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2026年05月05日02:00

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【ネタバレ】映画『サンキュー、チャック』

 
5月1日、大和郡山で夕方の回を鑑賞。観客14人。

この日ハシゴで観た『プラダを着た悪魔2』昼回はほぼ満席。好調なスタートだった。
それと対照的に、こちらはひっそりした公開初日。割当は一番小さなシアターだった。


公式 https://gaga.ne.jp/thankyou_chuck/

改めてこの予告編を見たらネタバレだらけで驚いた。笑



4月に劇場で予告編をたまたま一度見た。それ以外の予備知識はゼロで鑑賞した。

邦題は、観客をミステリー(謎解き)へと強く誘導している気がする。
原題の『The Life of Chuck』の方が、観客は素直に鑑賞できるだろうし、劇中に何度か出てくるホイットマンの詩にもフォーカスできる。あれが物語の鍵だ。

観た後でじわじわと感動が湧いてくる作品。
懐かしいミュージカルやダンスが好きな人にお勧め。
登場する楽曲は「Gimme Some Lovin'」ほか全15曲。


https://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=1833905&id=5823115
(以下は完全ネタバレです)





物語は「第3章」から始まる。

天変地異が相次ぎ、ネット通信は途絶え、人々は(遂にこの世の終わりか)と慄く。
街は「チャールズ・クランツ 素晴らしい39年間をありがとう!」の広告だらけ。
電気を失った病院で起きる怪異。夜空の星まで次々と爆発、暗黒世界は目前だーー。




突然、話は「第2章」へ飛ぶ。どうやら「第3章の数ヶ月前」の出来事らしい。

主人公はヒップな若いドラマー。丸井わんを黒人女性にしたような風貌だ。
彼女はストリートの人通りを観察しながら、軽くリズムを刻み始める。
そこへ、第3章の広告に出ていた男がやってきた。チャールズ・クランツだ!
彼はドラマーの前で軽快に踊り始めた。ドラマーは阿吽の呼吸で合わせていく。
彼はお堅い身なりからは想像できぬ華麗なダンスで、街ゆく人たちを盛り上げる。
観衆の一人、男に振られてムシャクシャしていた女性も、彼に促されて踊り出す。

  シーン切抜き https://www.youtube.com/shorts/Vu4IviT1nc4
  Danceシーンの裏側 https://youtu.be/tnikz3TF6v4

チャックと女性、ドラマーの「ケミストリー」は大ウケ、チップも大儲けだった。
楽器を運びに来たドラマーの友人も加えた4人で、彼らは近くの公園に繰り出す。
偶然の出会い。音楽とダンス。輝く笑顔。人生の美しさを感じる、素敵な午後。
一期一会の者達は楽しく語らい、奇跡のような思い出を胸に刻んだーー。

チャックは会計士だが、なぜかダンスが上手い。そして、頭痛がするという。
いったい、チャックとは何者ーー?




静々と「第1章」の幕が上がる。タイトルは “I contain multitudes”。

チャックは小柄な男の子だった。彼は両親(母は妹を妊娠中)を交通事故で失い、
父方の祖父母と3人でビクトリア調の一軒家に住んでいた。祖父は会計士。

小6最後の授業で、子供達にナメられ切った女性教師は、ホイットマンを朗読。
「Song of Myself」という有名な詩で、“I contain multitudes” はその一節だ。
チャックだけがその朗読に耳を傾け、授業が終わってから先生と会話した。
先生はチャックの頭を両手で持ち「この手の間には何がある?」と彼に尋ねた。
頭?脳?戸惑うチャックに、先生は「君の頭の中には宇宙があるよ」と教えた。


“I contain multitudes”  字幕は「自分の中に大勢の人々がいる」だったかな。
わかった!
第3章に出てきた人々は「第1章 = 子供のチャックが見たままの姿」だった。

つまり、あれは「チャックの脳内世界」なんだ。死の直前に彼が見ている夢だ。
空のベッドで動く心電計、病院に鳴り響くパルス音は「チャックが聞いている音」。
星々の爆発は「宇宙全体の終わり」 = 「チャックの死」を意味している。
死にゆく人の脳内では、なんて美しい、壮大なドラマが進行するのだろうーー。

“I contain multitudes”  私は(自分の中に森羅万象がある)と解していた。

『ライフ・オブ・パイ』主人公の中にも宇宙があった。我思う、ゆえに我あり。

  【映画】ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 2013年02月25日
  https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1893930323&owner_id=1833905



閑話休題。

子供時代のチャックは、その寂しい生い立ちもあり引っ込み思案な少年だった。

愛息を失った悲しみに深く沈んでいた祖母は、徐々に本来の快活さを取り戻して、
チャックにダンスを教えた。中学校のダンス部にも参加し、のめり込むチャック。
そんなチャックを見て、祖父は「ダンスで飯は食えん。会計士になれ」と忠告した。

努力家の彼はメキメキ上達。だが、ダンス部で憧れの女子は彼より背が高かった。
アジア系の彼女は学校のパーティーで一緒に踊りを披露しようとチャックを誘う。
「でも、君は彼氏がいるんだろう?」「ダンスパートナーは話が別だから平気よ」
初恋の相手と息の合ったダンスを披露し、喝采を浴びるチャック。最高の夜!

チャックの人生において、ダンスはいつも「愛」に満ちた幸せな思い出だった。


https://youtu.be/ABYLtRT62v4



チャックが住む家には秘密があった。祖父は屋根裏部屋を錠前で封印していた。
そして、決して屋根裏部屋には近づくなとチャックに厳命していた。

祖母が急死し、祖父も亡くなる。祖父は自らの死後の手配を完璧に済ませていた。
天涯孤独になったチャックは封印を解き、禁断の屋根裏部屋に足を踏み入れた。
中は痛んだ様子もない空室。チャックは部屋を出ようとした。その瞬間、音が!

パルス音に振り返ったチャックが見たのは、ベッドに横たわる中年の自分だった。
手の甲にフェンスで切った傷跡があった。彼は気づいた。(僕が死ぬ瞬間だ)と。

ーー祖父はこの部屋で、家族や自分の死を「見た」のだ。だから、僕を遠ざけた。
そして、残される僕が困らないよう、死ぬ前にすべて段取りした。祖父の愛情だ。
生前、祖父は言っていた。「待っている時間が長くて辛い」と。そういうことか。

この時、全てを悟ったチャックは「己の人生を生き切る」覚悟が決まったのだろう。

ーー僕の人生はあまり長くないようだ。でも、最期の時まで精一杯に生きていく。
僕の宇宙は愛の記憶で満ちている。素晴らしい人生に、ありがとう。



「39歳の若さで、末期の脳腫瘍」と聞いて、J. ガーシュウィンが想起された。
チャックと違って自分の死期を知らなかった彼は、どんなにか動揺しただろう。
俺の人生は、まだまだこれからなのにーーと、悔しがっていたのではないか。

他方、自らの死期を若い頃に悟ったチャックは、「受容」まで至っていた。

  「死の5段階」 https://www.kango-roo.com/learning/9620/


祖父と違い、チャックは「知っていて良かった」と考える、祖母譲りの楽天家。
だから、短い人生の終末を迎えた時「Thanks, Chuck ! 」と感謝できたのだ。

彼は「愛に満ちた自分の生涯」にとても満足していたのだろう。
私もこうありたいな、と羨ましく感じた。




ケスさんの感想日記  2026年05月03日 私の解説あり
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LukeMovieCatnapsさんのレビュー
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はらやんさんのレビュー
https://note.com/harayan2/n/n64ec97255571

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https://note.com/chinaco_cinema/n/n79737709859d



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