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俳諧師:近江不忍コミュの 六、倒置法(たうちはふ)に就いて 『發句雜記』

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この作品を讀む時に、この音樂を聞きながら鑑賞して下さい。
 これは自作(オリジナル)の

 『(JAZZ風に)』

 といふ曲で、YAMAHAの「QY100」で作りました。
 雰圍氣を味はつて戴ければ幸ひですが、ない方が良いといふ讀者は聞かなくても構ひませんので、ご自由にどうぞ。






     六、倒置法(たうちはふ)に就いて 『發句雜記』

 發句を詠んでゐる内に、次第に表現が單調になつて句作が面白くない、と感じる事がある。
 さういふ時、いくつかの脱出する方法があり、その一つを述べれば、倒置法(たうちはふ)がある。
 
 
 倒置法とは讀んで字の如く、語順を逆に置く事にある。
例へば、

   おとへたえ犬が吠えたり冬の月 不忍

 と讀み下さず、

   冬の月犬が吠えたりおとろへた

 と詠む方法の事である。
 これは一種の技巧で、そればかりに重きを置くのは考へものであるが、使ひ方によつてはかなりの効果を齎(もたら)すものである。


 どういふ効果かといふと、先に述べた句で説明すれば、

   おとろへた犬が吠えたり冬の月

 と詠むと、犬が吠えてゐる先を見ると月があつた、といふズウムアウトの景色になるが、

   冬の月犬が吠えたりおとろへた

 と詠めば、いきなり全景を眼前に浮び上らせる事が出來、月竝ではあるが、「犬が吠えたり」と持つて來て、最後に「おとろへた」と内容を引締める、ズウムインの手法となつてゐる。


 かうする事によつて得られる効果は、句の内容ばかりでなく、何よりも單調な句作の壁から拔け出す切掛けとなるかも知れないといふ事である。
 しかし、これは飽(あ)くまでも手段であると言へるので、多用すれば、再びマンネリズムの沼を這う事になつてしまふと言へよう。


 ところで例題の句は、

   冬の月おとろへた犬が吠えたり

 かう詠むのが一番自然なのかも知れない。
 けれども、これでは確かに十七文字で季語を有してゐるものの、五五七となつてしまひ、無理に詠んでも五八四となるので、「破調の句」となつてしまふ事になる。


 そこで、

   冬の月おとろえた犬吠えにけり

 とする事で、思ひが一つに纏るのではないかと思ふ。
 實(まこと)に、發句とは愉しいものである。

一九七四年昭和四十九甲寅(きのえとら)年極月(ごくげつ)大晦日(おほつごもり)




七、倒裝法に就いて 『發句雜記』
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=52414783&comm_id=4637715


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