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哲学の塔コミュのシルエット4

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 よっつ目のシルエットと、ひとつ目のシルエットが並んでいた。
でも、どちらも同じ形をしていたので、誰にも見分けることはできなかった。

 よっつ目のシルエットと、ひとつ目のシルエットが囁き声で話していた。
でも、どちらも同じ声をしていたので、誰にも見分けることはできなかった。

 よっつ目のシルエットと、ひとつ目のシルエットは全く同じ影だった。
蝋燭の炎が揺らめき、ふたつの影を壁に照らし出す。

 ふたつのシルエットは写真を眺めていた。
「証拠を残してはいけない。でも君との思い出も…」
「大丈夫。心は忘れない。」
ふたつのシルエットは肩を抱き合った。

 ひとつ目のシルエットは、その蝋燭の炎から遠ざかりながら囁く。
「君の遺体は、私が必ず回収しに行く。
 そして…もう一度公然と、次は君の存在を示す。
 こうして私たちはこの邪険な世界から消えることになる。もっとも私には最後の仕上
 げが残っているのだがね。」
そして闇に影を消した。

 よっつ目のシルエットは、ある男に電話をかける。
シルエットがひとつだけ、蝋燭の炎に揺らめいていた。
「私だ。明日、“哲学の塔”の件は頼んだよ。私は死ぬのだから。」
男は驚いていた。
蝋燭の置いている、怪しい西洋風の部屋の中央に位置するテーブルで、そのシルエット
は笑っていた。
「そんな声をなさるな。死んで、その謎を提示してやるのだよ。
 とにかく、私は死ぬ。あの“哲学の塔”で。そして君に一役買っていただきたい。」

電話の相手は黙っていた。
「何、心配なさるな。君の秘密は秘密のまま。
 なぜなら私は死ぬのだから、な。ははははは。」

シルエットは不気味に揺らめいていた。

 そのシルエットは沈黙を続ける男に語り続けた。
「後のことは任せる。
 私は魔術師だ。私の本当の力を見せて差し上げる。
 世にも奇妙な“哲学の塔”で巻き起こるマジックショー。
 観客は度肝を抜かれるに違いない。」
シルエットは、高々と笑い上げる姿を壁一面にさらした。
もうひとつのシルエットの真似をするように。

これまでの人生同様に、演じきっていた。

シルエットは、なにやら紙切れのようなものを手にすると、蝋燭の炎にかざした。
それは証拠の写真だった。
その紙切れが燃えて、灰になる。

「死体は屋上に放置しておきたまえ。
 そのうち忽然と死体は消えるだろう。その手はずだ。
 私はこの日を待ち望んでいた。
 自分の命を懸けてでも、提示したい謎がある。」

電話口の男は何かを言った。

「ほう、ならその少年を連れてきたまえ。
 相応しい。この謎を最前列で鑑賞するには相応しい。
 明日の君の動きには、期待しているよ。
 親愛なる同士よ。」

そして電話を切ると、シルエットは蝋燭の炎をかき消した。
そして部屋は闇に包まれた。

それは、ロッド・シルバーフィールドが殺される1日前の出来事だった。

そして今、ひとつ目のシルエットは、深い森の中に静かに潜んでいた。
予想通り、ヒースの丘からシルエットがひとつ、蹄を鳴らしながら深い森の迷宮に迷い
込んできた。
ひとつ目のシルエットが、その迷い羊のシルエットに拳銃を向ける。
「ショーのお開きだよ。マシュー・ハワース君。」

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