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2026年03月12日06:21

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源氏物語から物語論になりました

昨日の日記の追加コメントで、"六条御息所の悲しみは別格"とした。
あの物の怪(イドの怪物のような)に名前をつける。REA1(Rokujo's Emotional Anomaly-1)と。(勿論2001年宇宙の旅の特異物質TMA1"Tycho Magnetic Anomaly-1"通称モノリスからの連想)
REA1は、六条御息所の怨念ではなく、紫式部のプライド・嫉妬・抑圧・無意識の怨念を物語上彼女に背負わせたモノ。夕顔だけではなく、直接書かれないが、源氏物語の真の主役たる紫の上に降りかかる最期の災厄として。

女性の実存を描く。これが紫式部の源氏物語の意図でしょう。藤壺・朧月夜・朝顔の宮・空蝉・明石の御方・女三の宮・玉鬘、そして紫の上、物語で強い印象を残す女性たち、悩み・苦しみ・選択をする。紫の上などは"伏籠の鳥を・・・・"の幼児からその成長も克明に描かれる。

では、女性の「実存」を作家はどこまで描けているのか。他作品のヒロインと比較してみる。比較例として、アルウェン(トールキン「指輪物語」)・阿部玲子(小松左京「日本沈没」)・ヴァラ・ディア(バローズ「火星の交換頭脳」)の三者の特徴的シーンを挙げてみよう。

アルウェン(夕星王妃)、エルフである彼女は無限の寿命を持ち、ヒトの死を夫(アラゴルン・エレサール王)が死を選ぶまで知らなかったが、アラゴルンの死の後、一年後に彼女も死を選ぶ(これは、伴侶としてアラゴルンを選んだときに運命づけられていた)。

阿部玲子、大手財閥の令嬢で、政略結婚を目的に小野寺と見合いをさせられる。海岸で一夜をともにし、小野寺を運命の相手と見定めて結婚を決意する(Wikipediaより)。彼女が小野寺に語る悲しい寓話。女(妊婦)が孤島で一人で赤ん坊(男)を産み、やがて成長した息子と交わって子をなし、これを繰り返して島の人の営みが成り立っていく・・・・。と、この記憶はアヤシイかも(財閥のお嬢さんが語る話ではないよな)、でもそれが当然なぐらい綿密に小松は彼女を造形した。ただし、事件(日本沈没)が重すぎて、その後の彼女は小野寺の恋人としての役割(物語装置)としてしか描かれない。

ヴァラ・ディア、マッドサイエンティストの手で、若い体を奪われ、それでも生き抜いて、ヒーロー(地球人、ユリシーズ・パクストン)の助けで元の体を取り戻す。ユリシーズと結ばれる・・・・、が火星の人間は数千年の寿命を持つが、ユリシーズは普通の地球人。つまりこれは、アルウェンとアラゴルンの関係と相似。でも作者はそれを忘れている(デジャー・ソリスの夫、ジョン・カーターは無限に近い寿命の特異体質と明記したのに)。ヴァラ・ディアは、「美しい」「心がキレイ」「逆境に強い」「ヒーローを愛する」という属性だけで駆動されている役割(物語装置)として終始する、と言うこと。

源氏物語でも作者が描きたかった女性の対になる性、男性の光源氏・頭中将・柏木・薫などは、やはり装置的役割を背負わされた存在となっている。

男女どちらの内面(実存)を深堀りするかは、作者の意図に依ります(ジェンダーは二つだけか?という問題もあるけど)。
作者が男性・女性に関わらず、登場人物を「可哀想」とか「見事」「華麗」とか、俯瞰し突き放した見方で記した途端に、登場人物の「実存」「実相」から遠ざかると思います。物語論になりました。

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