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2021年12月31日16:07

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映画「オー!スジョン」

「カンウオンドのチカラ」と続けて見たホン・サンス作品。

モノクロームの映像。登場人物は、テレビ番組のディレクター クォン・ヨンス(ムン・ソングン)、彼と共に仕事をしている構成作家 ヤン・スジョン(イ・ウンジュ)、彼の後輩の画廊経営者 キム・ジェフン(チョン・ボソク)の3人。2000年の作品だが、私がよく知っている2010年年代以降のホン・サンス作品とよく似た雰囲気だ。

 30代のジェフンは、先輩のヨンスと一緒にギャラリーにやってきた20代のスジョンに一目惚れ。なんとか彼女を恋人にしたくて交際を申し込むが、断られ、お酒を飲んでいるときだけ恋人になっても良いなどといわれて承諾する。その後もなんだかかんだと振り回された挙げ句、最終的にはセックスするに至るという、身も蓋もない話。
 ただ、前半(もしかして偶然)ではジェフンから見た話、後半(もしかして意図)ではスジョンから見た話となって、ちょっとずつ違う形で出てきて、そのバリエーションのつけかたがおかしくて、つい笑ってしまう。
 例えば、�ゞ垢ぐ�み屋でヨンスがトイレに立とうとしてテーブルが揺れ、箸が床に落ちてしまう。すいません、箸くださいというジェフン。お箸ならここにあるわよとテーブルの上の箸入れを示すスジョン。��同じ飲み屋でヨンスがトイレに立とうとしてテーブルが揺れ、食器がひっくり返る。すいません、ティッシュくださいというジェフン。ティッシュならここにあるわよとテーブルの上のティッシュを示すスジョン。
 TV局の雇っている運転手との悶着とか、景福宮の中の公園で手袋をなくすというエピソードもまったく違う形になって繰り返される。そういった話が限りなく出てきて間違い探しをしているみたい。ふたりの記憶がこんなにも食い違っているということ?

 日本に関連したエピソードも少しだが出てくる。ジェフンは、日本に行った人が買ってきてくれたカメラをヨンスに貸すが、ヨンスは無造作にポケットに入れたりしており、挙げ句の果てそれをなくしてしまう(「カンウォンド」でウンギョンがなくしたカメラを思い出す)。また、スジョンが乗ったナムサンのロープウェイが電源の故障で宙吊りのまま止まってしまう。その時にロープウェイの中の乗客たちの話し声の中で、話し手の顔は映らないが「こういうのってよくあることだよね」といった日本語の会話が聞こえる。
 それから、ロープウェイが運行再開し、駅に着くと乗客たちが降りてくる。その時、3人の女の子が(たぶん英語で話しかけ)スジョンに写真を撮ってくれと頼む。ロープウェイの駅の前に3人並んだ女の子たちは、スジョンがカメラを向けるとピースサインをする。それがいかにも日本人っぽい仕草に見える。

 ジェフンの画廊は景福宮のすぐ近くにあるという設定だ。確かに景福宮の東側にある三清洞(サムチョンドン)には、大小多くのギャラリーがある。景福宮内の国立民俗博物館に行くときに通るので、道すがらギャラリーを覗くことも多い。この映画を見ていると、景福宮の周辺を散策した時のことを思い出して、なんだかやるせなくなった。いつ、また、行けるのかなあ。

 スジョンを演じたイ・ウンジュがとてもかわいらしい。顔が似ているわけではないが、その雰囲気は、最近のホン・サンス作品の主演を続けているキム・ミニに通じるところがある。撮影当時20歳だったんだけど、それよりも年上にも見えるし、子供っぽさも見え隠れしていて、どことなく世間ズレしていないような感じも。ジェフンを演じたチョン・ボソクは、若い頃の北山修にちょっと似ていた。

イ・ウンジュは、この映画の5年後の2005年に25歳で自ら命を絶っている。彼女の出演作で一番有名なのはイ・ビョンホンと共演した「バンジージャンプする」だろう。これは私も見ている。そのほかにチャン・ドンゴンとウォンビンの「ブラザーフッド」やハン・ソッキュと共演した「スカーレットレター」があるが、そのどちらも見ていない。
「虹鱒」という映画ではソル・ギョングとも共演しているが、この作品は日本では映画祭でしか公開されたことがなく、ソフト化もされていないので、幻の映画である。

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