大学入学直後、偶然出会った本だが、その後の大学生活に大きな影響を与えた思い入れのある本である。「勉学がなぜ大切なのか」という誰もが抱く問にたいして、明快に述べた良書。
●大学の勉強は社会で役に立つのか?
大学の勉学は実務で役に立つのか。という問いかけはよくみられる。しかし、仕事に役立つ本当の力は、「内容」よりも「学ぶ力」である。
大学新卒者の選考で重視される能力がおおよそ大学での勉強とは無関連であるのは事実だ。しかし、それは採用時の話であって、採用された後では、重要となる能力はまた別なのである。
つまり採用後では、「コミュニケーション能力」や「チャレンジ精神」「主体性」「協調性」といった能力は仕事を進める上での必須・前提能力なのであって、それらはあって当たり前の能力である。
採用後に重要となるのは、仕事を力強く推し進める能力である。それが「問題を発見する力」「行動力・実行力」「つねに新しい知識・経験・学力を身につけようとする力」「論理的に考えられる力」である。
学生たちのなかには企業に入ることばかりに心を奪われ、入社後のキャリア形成のことをあまり考えない者が多い。だが、就職時に求めらる能力だけでは入社後、力強く進んでいくことができないことを示唆している。
●「学ぶ力」はいかに身に着けるべきなのか
では、どのように能力は養われるか。大学時代に熱心に勉強に取り組んだかどうかは、現在のキャリアにプラスの効果を与えていないことが明らかとなった。
さらにいえば、授業よりもサークル、交流活動に熱心だからと言って出世するわけでもない。
現在のキャリアを規定している要因は何なのか。これが第2の結果である。分析結果によれば、それは現在持っている知識・能力の水準である。
つまり、現在のキャリアを規定している要因は大学時代の学習熱心度ではなく、卒業後に培い身につけてきた現在の能力水準だというのである。言い換えれば、就職後の学習効果が現在のキャリアにはもっとも効いているという結果である。
●大学での勉強は将来のための必要条件である
大学での勉強は仕事ができるようになるための、十分条件ではなくとも必要条件ではある。本来は身につけていなければならない学習の習慣、学習力が社会人でも身に付いていない。それは、学生時代からのつけが回っている結果とも見てとれる。
答えがない世界であるのだから、自分に力がないと自覚することも難しい。
結局のところ、答えのない勉強のしかたは、大学時代から、あるいはそれ以前から、あらゆる機会を通じて、年月かけて、少しずつかたちをつくっていくしかしようがないものである。
社会出てからどれだけ学ぶことができるのか。これこそが、人生を左右する能力である。その一歩として、「学ぶ姿勢」を身に着けてはいかがだろうか。
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