3月2日。
1本目。インドネシアのアクション映画「ジャカルタ13爆弾」。暗号通貨によって国の今のシステムを変え、経済的な弱者を救おうという野望を持つ男がジャカルタ市内で爆破事件を起こす。要求を呑まねば、8時間ごとに残る12個の爆弾を爆破するという。テロリストグループ、政府の対テロ対策本部、そして暗号通貨を作りだしたハッカー技術を持つグループの三者三つ巴の戦い。手に汗握るアクションと目まぐるしい展開のエンタメ大作。ちょっと疲れた。
2本目はモンゴル映画「シティ・オブ・ウィンド」。主人公は17歳の高校生にしてシャーマンでもある少年のゼ。彼は田舎の村ではおどろおどろしいお面をつけてシャーマンとして悩める人々の治療にあたる。町では制服を着て教室で学ぶ普通の高校生。治療対象の少女との出会いから、いろいろな世界を体験し、外面も内面も変わっていく。少女はモンゴルを出て韓国に行ってしまう。伝統を残しつつも近代化の進むモンゴルの今を描いた作品。
最後に見たのは、エドワード・ヤン脚本、ユー・ウェイチン監督の1981年制作の「1905年の冬」という映画のデジタルリマスター版。エドワード・ヤンが彼自身の映画を作り始めるよりも前に書いた脚本で、まだ無名だった頃の作品。香港資本で作られたため、台湾では大っぴらには上映されてこなかったのだそうだ。
舞台は日露戦争当時の日本。上海から日本に留学してきた李維儂は上野の美術学校で西洋絵画を、河合音楽学校でピアノを学び、演劇にも参加するという全方向芸術オタク青年。ピアノ科で学ぶ日本人の晴子と恋仲になる。友人の趙年は革命を語るが、維儂は晴子との恋愛と自分が主演することになっている翻訳劇「椿姫」の公演で頭がいっぱいだ。下宿先の大家さんは夫を(たぶん日清戦争で)亡くし、息子は日露戦争で出征中。戦争が終わり、これで息子も帰って来ると喜んだのも束の間、戦友が遺骨を届けに訪れ、彼女は悲嘆に暮れる。
維儂の実家が倒産し、公演費用が出せなくなり苦悩しているのを見かね、晴子が待合で軍人の相手をして金策をした結果、公演は成功する。しかし、彼女が待合で客を取っていたというのを人づてに聞いた維儂は彼女の真意も知らず罵倒してしまう。また、政治活動をしていた趙年は当局に追われ、遺体となって見つかる。彼らは6年後の1911年には革命が起こることなど知るよしもなかった。
一部は日本でロケ、一部は台湾で撮影されたというモノクロの映像。設定としては日本での物語なのだが、全編中国語。日本人役もすべて台湾の俳優が中国語で演じている。そのせいか、なんとなく着物姿での歩き方やお辞儀の仕方などの所作がところどころ気になった。待合に勤める女性がお座敷の襖を開けるときも、膝をつかずに、立ったまま開けていたし。でも、なんかあの暗い時代の雰囲気が伝わってくる不思議な映画であった。
主人公の維儂は、実在の李叔同という人物をモデルとしている。中国に帰国後も芸術家として大成した。李が芸術を愛し、日本人の恋人がいたことなどは事実だが、革命青年の趙年は架空の人物。このような人物を登場させようというのはエドワード・ヤンのアイディアだったが、これを演じたのは、アクション映画で有名なツイ・ハーク監督。上映後のトークで、ユー・ウェイチン監督は「ツイ・ハークにやらせたら、あの独得の顔と存在感で、他の俳優の演技を食ってしまった」と笑わせた。
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