相方をお迎えに行った帰途で一番よくする話は相方の職場の話である。
相方の同僚のTさんの恋愛模様。
相方の職場は女性が8割を占める。
相方は仲良くしている後輩の1名Tさん(おそらく一番知的でクールな感じ)の相談にのったと。
相方「で、私とハナさんの別れ話をした時のエピソード話したんだけどさ」
私「何ら臆するところも恥じ入るところもないので君さえよければその話題はフルオープンで構わぬよ。当然皆がわが英明なる判断に感心したのだろう?」
相方「ドン引きだった(笑)」
私「なぜだ!?(笑)・・・えっとどの話?」
相方から別れ話を出された時に、私が「んじゃ今から携帯の番号とメールアドレス消すね」と目の前で淡々と作業しようとした話だそうな。
相方「なんというかクールと言うかドライというか。」
私「ふむ、アレは記憶では君が『ハナさんは私と一緒になると幸せになれないから別れたほうがいい』と言ってたと記憶しているが?」
相方「でも、私が本心では別れたくないってことわかってたでしょ?」
私「いやぁ、あくまでもそういう大事なことは言葉にしなければ。こっちの都合で勝手解釈したらストーカーと変わらんし。」
相方「まったくわかってなかった?」
私「うっすらとしかね。だから何度も『君自身はどうしたいのか?』と聞いたじゃんか。こっちは別れたいとは思ってないけれど、君が別れたいのなら別れるよと」
相方「言葉にしない部分をくみ取らないのは付き合いづらいよね」
私「いや、発言を下手に裏読みせず素直にとるんだから付き合いやすいと思うよ。実際の発言と真逆の内容になる『言葉にできない本心』をくみ取れと言われるほうが付き合いづらいんじゃない?表に出てる言葉を正解とすべきであってさ。」
相方「母とハナーさん全く同じこと言ってるのよね。『相手の気持ちが離れたのに追いかけるストーカーの心理がまったくわからない』って」
私「うん、自分に好意を向けてない相手は基本的に好きにならんな。好意を持つのはそれぞれの範疇だから影響できないし。労力ばかりで報われない、ヘタすると相手に迷惑がられるだけだし。自分が好きな相手だからこそ、相手が自分から離れたいという願望も尊重したくなるんであって。自分が相手を好きなことと相手が自分を好きなことは本来別個の事象だから」
相方「ん?私が好意を持つから私を好きなのに、一方で自分が相手を好きなのと相手が自分を好きなのは別個の事象ってのは矛盾してない?」
私「お、鋭い。会話の中途で相手の矛盾に気づいて指摘するのは誤解しないために大事だよね。ああ、説明しようか。別個の事象ってのは世間一般的な意味合いで、まあ、相手の気持ちを無視するストーカー的なことをする連中への言葉かな。私が君を好きになった理由については。人を好きになる理由なんてのは人それぞれ千差万別なわけで。私の場合は『私を好きになってくれたから』というのが理由だということに過ぎないってことさ」
相方「つまり、私がハナさんを嫌いになったら・・・」
私「うん、私も君を好きではなくなるだろうから平和裡に別れることができる。だから安心していいよということさ」
相方「相手の気持ちに配慮なんかできないくらい、自分が相手を一途に好きになる感情は理解しないの?」
私「概念としては理解しているが私自身は絶対にそうならないな」
相方「最近、イベントで結婚を発表したアイドルがいたじゃない。『抑えきれる愛は本物の愛じゃない』とかってさ。」
私「周囲の迷惑も考えない言動は本物の愛じゃなくて『単なる欲望の暴走』だろうに。まあ動物が欲望めがけて暴走してもこっちに影響ない限り止めはしないがね」
相方「そういう一途さとか切なさに胸がドキドキしたり、キュンってなるんだけどなぁ」
私「ドキドキしたり、キュンってなるなら狭心症かもしれないから病院に行き給え。本物の愛はもっと広く深く相手や周囲を思いやって行動するものだ。例のアイドルはそのあたりがまるでわかってないんだろう。本来なら抑えきれない自分の『欲望』と言い直すべきだな。周囲の反対を押し切って迷惑をかけながらってのがモノホンの愛ならば、より好きな相手が見つかったらたやすく『今度こそ本物の愛だ』とか言ってドロドロ不倫に突っ走るのがオチだろう。」
相方「まあわかるけど。ロマンチックじゃないなぁ」
私「いや、かなりロマンチックだと思うぞ。私が君に向ける好意は、要は君から私への好意に正比例した鏡のようなものだ。君からの好意がある限り、私の好意は続くし、君の好意が途切れれば私の好意も終わる。むろん、私は君に好かれるために努力する必要がある。昔よりストレスをうけやすくなったんだよ(トホホ)」
相方「なんか私がストレスの原因みたいなのってやだなぁ」
私「最優先で気にする相手だからこそ一番のストレスになるんだ。どーでもよくて気にもしない相手はストレスにすらなれんのさ。要望をかなえられる間は良いけれど、君の要望に届かないこともあるわけで。そうなると私にとって君は最大のストレス元なのだよ。」
相方「うーん、複雑」
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