マランツァーノ海将は、イタリア海軍の勇将で、侠気にあふれ指揮能力にも優れる。
ソコトラ島の海戦に独海軍を援護する役割で出撃したイタリア海軍が、遣印艦隊(この世界では第二次世界大戦の日本の連合艦隊よりはるかに強力な水上・水中・航空打撃力をもつ)との接触で木っ端みじんにされた後の生き残りのイタリア艦隊を指揮する立場になる。角田覚治提督の率いる大艦隊に追われながら、自軍の残存艦艇を励ましつつ、勢力圏への逃避行を指揮する羽目になる。何度マランツァーノ頑張れと心の中で応援したことか。
佐藤大輔のレッドサン・ブラッククロスシリーズは、欧州・北米を支配するドイツ勢力と、ブリテン島を追い出されカナダ・オーストラリアに本拠を移した英軍とその同盟国日本との戦いを克明に描いたもの。
ここで、日本の読者から見ると敵方であるにもかかわらず、感情移入・応援したくなる人物が多く登場するのが、佐藤大輔の架空戦記の特徴。敵方にも侠気にあふれた有能な漢が次々と登場するのがすごい。この点、敵方が狡猾で科学力の優位で推してくる荒巻義雄のシリーズと異なるし、基本が日本側に立って戦況を綴る横山信義とも異なる。
この辺り、フェアに両陣営の頭脳戦を描いた映画版「眼下の敵」(原作小説版は違うテイストになってる)の様な、熱い記述が出来る希有な架空戦記作家でした。惜しむらくは早川からでた数点のSFも含めてほとんどが未完のまま、亡くなったことです。
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