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2022年03月14日17:26

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大阪アジアン映画祭覚え書き(12日、13日)

12日
ベトナム映画「椿三姉妹」
古都フエの大邸宅「白椿園」に暮らす富豪のリー家。
一家は骨董のオークションで財を成しており、三姉妹の長女レハは、オークションを仕切る競売人。
次女のホンは、実の姉妹であることを隠して、オークションではサクラを務め、リー家の家宝の鳳凰柄の衣装を最高額で競り落とす役。
三女のレハはサイゴンで何不自由なく暮らしていたが、突然、帰省。その夜、彼女の乗っていた車は、白椿園の手前の道で、自転車に乗っていた怪しい男を轢きそうになる。
豪華絢爛のお屋敷に住む富豪姉妹のファッションやら恋の駆け引き、お宝を巡っての騙し合いを楽しむコメディと思いきや、途中からはいくつかの家族の愛憎を絡めたドロドロの展開に。三女のリンを演じたのは、以前に大坂アジアン映画祭のクロージング作として上映されたベトナム版の「パパとムスメの七日間」でも主演したケイティ・グエン。他の二人の姉妹を演じた俳優たちも、過去に日本でも上映されたベトナム映画「サイゴン・クチュール」や「夏至」などに出ていたらしい。
骨董ビジネス、母娘、姉妹の相克というストーリーは、台湾映画「血観音」を思わせたが、政治ミステリー絡みの台湾映画に比べ、こちらの映画はエンタメ大作。シリーズ化されているらしく、続きも気になる。

13日
横浜聡子短編集
昨年の大阪アジアン映画祭でグランプリを受賞した横浜監督の特集。
「ホンスンドンスコスコ」
ほんの4分の短編。このわけのわからないタイトルは、ある夫婦が本人かどうかを確かめるための合い言葉。電話に出た夫が「ホンスンドン」というと電話の向こう側で妻が「スコスコ」と答える。奇妙な作品だが、短い中にもドキッとするシーンが含まれ、味わい深い。

「ちえみちゃんとこっくんぱっちょ」
横浜監督のデビュー作。
青森で歯科技工士として働くのり子は、高校時代の友人ちえみから結婚式の招待状を受け取る。高校卒業後、音信が途切れ、気まずい関係となっていた二人。東京に出稼ぎに行っていた父は、自分より年下の若い女性、じゅん子を連れて帰ってくる。ちえみがのり子の働く歯科医院を訪れ、のり子はちえみの差し歯を作る。のり子は、高校時代、ちえみが暴力を振るわれている場面を見ながら、助けられなかったという負い目を持っていた。その記憶は、飼い主に虐められている犬を見た時にも蘇る。じゅん子はドライブ中に事故を起こして病院に入院し、実は東京の夫のもとから逃げてきていたことがわかる。退院したじゅん子は去り、父も出稼ぎ先に戻る。のり子が自転車で虐められていた犬の飼い主の家の前に来たとき、いきなり二階の部屋が爆発し、飼い主の男が焼け焦げて宙に飛び出す。
横浜監督の豊かなイメージと、何とも言えぬストーリー展開、カタルシスを生む奇想天外なラストに、才能を感じる。青森の方言がところどころ聞き取れない。英字幕を拾い読みした。
「有村架純の撮休 ふた」は省略。

短編2(3本で1つの枠)
�‘�本映画「アウトソーシング」
会社に代わって社員の採用活動を行う代行会社。応募する学生は、この代行会社員とのリモートでの一次面接、二次面接を経て、最終面接に進む。じつは、そのリモート面接を受けているのも別の代行会社の社員で、面接専門の別人。というブラックコメディ。まあ、途中でからくりはわかるが、今の世相を反映した作品。
�▲ぅ鵐姫撚茵嵎譴離�ールフレンド」
市場で働くレヌカは、夫を亡くした後、サディヤーという恋人がいた。レヌカの成人している息子は母とその恋人の関係をよく思っていなかったが、母は自分にとっては彼女がいちばん大事、と言って悪びれない。
�4攅餘撚茵崋蠡泙鯒磴い法廛ぁΕ劵腑鵐献經篤帖塀�性)の作品。
ピアノ教師のインギョン。恋人の日本赴任が決まり、自分も日本語を習い始める。が、なぜ日本語を習いたいのか、うまく答えることができない。日本語教室で出会った男性ヨンギュンに頼まれ、彼にピアノを教え始める。
数ヶ月後、ヨンギュンは唐突にピアノのレッスンを辞めてしまい、ちょっとがっかりする。恋人も日本に旅立った。彼女は韓国に残り、ピアノ教師を続ける。新しい日本語講師に日本語を学ぶ目的を聞かれ、晴れやかに「趣味です」と答える。
タイトルは、新美南吉の童話「手袋を買いに」を思い出すけど、それとは関係はない。
インギョンは、過去に恋人と京都の宝泉院を訪ねたときに手袋を片方なくした。日本語教室で出会ったヨンギュンは、結婚を控えており、新婚旅行で大阪に行く予定だと語ったので、だったら京都の宝泉院でなくした私の手袋を探してきて、と頼むエピソードから。
日本語教室の生徒同士として日本語で会話をするシーンがあり、大阪や京都の地名も出てくるので、なんとも大阪アジアン映画祭向きの作品だなあと思ってしまった。
昨年の釜山国際映画祭の短編部門のグランプリ作品である。

バングラデシュ映画「地のない足元」
モハンマド・ラッビ・ムリッダ監督の長編デビュー作。
洪水で粗末な家屋が水没している写真から、なんとなく想像はしていたが、想像を3倍くらい上回る苛酷なストーリーだった。主人公は、ダッカで民間救急車の運転手として働くサイフル。故郷の村では年老いた両親と妻のミナと幼い娘、まだ赤ちゃんの息子が彼の仕送りを待っている。その村が大洪水に飲まれ、一家の暮らしは窮地に陥る。早く助けに来てという妻の電話にも答えられない。もう何ヶ月も給料は遅配、しかもダッカで現地妻的に関係を持った女性の兄には正式に結婚できないなら多額の手切れ金を寄こせと脅されている。その追及を逃れた先の安宿で命綱の携帯を盗まれ、雇い主から前借りで新たな携帯を手に入れ、次から次へと来る急患や事故死体を運ぶ激務に勤しむ。ミナの方は、洪水で食物も飲料水もままならない中、老齢の父親は息絶える。一面の洪水で埋葬する土地もなく、親族に助けを求めても拒絶されて途方に暮れる。都会でのサイフルの窮状と、村でのミナの窮状が交互に映し出されるが、どちらもにっちもさっちも行かないほど追い詰められ、事態は悪い方へ悪い方へと進む。運の悪い主人公が次々と災難に見舞われる巻き込まれ型映画というジャンルがあるが、これはコメディ要素は微塵もなく、ドキュメンタリータッチでとことん救いがない。90分の映画だったが、2時間くらいに感じた。見ているだけでエネルギーを使い果たした感じだ。友人に次の映画のチケットが余っているから行きたければ譲りますよといわれていたが、とてもそんな余力はなく、真っ直ぐ家に帰った。
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