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哲学の塔コミュの第二章2

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『ごめんね。』
午前中の授業が終わり、クリス叔父さんの講義で、“禁じられた言葉”の怪談話を聞いて
昨日の出来事と、この奇妙な本の事を思い出したマシューは、外のキャンパスのヒース
の丘に腰掛け、また交信を試みてみた。
「おかしいな。やっぱり昨日は疲れていたんだな…」
そう言って、本を閉じようとすると、さっき綴った言葉が白地に消え、新しい言葉が現れ
た。
『馬鹿で、字が汚く、横暴で、最低の…君。』
「な…何なんだよ!」
『忘れていたのか?私の存在を?
 マシュー、君は物忘れも激しいアホなのか?』
「このトリックノートは兵器だな。言葉の兵器。これを作った人は、さぞ性格が悪かった
 んだな。可哀想に。」
マシューはめげずに書き込んだ。
『昨日は、色々あり過ぎて疲れていたんだ。』
『色々?』
『うん、色々』
この交信をしているうちに、マシューはだんだんと楽しくなってきた。
すっかり迷信に対する抵抗心みたいなものが取り除けられ、子供の頃にあった好奇心だ
けがそこにあった。
『色々って何だ?』
『だから、色々。』
煮えを切らしたのか、本がかすかに、わなわなと怒って震えている気がした。
突然ページに妖精のシルエットが現れ、地団駄を踏むように、ページの中を飛び回った。
「うわ!すごいな!」
『そ・の・色々をこと細かく教えろ!
 私は言葉を通してでないと、何も分からないのだよ!』
「もう、めんどくさいな…」
マシューはもともと、文章を書くのが得意だったこともあり。暇つぶしに、考えをまとめ
るために、今までのあらすじなんかを細かく書き出していった。
ヒースの丘を風がうららかに流れる。
30分を過ぎた頃だろうか、書き疲れたマシューはノートを地面に置き、自分自身もそこ
に寝転がった。
奇妙なノートと、少年。
その他にその空間には何もなかった。
ふと、彼がノートに目をやると、新たな注文が書かれていた。
『謎を記せ 解を示そう』
「謎?」
マシューは思い当たる謎を箇条書きした。
『謎を記す
 ・“哲学の塔”の落下死体はどこから落ちてきたのか?
 ・重力に逆らって浮上するリンゴとは?
 ・ロズウェル・アンダーソンはどうやって塔の密室から消えた?
 ・ロッド・シルバーフィールドの死体はどこに消えた?
 ・僕が生きている意味って何だろう?』
マシューは謎を記した。
『解を示す
 ・落下死体は、上から落下する。この世は重力で支配されている。
 ・それは発想の逆転だよ、君。
 ・それがこの事件の大きなヒントだ。
 ・誰かが動かしたか、生き返ったか、だ。
 ・そんなものは知らん。自分で考えろ。』
即答で返ってきた解にマシューは、首をかしげたが、最後の質問がやけに冷たかったの
に、少し心が傷ついた。
「答えになっているような、なっていないような…うーん。」
すると、また言葉が浮かんできた。
『全ての見えない謎の解が、ひとつの真実を導き出す。』
またマシューは考え込んでしまった。
どちらにせよ、事件の謎はクローバー警部か、私立探偵ウィザード・ドイルが解決するだ
ろうし。僕が思い病む事でもない、か。
おもむろに、マシューはある事を聞いた。
『君は信じる?この世に幽霊や魔術、宇宙人がいるって。』
少ししてから、答えが返ってきた。
『それを私に聞くのか?野暮だな。居るか居ないかは、人間に委ねられた解だ。』
「はは、確かに、野暮だ。僕は不思議に思う。今まで考えもしなかった。ここに来るまで。
 本当にそんなものが存在するのか?もしかしたらって…ね。
 この世は謎だらけだ。」
チラッと本を見た。
「君も不思議だ。妖精なんて居るのか?でも、ここに居るんだよね。謎だよ。」
『君の謎は、僕が解き明かすよ、クロエ。』
『面白い、望むところだ、マシュー・ハワース。』
マシューは微笑んだ。君が最大の謎だ。クロエ・W・ウィスパー。

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