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哲学の塔コミュの第五章6

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 「これが、密室の塔からの脱出経路…?」
3人は塔の裏側に来ていた。そしてマシューは馬にまたがり、その見えない脱出経路を確
認していた。
「下からじゃ、何も見えないよー!ただの塔の壁しか見えない。」
アリスが下から文句を言っている。
「うん、確かに。馬にまたがったこの位置に来てやっと確認できる取っ手だね。ここから
 外側の壁をよじ登る事ができるのか。取っ手は、壁が窪んでいるように作られていて
 全く外からじゃ確認できない。秘密の脱出経路だね。よく見つけたね、ドム。」
ドムは嬉しそうにするでもなく、素っ気無く答えた。
「マーク・サイモンのおっさんがみつけたのを、俺が確認したに過ぎない。」
「おっさんて…彼、僕らより少し年上なだけだと思うけど。」
マシューはそう言うと、馬から下りた。
「でも、凄いよマシュー!名推理!よく分かったね、ロッド・シルバーフィールドの密室
 の屋上、落下死体のトリック!」
「ま、まぁね。たまたまさ。」
マシューは、苦笑いしながら、本をさすっていた。
ありがとう、クロエ・W・ウィスパー。
「じゃぁ、エリさんも塔の入り口から屋上に突き落とされて、殺されたんだね…。」
アリスの暗くなった表情を見ながら、マシューは本のページを開いた。
「ええ!」
突然マシューが叫んだので、アリスもドムも驚いていた。
塔の入り口から離れながらドムが怒る。
「お前、さっきから何なんだよ!」
「いや…その、エリさんは殺されたんじゃないんだ…。」
『エリは自殺だ。
 君、以前、マーク・サイモンから遺書を預かったそうだね?
 それは彼の遺書ではない。』
「遺書が…あるはずなんだ…。」
「ああ!」
次はアリスが突然叫び、マシューとドムが驚いた。
ますますドムが怒りをわなわなさせる。
「お前ら!いい加減にしろよ、馬鹿が、叫びやがって!」
アリスは、くしゃくしゃになった、封筒を鞄から取り出した。遺書と綺麗な字で書かれて
いた。
「これ、塔の下の草むらに落ちていて、ロズウェルの遺書かと思ってた。」
「いや、これはマーク・サイモンから渡された遺書だ、恐らくエリさんの遺書。」
マシューは、封筒から手紙を取り出した。
そこには、こう書かれていた。

『もう、絶影。
 月が欠けた、星屑の魔。
               エリ・マーリン』

意味は分からなかったが、絶望の淵に落ちて、死を予感させる内容だった。
「どうして…エリさん。」
アリスの悲しそうな表情を見て、マシューは静かに答えた。
「魔女の血を引く自分自身を気に病んでいたのかもしれない。だから…」
ドムは答えた。
「だとしたら、彼女はこの塔のカラクリを知っていたことになるのか?塔の入り口から
 飛び降りたってことだろ?」
エリさんはなぜここで自殺を?誰かに教えてもらったのか?
ページに文字が現れる。
『エリの自殺を示唆した者が存在する。
 哲学者の本当の正体は?
 君は、神を信じるか?』
その瞬間、マシューの頭の中に、様々な出来事がフラッシュバックした。
そして塔の中を浮上する赤い風船の映像が浮かんだ。
なおも、本の妖精、クロエ・W・ウィスパーは続ける。
『哲学者の本当の正体は、マジシャンだ。
 そして彼はまだ生きている。身体に大きな傷跡を残して。
 そのマジシャンの名前を私は知っている。遠い過去に聞いた事がある。』
マシューたちは、恐る恐る塔の中に入っていった。
見上げると、永遠に思われる螺旋階段が、暗闇の中に続いていた。
『上空で、飛行機を消した男。
 “ハイドパークの亡霊”事件を引き起こした史上最悪の魔術師。』
マシューを先頭に、袖を引っ張りながら続くアリス。後方を警戒しながら続くドム。
3人は、不気味な塔の螺旋階段を上がっていく。
「アリス、何が起きても、僕が君を護るから。」
アリスは、嬉しそうに頷いていた。
マシューは、迷宮の先に見える真実の入り口の光を見据えた。
クロエ・W・ウィスパーは告げた。
『その名は、エデン・シルバーフィールド。』

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