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2017年06月18日22:12

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【在住作家】『フォマルハウトの三つの燭台』のリアル

神林長平さんの新作を読了した。以下が読書メーターに投稿した感想。

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主題は「いかにして猫は人類を召使いにしたか」である。猫には敵わない。 一貫して作者が追及している「自分とは何者か?」と云う問いへの答えの一つである。 幽霊が出ても呪術や魔術が出ても、神林長平が書くとSFになってしまう。 ナベサダの「メシブロJazz」ではないけれど、神林氏が「何がSFであって何がSFでないなどという議論は無駄だ! 俺が飯を食えばそれがSFなのだ!」と云う宣言を聞きたい。
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さて、そんな作品であるが、神林さんは長いこと松本平に住んでいる。移住してからの作品はかなり地元の地名とかを作品に導入している。地元民ならではのニンマリしてしまうネタバレを。

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イノウ動物病院の伊能先生 (Kindle の位置No.286-287).
後に具体的な場所が記述されるが、実在する獣医さんがモデル。現在は安曇野市に移られたが、このモデルになった動物病院にほど近いところに住んでいた。僕は開院した頃からのおつきあいで、友人にも勧める獣医さん。

牛伏寺断層 (Kindle の位置No.907).
これがズレると松本市近辺は壊滅すると云われている活断層。実在する。

松本の老舗菓子店開智堂の羊羹〈 おい まつ〉 (Kindle の位置No.1293-1295).
店の名前は変えてある(開智学校にこじつけてる)。「老松」というお菓子は実在する。そこの店のCMは、伝統的な職人技ではなくロボットの生産ラインを見せ付ける映像だ。

降旗康男とか熊井啓 (Kindle の位置No.1448-1450).
どちらも実在の人物。降旗氏がいなければ、松本城天守閣は現存十二天守として残らなかった。熊井氏は松本サリン事件の映画でも有名。

臼井吉見 (Kindle の位置No.1450-1451).
中学生の頃に講演を聴いたことがある。明治からの信州の製糸業界は、隣の群馬県富岡製糸工場と比べて如何に苛烈な状況だったかを記述している。

田中康夫 (Kindle の位置No.1451-1452).
長野県知事を務めた人。伝統的な馴れ合いの地方自治行政に風穴を開けた偉人。

情報産業研究所 (Kindle の位置No.1660).
片倉工業の生物科学研究所と云うのがあった。昨年からイオンモール建設が始まり、殆ど取壊されてしまったが、一部の建物が残されている。
近くには「蚕糸公園」というのもある。
フォト

↑ ここがそれ

松本少年刑務所 (Kindle の位置No.1947).
実在する。それこそ、神林さんが住んでいた所のすぐ近所。受刑者の為の中学校分校があることで知る人ぞ知る施設。

松本ぼんぼん (Kindle の位置No.1965).
実在する。だいたい毎年八月の第一週に開催される、地方都市ならどこにでもある商店街主催の新興盆踊りイベント。

信州安曇平市、三郷大倉 (Kindle の位置No.2581-2582).
安曇平市は架空、実在するのは安曇野市。三郷村は現在は安曇野市域、小倉という地名は実在する。六冬和生の『松本城、起つ』でも舞台になっている。

堀金の公共温泉施設〈 ほり で ー ゆ 〜〉 (Kindle の位置No.2915).
実在する施設。現在は安曇野市だが、堀金村時代に建設された。向いは須砂渡キャンプ場で、キャンプで泥だらけの客でもニコニコ笑って受け入れてくれる。
穂高、満願寺 (Kindle の位置No.2919).
実在する心霊スポット。

「しゃくなげの湯 (Kindle の位置No.2922).
実在する温泉施設。前作『だれの息子でもない』では主要な舞台だった。

美ヶ原温泉郷 (Kindle の位置No.4194-4195).
実在する。浅間温泉から崖の湯まで連なる湯脈の中間。

元町で動物病院をやっている獣医師 (Kindle の位置No.4231-4232).
具体的な地名が出てしまった。実在する。でも、院長先生は七十歳を超えている筈。開院当時、うちで飼っていたマルチーズ犬は一桁台の患畜だった。今でもあんずとすももがお世話になっている。ここの院長、自分が気になるからと云って数千円はする検査を自腹でやってくれる。

やまびこ道路に出ると女鳥羽川をスポーツ橋で渡って北上、林蔵の実家 (Kindle の位置No.4459-4460).
思いっきりリアル! やまびこ道路はかつて国体道路と呼ばれていた幹線道路の一部。やまびこ国体以前は松電専用道路と云われていた。かつて路面電車が敷設されていた。林蔵の実家は浅間温泉のはずれ辺りだと推測される『死して咲く花、実のある夢』でも主人公の生家が設定されていた。女鳥羽川沿いにかつての県営体育館があり、そこに至る橋がスポーツ橋。

この他にも林檎の品種「しなのスイート」とか(僕はあまり好きではない)とか、ちょっと松本からは離れるが飯田あたりの名産の干柿である市田柿(正月には欠かせない)なんかが記述されている。
三�儷気遼楜鮹呂楼惰淕酳佞蠅茲蠅蓮�旧波田町(現在は松本市に合併)の上高地線・淵東駅から山に入った地域の雰囲気。人家から百米突と隔たっていない所に「熊注意」の立札が立っていたりするし、坂上田村麻呂所縁の仏教施設もある。

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