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2026年05月22日06:15

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映画『サンキュー、チャック』とアルコール依存症について The Life of Yummy

スティーヴン・キングが大好き、という理由で観にいったから、先入観ありありで、最初から好きなのは決まっていた。
『サンキュー、チャック』、予想どおり、もとい、予想をはるかに超えたすばらしい映画だった。

スティーヴン・キングはわたしの恩人だ。
2005年に、彼のエッセイ『小説作法』(2001年 池 央耿訳)を読まなかったら、わたしはいま、こうして生きていなかったかもしれない。たとえ、自らのアルコール依存症に気がついたとしても、飲酒を止められなかったように思う。
その本に描かれた、キングのアルコール(+コカイン)依存との壮絶な闘いが、わたしを励まし、背中を押してくれたのだ。


以来、スティーヴン・キングの書くものが、ますます好きになり、映画化された映画の方まで、つい贔屓してしまう。

そんなわけで、『サンキュー、チャック』――
詳しい解説は、マイミクの silver catさんの文章や、映画評論家の町山智浩さんの話 をお読みいただくことにして、わたしは、ただ感想だけを書こう。

「I contain multitudes」
ウォルト・ホイットマンの詩の一節が、ベースの保続音のように流れる。
薄れていく意識、夢の中、頭の中のユニバース(宇宙)の物語 . . . 。

相次ぐ大災害、途切れる映像、繰り返される「ありがとう、チャック」の声 . . .
なにが起きているのかわからないまま、物語に引き込まれていく。

ドラムの音で気持ちが高揚しすぎて、わたしはチャックの心にキッチンのお鍋が映った瞬間に、ボロボロ涙を落とし、ダンスシーンではずっと泣いていた。

最後までずっとウルウルしていて、ああ、このように人生を送れたら幸せだな、と思った。
現代版『素晴らしき哉、人生!』 . . . カズオ・イシグロの『生きる LIVING』も、連想した。

ただ、わたしは、最後に流れた音楽を知らなくて、残念だった。
エンドロールが流れるあいだ、「誰の声だろう?」「なんていう歌?」「聞き覚えはあるような . . . 」と気になって、余韻に浸りきれなかったのだ。

帰宅後、調べてみると、
曲は「The Parting Glass(別れの杯)」、スコットランドとアイルランドの伝統的な民謡だった。
今回のは、グレゴリー・アラン・イサコフ(Gregory Alan Isakov)が歌っていた。

そういえば、スティーヴン・キングも、スコットランド=アイルランドにルーツがあって、作品にもスコティッシュやアイリッシュがよく登場する。サッカーでも、スコットランドの「バッキー・シッスルFC」の大ファンだと聞いた。

そうかあ、民謡だったんだね。

エンディングの歌の意味や歴史を知った上で、あと2回は観たい。
『サンキュー、チャック』(原題:The Life of Chuck)は――
そんなすてきな映画なのだった。



☆ 連休明けに書き始めた感想文、ようやく載せられました。

◆ 原作は、『チャックの数奇な人生 イフ・イット・ブリーズ』(中編2編)
 (映画化邦題「サンキュー・チャック」「ハリガン氏の電話」)
スティーヴン・キング 著, 安野 玲・ 高山 真由美 翻訳、文藝春秋 刊
 ☆Netflix の映画「ハリガン氏の電話」も、とてもキングらしくて面白かったです。

◆ 『小説作法』(池 央耿訳)は、現在、新版『書くことについて〜ON WRITING〜』( 田村 義進 訳)として小学館文庫より刊行されています。

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