他人に善を行うのは義務ではない、歓喜である。それを行う者の健康と幸福を増進する
――――ゾロアスター
かのアルフレッド・アドラー博士は、憂鬱に悩む患者に対してこう言ったという。
「この処方通りにしたら二週間できっと全快しますよ。――それは、どうしたら他人を喜ばせることができるか、毎日考えてみることです」
どうしてもうつ状態になっていると、我が身の不幸を嘆き、得てして「どうすれば他人を悩ませることができるのか」と考えがちである。たとえ、無意識にせよ。
博士はさらに「夜眠れない時間を利用して、どうすれば他人を喜ばせることができるか考えてみたらいい、それが病気回復への第一歩ですよ」と続ける。
すると、よく眠れる。
経験者として、重度のうつ状態のときにそんな余裕はないと断言するが、中程度の場合、自分の周囲に関心をもつのは、我が身のためになると思う。
なぜなら、他人を喜ばせようと考えることによって、自分自身の悩みや恐怖といった憂鬱の根源について考えなくなるからである。
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他人に対して善を行うとき、人間は自分に対して最善を行っているのである
――――ベンジャミン・フランクリン
要するに、他人を助けることに興味を持つことが大切なのだ。繰り返すが、重度のうつ状態のときは投薬と適切な休息が最も求められるのは間違いない。
が、生きがいのなさと人生のむなしさに苦悩することが、回復を妨げることも往々にしてあるのではないか。
いきなり善行をせよと言われても難しいだろう。
人は誰しも、ほんの少し、人間として注目されることを望んでいる。だから、まずは興味を持つことだ。それだけでも喜ばれる。
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