ファンタジーのダンジョンについて、前から気になっていることがある。
あれ、本当はものすごく臭い場所なのではないか。
冒険者が潜り、魔物がうろつき、戦闘が日常的に起きる地下空間である。
現実なら、血や腐敗や糞尿やカビや死骸やらで、とんでもない衛生状態になるはずだ。
勇者の第一の敵は魔王ではなく、たぶん悪臭である。
ところが日本のファンタジーでは、なぜかそうならない。
倒された魔物は魔石を残してきれいに消え、殺された冒険者の死体はダンジョンが吸収したりする。
ずいぶん行き届いた衛生管理である。
本当なら、ああいう場所には屍肉をあさる爬虫類や昆虫がうじゃうじゃいて当然だろう。
映画『レイダース』の、あの「絶対入りたくない」感じのほうが、むしろ自然に思える。
さらに考えると、ダンジョンの魔物は生態系としても不思議だ。
大型の魔物が小型の魔物ほど多いわけがないし、交配や子育てをしている感じも薄い。
気がつくと、いる。
昨日までいなかったのに、今日行くといる。
完全にダンジョン湧きである。
つまりダンジョンとは、生態系ではなく、
魔物供給・死体処理・衛生管理を一括でこなす地下施設なのではないか。
そう考えると、アニメにもなったマンガ『ダンジョンの中の人』(双見酔)みたいな、ダンジョン管理人の発想は、さもありなん、である。
あれは奇抜というより、
「この清潔さ、いったい誰が維持しているのか」
という疑問への、きわめてまっとうな答えなのかもしれない。
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