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2026年08月19日06:08

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好きな役者と映像についての、とりとめない連想

映画『赤ひげ診療譚』の原作は山本周五郎だった。見ていてふと、原作の空気がどこか藤沢周平の『獄医 立花登手控え』に似ている気がした。あれは映画化されていなかったのだろうか、などと連想する。

そういえば昔、小林桂樹が赤ひげを演じた『赤ひげ診療譚』のドラマシリーズを見たことがある。赤ひげのもとで学ぶ若い医師をあおい輝彦が演じていて、この人は『獄医 立花登手控え』にも実によく似合いそうだ、と思った記憶がある。

そんな流れで、まず一人目は小林桂樹さん。最初に「いいな」と思ったのは『日本沈没』の田所博士役だった。その次が、黒澤明版『椿三十郎』の、いわゆる「押し入れ侍」。どこか飄々としていて、それでいて妙に印象に残る。

NHKだったと思うが、『天下堂々』という平賀源内が主役の時代劇も好きだった。源内役は山口崇。河内山宗俊や平手御酒も出てくる、ずいぶん破天荒なドラマだった。山口崇は源内役だけでなく、『大岡越前』での八代吉宗役もよかった。お茶目で、癇癖があって、しかも聡明という、なかなか一筋縄ではいかない将軍様だった。『御宿かわせみ』の畝源三郎役も忘れがたい。山口崇ももう故人だが、民話の収集という仕事(あるいは趣味)まで含めて、実に味わい深い人だったと思う。

悪役が多いのに大好き、という役者もいる。成田三樹夫である。
多くの視聴者から嫌われながらも、同時に強く印象に残った人物に、『江戸を斬る』第三部の脇坂重蔵がいる。西郷輝彦の遠山の金四郎と対立する、強権的な火付盗賊改方長官だ。金四郎の評判を面白く思わず、情け容赦ない捜査で庶民を苦しめる敵役として描かれていた。だが、この人物は単なる憎まれ役ではなかった。遠山金四郎という光の強い主人公がいるからこそ、いっそう映える影でもあった。私にはどこか、銀英伝のヤンとラインハルトのような、対立することで輪郭が立つ関係を思わせる。

脇坂重蔵は最後の登場回で、「江戸の治安を守るため」にあえてそうしてきた、という心情を金四郎に告げて去っていく。もちろん、この場面があることで人物像ははっきりする。けれど、たとえこの説明の場面がなくても、成田三樹夫の佇まいを見ていれば、分かる人には分かる気がする。完全に無駄な場面とまでは言わないが、あの人は台詞以上に姿で語れる役者だった。

同じ成田三樹夫が演じた烏丸少将文麻呂も忘れがたい。単なる剣豪公家ではなく、「帝の世に戻す」という隠れた正義を、あからさまな説明ではなく、やはり佇まいで示していたように思う。こういう、表向きは悪役めいていても、その奥に別の筋を感じさせる役が実にうまい。

一方で、完全に真面目な役として印象深いのが、山本耕史の『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜』だ。お銀役の中越典子、その父役の小松政夫もよかった。この作品の山本耕史は、今の「怪優」めいたイメージとは少し違って、ひたすら誠実な役柄をまっすぐに演じていた。

ただ、山本耕史といえば、今ではどうしてもメフィラス役の印象が強い。あれ以来、真面目な編集者を『ハヤブサ消防団』で演じていても、「いつ裏切るんだ」と妙に期待してしまう。最後まで裏切らないだけで視聴者を驚かせる、というのもなかなかすごい話だ。
大河ドラマ『新選組!』で土方歳三を演じたとき、近藤勇(香取慎吾)の養父である田舎道場主・近藤周斎(演:田中邦衛)のものまねを、劇中で土方がする場面があった。田中邦衛のものまね自体は珍しくないのに、あの場面は妙にシュールで、今でも忘れられない。

織田信長は本当にさまざまな役者が演じてきたが、やはり私にとっての信長のイメージは高橋幸治である。NHK大河ドラマ『太閤記』と『黄金の日々』の信長が強烈だった。主役は秀吉なのに、本能寺の変の回が二か月後になったほど投書が殺到した、という逸話まで含めて印象が深い。

イメージの固定という意味では、真田幸村と沖田総司の「美男」のイメージを決定づけたのは、私の中では草刈正雄だ。史実かどうかは別として、そういう像を強く植えつけた役者だったと思う。
そして草刈正雄は、大河ドラマ『真田丸』で、今度は抜け目のない策士である父・真田昌幸を演じた。「では、おのおの、ぬかりなく」という台詞も忘れがたい。さらに朝ドラ『なつぞら』でも、いい味のある役をしていた。なつに向かって「東京のアニメーションという畑を耕してこい」と言う場面は名言だったと思う。

こうして並べてみると、どうも私は時代劇に出ている役者を好きになる傾向があるらしい。たぶん、ただ演技がうまいというだけでなく、人物の癖や時代の匂いまで背負える役者に惹かれるのだろう。
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