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2022年05月23日00:01

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金曜は……

 金曜は、映画4本。

 まず、1本目は、本日公開の、
 「ハケンアニメ!」
 を、ブルク13の朝イチ、1本目を観る。

 これは、アニメ業界を舞台にした辻村深月の同題小説を映画化したもの。
 監督は「水曜日が消えた」の吉野耕平。出演は吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子と実力派を揃えている。

 TVアニメ「サウンドバック 奏の石」で監督デビューが決定した斎藤瞳。だが、放送枠は土曜夕方5時のアニメ・ゴールデンタイムで、ライバルは、瞳が憧れる天才アニメ監督・王子千晴の復帰作「運命戦線リデルライト」だった。
 そんな過大なプレッシャーに押し潰されそうな中、公開対談で、瞳は王子千晴に「絶対に勝つ」と勝利宣言をしてしまう。
 一筋縄ではいかないスタッフや声優たちを率いて、日夜アニメ製作に追われつつ、アニメの“覇権<ハケン>”を獲得すべく熱い争いを繰り広げる、その勝負の行方は……

 これは、アニメ製作を描く物語。一昨年にも「劇場版 SHIROBAKO」があったが、やはり、モノ作りの映画は面白い。
 実際のアニメ製作現場を撮影、その作業工程を描くのも興味深いが、この映画のいい所は、モノ作りに臨むクリエイターの想いをちゃんと描けている事だ――この世の中が生きるに値する、と言う事を、そんな想いを共有出来るのだと言う事を伝えたい……アニメには、表現には、それが出来るのだ、と言う事を力強く謳い上げているのには感動だ。実際、後半、幾度も泣かされてしまった。
 また、そうしたポジティブな部分だけでなく、長時間労働や、やりがい搾取など、アニメ業界あるあるのネガティブな部分、行き過ぎた商業主義や、セクハラ・パワハラの横行など、日本社会の問題をもさりげなく盛り込む、“お仕事映画”としては、ほぼ文句なしの出来だ。その癖、説教臭さは皆無で、下手にロマンス要素を挟まず、お仕事一本で突っ切った物語構成にも好感が持てる。

 もっとも、原作に引っ張られた部分があるとは言え、土曜夕方がアニメゴールデンタイムと言う認識はいささか古い――意欲的なアニメ新作競演は今や深夜枠だろうし、TVアニメの視聴率争いが社会現象化している、と言うのも不自然だ。
 また、関係者が全体的に若過ぎるようにも思えるが……これはまぁ、仕方のない所か。

 主演の斎藤瞳役の吉岡里帆は、終始張り詰め、疲れた表情で笑顔も殆どないが、それでも美しいのは美人の特権か。一方で、ライバルの王子を演じた中村倫也も、そのカリスマっぷりを体現する演技は見事なもの。儲け役は敏腕プロデューサーの行城を演じた柄本佑で、最初の“嫌なヤツ”が鮮やかに反転、その後の登場シーンは正に”白馬に乗った王子様”だ。

 これは、自分的には今年一番の面白さ。傑作だ。


 「ハケンアニメ!」 
 を観た後、昼食。
 今日の2本目は、Kinoシネマみなとみらいで、
 「ひまわり」。

 これは、戦争という大きな運命の前に散っていった愛を描くメロドラマ。
 出演は、ソフィア・ローレンにマルチェロ・マストロヤンニ。監督は「恋人たちの場所」のヴィットリオ・デ・シーカ、1970年の映画。
 映画中盤に登場し、タイトルにもなっている一面のひまわりの花が印象的で、これはウクライナで撮影された。今回、ロシアによる侵攻を受けるウクライナ支援の為、リマスター版が劇場公開された。

 1943年、ナポリ。お針子のジョバンナは、アフリカ出兵の為に招集された電気技師のアントニオと出逢い、恋に落ちた。結婚をすれば2週間の特別休暇が得られる、と2人は結婚式を上げるが、時間はあっと言う間に過ぎて行く。離れ難いアントニオは精神病を装い、兵役を逃れようとしたが、見破られ、懲罰としてソ連軍と戦う東部戦線に送られてしまう……
 その後、アントニオは行方不明となり、音信なく年月は過ぎ、やがて終戦――駅で、復員する兵士の中にアントニオを探すジョバンナは、アントニオの戦友だったと言う復員兵の話を聞いて、ソ連へ出かける決意を固めるのだった……

 これは、戦争に翻弄された恋人の姿を描くメロドラマ。名作の誉れも高い本作だが、これは相当判り難い映画だ――特に、時間経過が全然判らないし、登場人物の行動を説明しないので、ついて行けなくなる事もしばしばだ。
 名シーンとして知られるウクライナの平原に広がるひまわり畑も、鉄道列車内から撮影した映像は大きく揺れて観賞どころではない……まぁ、手ぶれ補正などありえない時代だからな……

 ソフィア・ローレンはさすがの存在感だが、こちらが太陽ならば月のような美しさを見せる、マーシャ役の「戦争と平和」のリュドミラ・サベーリエワも印象に残った。

 映画は、男たちの愚かさを描くもの、と言ってよさそうだ。
 勿論、戦争を起こしたのも男たちであり、恋人のアントニオにしても、詐病によって東部戦線送りになった所から始まり、その行動はどうにも行き当たりばったり――それに対し、子供を産み、そして育てる、母の――女の強さを対照とする、と言うものだろうか?

 そして、この映画から50年……またしても、この映画の舞台のひとつとなったウクライナで、戦いが繰り広げられている、と言う事を思う時、この映画が描いていた男の愚かさ、と言うものをあらためて考えさせられる。


 続いて、3本目は、
 「生きててよかった」。

 これは、元プロボクサーで、中国映画でも活躍するアクション俳優の木幡竜が主演を務めた本格格闘映画。
 監督・脚本は、監督デビュー作「くそガキの告白」が高く評価された鈴木太一。

 プロボクサー・楠木創太は、闘いへの未練と執着を捨てきれずにいたが、医師の制止と、幼馴染みで恋人の幸子との結婚の為、引退を決意する。ボクシングを離れ、仕事に就くも、人生の大半をボクシングに捧げてきた創太は何をやっても上手く行かず、苦しい日々を過ごしていた。
 そんなある日、創太は、ファンだと名乗る謎の男から、地下格闘技に出場しないか、と誘われる。その誘いに乗った創太は、再び闘いの世界にのめり込む。彼にとって戦いの高揚感、これは何物にも代えがたいものだったのだ。
 闘うことに取り憑かれた男の狂気と愚直なまでの生き様は、果たして喜劇となるか悲劇となるか――? 

 これは何と言っても木幡竜を観る映画だろう。元プロボクサーで、引退後、単身中国へ渡って中国語を学び、アンドリュー・ラウ監督の「レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳」でドニ―・イェンと共演。ドニー・イェンからも、その格闘センスを認められたのだ、と言う。
 本作では、体脂肪率3%まで絞って、ボクサーとして説得力のある身体を作っているし、映画内容にも、木幡竜がボクサーを引退しサラリーマンを経て俳優になった頃の不遇の時代が反映されているという。
 ボクシングを止めたら何も残らない男、と言うキャラクターは、昨年公開の映画「BLUE/ブルー」の登場人物とも印象が重なるが、ボクシングが好きな人々を描いた「BLUE/ブルー」に対し、本作で木幡竜が演じた創太は、ただ“闘う”事が好きなのであり、ボクシングはその手段のひとつでしかない――実際、映画終盤では、レスリングや柔術を含む総合格闘技の世界に入って行くのだから。

 見せ場は、木幡竜の格闘シーンとなるが、正に総合格闘技の試合を思わせるガチな格闘には見応えあり。
 木幡竜の肉体が格闘に説得力を与えているし、格闘シーンもまた映画の中で必然とされているのもいい。

 出演者は、あまり他の映画で見かけない面子揃い。その中で、創太と幸子の幼馴染みで、売れない俳優を演じた今野浩喜がいい味を出している。


 その後、またブルク13に戻って、2回目の、
 「シン・ウルトラマン」。

 これは、1966年にTBSでTV放送された空想科学シリーズ「ウルトラマン」を、リブートし、映画としたもの。
 監督は、樋口真嗣。出演は、斎藤工に長澤まさみ。

 私は1966年生まれなので、「ウルトラマン」は勿論、生では観ていない。でも、「ウルトラマン」を始めとする空想科学シリーズは、夏休みなどに集中再放送される子供向け番組の定番で、幼少期には親しんだ記憶がある。
 塩ビの怪獣人形や、怪獣図鑑なども持っていましたが、これはまぁ、当時の男児は大抵そうではないかと――もっとも、私は当時からひねくれ者だったので、「ミラーマン」とか「スペクトルマン」とかに惹かれていたのだが……
 「ウルトラマン」シリーズは、その後も観てはいたが、私はこのシリーズから卒業するのが早く「ウルトラマンタロウ」を最後に、TVで観る事はなくなっていた。

 この映画は、そんな、かつての視聴者には懐かしく、そして、新たなファンをも取り込むリブート作品、と言う狙いだろうか。
 ただ、折角の映画、しかも円谷プロダクションとして気合いが入る王道の内容だと言うのに、作品はどうにもチープな感じがある。
 禍特対には、揃いのユニフォームもなく、与えられた本部もなく、移動も専用の車両などがある訳ではない……この辺り、かつてのウルトラシリーズと比べ、淋しく感じる所だ。
 ユニフォームについては準備はされていたようだが、専用の乗り物については、どうやら予算的な問題があったようで……残念。
 また、こうしたチープさはキャスティングについても同様で、端役にまで名のある俳優を配し、正に「オールスターキャスト」だった「シン・ゴジラ」に対し、こちらはそこまでは行かない感じ――それでも、「シン・ゴジラ」との繋がりを邪推させる仕掛けがあり、油断は出来ないのだが……
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