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2021年09月09日15:29

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異色映画対決「ヒルコ/妖怪ハンター」vs.「サイコ・ゴアマン」

妖怪やら怪物やらの出てくる映画はたいして好きじゃない私だが、ちょっと話題になっている2本の映画が気になって京都みなみ会館に見に行った。

1本目は、塚本晋也監督が1991年に35mmフィルムで撮った「ヒルコ/妖怪ハンター」。
今回、デジタルリマスター版で公開。
主演は沢田研二。共に妖怪ヒルコと対決するまさお少年には、工藤夕貴の弟、工藤正貴。他に竹中直人、室田日出男ら。

この映画、私は全然知らなかったが、ファンの間では知る人ぞ知る傑作として語り継がれてきたものらしい。原作は諸星大二郎のマンガなので、やはりその世界観が感じられる。

異端の考古学者の稗田礼二郎(沢田研二)は、義兄の中学教諭、矢部高史(竹中直人)から、貴人の埋葬のためでなく、呪いを封じるための古墳を見つけたという手紙を受け取る。そんな古墳があるはずだというのは、かねてから稗田の学説でもあった。
稗田は自作のヘンテコな妖怪探知機だの、キンチョールなどを詰め込んだ大きなトランクを持って八木の勤める中学に乗り込む。八木と教え子の月島は古墳を調べに石室に入ったまま、姿を消していた。中学の校舎の中では次々と怪しい事件が起き、八木の息子で、その中学の生徒であるまさおとその仲間たちも妖怪に襲われる。そして、八木の解読した古墳の入り口と、その石室を開く呪文(「古事記」の別伝の一節で、稗田は「古事記」の文章が頭に入っている)を見つけ、その石室に乗り込んでいく。

30年前、平成の初期に作られた映画なんだけど、漂う「昭和」感。稗田の手にする秘密兵器の何もかもが手作りな感じとか、古ぼけた感じの田舎の中学校校舎とか。世界各国で学校を舞台にしたホラーが作られていると思うが、古い木造校舎の長い廊下のショットなど、先月に見た台湾映画の「返校」にも通じる。

私が注目したのは色彩だ。ロケ地は富山県の朝日町で、季節は夏。学校の周囲は濃い緑の山々と薄緑色の水田が広がり爽やかそのもの。禍々しい事件の舞台となる学校の花壇に真っ赤なサルビアとオレンジのマリーゴールドが咲いている。次に花壇が写るときには、濃いオレンジのカンナ。そして毒々しいまでに赤いハゲイトウ。その後に続く惨劇で流れる血の色を予感させるかのようだ。そして、暗い学校内ではほとんど無彩色となるが、稗田の持つ妖怪探知機のランプの赤、キンチョールの容器のプッシュボタンの赤、生徒たちがこっそり持ち込んだバドワイザーの缶の表面の赤い線などが、とても印象的に浮かび上がる。校舎内の壁に貼られている写真ニュース(写真はモノクロで、ニュースであることを示す角の△の部分だけが赤)というのも利いていて、デジタルリマスターの際に、赤以外の色の明度や彩度を落とし、赤だけを目立たせるようにしたのだろうなと思う。
稗田礼二郎という稗田阿礼に因んだ名前といい、「古事記」に出てくるヒルコとからめた伝奇ホラーミステリーといったところだが、中学生の青春ものっぽいところもあり、怖くない怪奇映画、ウルトラQシリーズの雰囲気もあった。

二本目は、カナダの「サイコ・ゴアマン」(コスタンスキ監督 2021)
ポスターには安っぽい作りの着ぐるみモンスターと何やら眼を輝かせた少女。ホラーじゃなく、とにかく楽しいという評判だ。
郊外の町に住むミミとルーク兄妹。仲良く遊んでいるようだが、絶対的な優位と権力を握るのは妹のミミ。二人はひょんなことから地中に眠っていたモンスターを呼び出してしまうが、そのモンスターを自在に操ることとのできる宝石を手にしたのもミミ。地球征服を狙うナントカいう星から来たモンスターはミミに「サイコ・ゴアマン」と名付けられ、何でもミミのいいなりに。そしてミミの両親、地球外の悪の軍団「テンプル騎士団」から派遣されてきたパンドラも巻き込んで大騒動。まあ、何に分類したらいいのかわからないが、コミカルな怪獣バトルものかな。途中でちょっと寝てしまったがストーリーはどうでもよく、ともかくぶっ飛んだ設定と脱力の展開で見せる映画。

この映画ではジェンダーや年齢のステレオタイプが小気味よいほどに解体される。ともかく、モンスター映画における少女といえば可愛くか弱い被害者のはず(ヒルコでもそうだった)が、ミミは最強。ミミの両親、スーザンとグレッグの夫婦の力関係も、髭面のグレッグが一番情けない。庭の穴を埋めるためにシャベルを手にした途端に腕に怪我、スーザンには役立たずと罵られる。ミミの兄のルークもとにかく気弱。それに対して、ミミはモンスターが出てこようが、決してひるむことはなく、誰に対しても「私に命令するつもり?」と怖いものなし。モンスターやら、テンプル騎士団の面々が、みんな昔のSF映画に出てくるようなクラシックな着ぐるみなのもおかしい。ハチャメチャな結末も含めてよくできていた。

でも、本音を言うとどちらも私の趣味って訳じゃないなあ。まあ、見て面白かったけど、こういうのばっかり見たいわけじゃないです。

映画館で見た予告編に、ウガンダ映画が出てきてびっくり。これ、4年前にプチョンのファンタスティック映画祭で見たのです。監督はビザが取れずに来館できなかったけれど、主演のアメリカ人俳優がトークに登壇。それが終わってから通路のところでつかまえて写真撮ったり、チケットの上にサインもらったりして、ちょっと話したなあ。日本にも「ゆうばりファンタスティック映画祭」という映画祭があるよ、といったら、日本にも行きたいと言っていた。実際に昨年のゆうばりで上映され、それで今、一般公開になったみたいだ。私、4年前に見たぞーと、ちょっと自慢したい。でもね、これもハチャメチャな映画です。右端の写真が、4年前に見た「Bad Black」。今回は「エクストリーム!アフリカン・ムービーフェスティバル」としてこれを含む3本が上映されるらしい。

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