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哲学の塔コミュの第五章2

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 一瞬の闇に覆われたかと思うと、急に地面が落下したように落ちる感覚に陥り、どこ
かに到着したように、新しい出入り口が現れた。
その先には、蝋燭で灯しただけの不気味な通路が続いていた。
クローバー警部は、その廊下の先を歩くクリスの姿を観察していた。
まるで今の出来事が、何ともないように、ひょうひょうとしている姿に、ある意味、疑念
を感じた。
偶然にこの場所に居るのか?
そもそも、塔の密室内で、どうやってウィザード・ドイルを殺害し、更に屋上からロズウ
ェル・アンダーソンの死体を切断し落とし、更には、その密室の塔から抜け出したのか?
しかし、この妙な塔の仕組みで今みたいに移動し、この通路を抜け、もう一度、元の場所
にドイルの死体ごと、この場所を移動させれば、密室の完成か?
「これが、“哲学の塔”のトリックだったんですよ。」
おもむろに、クリスは真相を告げ始めた。
「ここは、どうやら地下のようです。ほら、ここに、サイロン教授の研究室がある。
 恐らく彼は、今の仕組みを利用し、地上に上がっていたのではないでしょうか?」
クローバー警部は怪訝な表情で尋ねた。
「つまり、奴が犯人か?」
「いえいえ。彼はこの仕組みを知っていた。もちろん今まで起きた不可思議な屋上の落下
 死体の謎も、真相を知っていたのかもしれませんが。」
クリスは続けた。
「この“哲学の塔”不思議なんです。
 窓がひとつもない上に、壁の厚さが3メートルはあり、おまけに螺旋階段には手すりも
 ないのに、それ以上に天地逆さまの構造と、不気味な土地伝説のせいで、その違和感を
 カモフラージュされていた。
 “哲学の塔”殺人事件にはうってつけの舞台だった。」
クリスは微笑んでいた。
「貴様…まさか?」
クローバー警部は、少しずつ警戒を始めていた。何かが可笑しいと。
「巨大な塔のエレベーターだったんです。ロンドン・アイに乗った時に、気づいたんだ。
 パンツは見れなかったけどね。
 僕たちは今、その巨大エレベーターの中の巨大な乗り物に乗ってきたんだ。
 屋上も一緒に地下まで降りるわけだから、その時だけ、どこよりも高いはずの塔の屋
 上は地上よりも低くなるんだ。」
「その瞬間、地上から被害者を塔の屋上に突き落としたんだな?」
クローバーは警戒の眼差しで、クリスを睨みつける。
「そんなに警戒してどうした?警部。」突然背後から声がする。
 暗闇の中から誰かが尋ねる。
恐怖に駆られたクローバー警部は後ずさり、廊下に出る。廊下の先のクリスにも警戒の
視線を送りつつ、もう一度暗闇に視線を落とす。
すると、そこに私立探偵ウィザード・ドイルが佇んでいた。
クローバー警部の顔が蒼ざめる。
「馬鹿な…お前、今しがた死んでいたはずじゃ…?」
すると、背後からクリスがくすくす笑う声が聞こえてきた。
「お前たちグルか!くそ!はめられた!」
警部は、逃げ場を失った。
絶望の淵に立たされた。
私立探偵ドイルは、不敵な笑みを浮かべた。
「…驚いたろ?実際、誰だって騙される。この私の、元演劇部1位の素晴らしい演技によっ
 てな。ふはははは。」
クリスも、同時に笑っていた。
「君は、相変わらず変わらないな。僕も、この警部さんを騙すのに、相当精神を削ったんだ
 よ。ははははは。」
ふたりは何が可笑しいのか、ふざけて笑い続けていた。
「ふざけるな!どういうつもりだ!」
クローバー警部は怒りと猜疑心の満ち満ちた瞳で彼らを交互に見比べる。
彼らは無視し、続ける。
「でもどうして分かったんだい?ドイル?」
「あの奇術師が、最初に塔を観察すると中に入っていき、出てきた時に、入っていく時に
 持っていた鞄を持っていなかった時に、あれ?と思って。」
クリスは頷いている。
クローバー警部は水を喰らった鳩のような表情をしていた。
「次は、実際に屋上でロッドの死体に遭遇した時だ。確かに死体には変わりなかった。だ
 が、何か違和感を感じてな。死体に触れることもできなかった上、次の日には死体が消
 えている?警察が居ながら可笑しな事実だ。」
クローバー警部は、目を泳がせていた。
「私は塔の密室で死んだフリをした。そして、お前は近づくことも、触れることもできな
 かった。おまけにクリスがサクラとなり、この演出に磨きをかけた。」
ドイルは静かに続けた。
クローバー警部は観念したように、うつむいた。
「これが、お前と、ロッド・シルバーフィールドが共謀したトリックだ!」
その瞬間、クローバーは笑い出した。
「あんたらは何も分かっちゃいない、もっと恐ろしい真実を!」

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