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2026年02月09日13:27

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「ランニング・マン」感想

 これは、ホラー小説の巨匠、スティーヴン・キングが、リチャード・バックマン名義で発表した小説「バトルランナー」を、「ベイビー・ドライバー」のエドガー・ライト監督が映画化したもの。尚、スティーヴン・キングは本作の製作総指揮も兼任している。
 出演は、「ツイスターズ」のグレン・パウエル、「WEAPONS/ウェポンズ」のジョシュ・ブローリン。
 フォト

 格差が拡大し、富める者と貧しき者では住む場所さえ区別される近未来……仲間の為に正義を通したベン・リチャーズは解雇され、重病の娘の薬代も払えない程に困窮した彼は、優勝者に一攫千金が与えられるTV番組「ランニング・マン」に参加することを決意する。
 だがそれは、逃げる参加者をハンターが追い、捕まれば殺されると言うデスゲーム……果たしてベンは、規程の30日間を逃げ延びる事が出来るのか……?

 この映画、1987年の映画「バトルランナー」の内容に不満があったスティーヴン・キングと、小説版に思い入れがあったエドガー・ライトが組んでの映画化、と言う事もあり、映画は、ラストシーン以外はほぼ忠実に小説を映像化している、と言う。(それなら、タイトルの「バトルランナー」でよかったような……)

 そんな映画だが、印象としてはとにかく「古臭い」。
 近未来(小説では2025年の設定)とは言え、娯楽の中心がTVで、ネットやスマホは勿論、一般人が使えるコンピューターもない、と言うのは、原作小説が1982年に発行された、と言う事を考えるとかなり物足りないもので、スティーヴン・キングがSF的未来予測を苦手としていた事が伺われる。
 スマホどころか携帯電話もなく、ランナーらがつけている腕輪もポケベル程度の機能しかなく、GPSによる位置特定も出来ない、と言う前世紀のような部分と、AIによるフェイク映像と言う現状そのままの技術、反重力飛行するドローンカメラと言う超ハイテクが混在するバランスの悪いテクノロジー界観にはクラクラするが、そんな部分も含めた、原作小説をそのまま映像化する、と言う事なのだろう。その結果として、原作小説の粗が見えたとしても、それもB級SFにはありがちだ、と思うしかない。

 物語の方は、主人公・ベンの目線で、彼に起きる事をテンポよく描いて行く前半部は引き込まれたが、後半、視点を引いて大きな物語を見せようとすると、設定の弱さと、整理されていない脚本がボロを出し始める、と言う感じか――格差社会の構造を維持する為に、フェイク映像をTVで流して大衆を操作しようとする政府(=富裕層)と言う構造を、ベンがひっくり返す、と言う展開はいいのだけど、その見せ方がごちゃごちゃしていて、最後の逆転劇が痛快なものになっていないのだ。この辺、反体制のうねりがあると匂わせるとか、終盤でベンが拘束し、真実を知ったアメリアが、重大な機密をリークするとか、やりようはあったように思うのだが……
 
 映画を観終えて思うのは、身近に潜む恐怖を得意とするスティーヴン・キングに、やはり、SFは無理、と言う事……それならば、いっそのこと、映画「バトルランナー」のように現代に見合うようにアレンジし、物語も整理すればよかったのに、原作そのままに拘った結果、その問題を露わにしてしまったように思えてならない。 
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