんのところが抜けていることで、かえって読者の評判を呼び、編集長は大喜びだ。
ウリは二度目のデートに誘う。今度は日本風の焼き鳥の店。「君だったら出会い系でたくさんの男性から「イイネ」がついただろうに、どうして僕を選んだ?」「性病がなさそうだから」その答えに口にした焼酎を吹き出すウリ。常に意表を突いた反応を見せるジャヨンとの会話は楽しく、記事にも弾みがつき、それをそのまま書いたウリのコラムの人気は急上昇する。
しかし、次第にジャヨンに惹かれていることに気づいたウリは彼女に黙ってコラムを書き続けることが辛くなる。彼女に正直に話して、コラムは中止しようと心に決めるが・・・。

「お互い、恋愛関係ではないことを納得済みのはずの二人が・・・」というのはラブコメによくあるパターンだけど、この映画はともかく、ジャヨンのセリフがおもしろい。また、いろんな映画からの引用などがあったり、実在の俳優の名前が出て来たりするところもおかしい。ジャヨンがよく飲みに行く店のマスターはウソン(チョン・ウソンを想像させるが、演じるのはペ・ユラム。「チャンシルさんには福が多いね」で、フランス語の先生として出てきた彼だ)。「パク・ポゴムみたいにハンサム」「パク・ポゴムも来てるよ」といった感じで連呼されるパク・ポゴム。コートの襟を立てて現れれば、「『レイトオータム』の時のヒョンビンがコンセプト?」とか。ウリが先輩を誘うつもりだったチケットには「ミュージカル『ビッチ・オン・ザ・ビーチ』」とある。もちろん、チョン・ガヨン監督の前作のパロディだ。
出会い系で出会った相手との体験を赤裸々に書くコラム、といってもウリはセックスそのもののシーンを書かなかったように、この映画も生々しいシーンはほとんどない。
ジャヨンや周りの女性たちの口からは恋愛やセックスに関してオープンな会話が飛び出し、その台詞がどれもなかなか秀逸で笑える。
「夢精は10代の男の子だけのものじゃない。20代の女性でも夢精する」「10代の恋愛は頭で、20代は心臓で、30代は下半身でする」「恋愛なんて言う感情労働はもうしたくない」
「SP(セックスパートナー)」という言葉を聞いたおばあちゃんに「SPって何?」と聞かれ、とっさに「ソンピョンよ。旧正月に食べるソンピョンの頭文字がSP」と誤魔化すと、おばあちゃんが「SPは多ければ多いほどいい」と言ったり。

ジャヨンは、行動がコミカルなところもあるが、実は、自分のやりたいことをやるために、放送局勤めをやめて、新規事業の助成金に応募してポッドキャスト局を始めようとしているという自立した女性。しかもそのポッドキャストでは、おばあちゃんの世代の女性たちに体験を語ってもらうという番組を作っているのだ。彼女が恋愛や男性に対して依存体質でないところ、異なる世代の女性に関心を持っているというキャラ設定もいい。

脇役には、先ほどのペ・ユラムの他に、威勢のいい雑誌編集長は、『モガディシュ』で、チョ・マンソクの演じる参事官の妻を演じたキム・ジェファ、ワッフル屋を営むジャヨンの父にキム・ガンギュなど。

商業映画でもしっかり実力を見せたチョン・ガヨン監督、次はどんな作品を見せてくれるか、楽しみだ。




3 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2022年07月>
日 月 火 水 木 金 土
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

最近の日記