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俳諧師:近江不忍コミュの五、「上句十音」以上の『字餘り』に就いて 2、第六章『字餘り』の『拍子』に就いて

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 この作品を讀む時に、この音樂を聞きながら鑑賞して下さい。
 これは自作(オリジナル)の

 『motion1(cembalo)』

 といふ曲で、YAMAHAの「QY100」で作りました。
 雰圍氣を味はつて戴ければ幸ひですが、ない方が良いといふ讀者は聞かなくても構ひませんので、ご自由にどうぞ。






 2、第六章『字餘り』の『拍子』に就いて

     五、「上句十音」以上の『字餘り』に就いて

 次は「上句十音」の『字餘り』である。

  C♪♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪|†ζζζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|
   ろ のこゑ なみを  うつ  て      はらわたこほる よやなみだ
   櫓の聲   波 を  打   て       腸   氷 る  夜や 涙  芭蕉

 この句は、「上句十音」の『字餘り』の所で紹介した作品であるが、「打(う)て」が「打(うつ)て」の場合だと、「十音」になるといふ事はその時に述べたので、敢(あへ)てここに紹介した次第である。
 尤も、意味から言つても「打(うつ)て」の方が良いやうに筆者には思はれる。
 但し、「打(うつ)て」の時は、「波を」の『三連符(♪♪♪=†)』を解消する事は出來ないし、

  C♪♪♪♪|♪♪♪ ♪♪†ζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|ζζ|
   ろのこゑ   なみを うつて   はらわたこほる よやなみだ
   櫓の聲    波 を 打 て     腸   氷 る 夜や涙   芭蕉

 このやうに、弱起の句にも出來る事に變りがない。

 扨(さて)、「上句十音」の『字餘り』は、この句以外に見つける事が出來ないばかりか、これ以上の『字餘り』の句も、僅かに与謝蕪村の一句がある許りであつた。

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|†ζζζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|
    たちさる こと いち  り      まゆげにあきの  みねさむし
    立ち去る 事 一  里       眉 毛に秋 の  峰 寒 し 蕪村

 これ以外に見當らなかつた。

 そこで、この前の最後の項で述べた、

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|♪♪♪♪†ζ|

 この「上句十三音」の音型に就いて述べて見たいと思ふ。
 では、實際に「十三音・七音・五音」といふ音調の發句だと、どのやうのなるのか。

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|♪♪♪♪†ζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|
    わたしのなかにか  ぜがあつて   しづ かに うみは あきのなか
    私  の中 に   風 があつて   靜 かに 湖 は 秋 の中  不忍

 これは筆者が思ひつく儘に作つて見たのだが、更に、「上句」の最後に「も」といふ係助詞を加へて、「十四音」にするとどうなるか。

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|♪♪♪♪♪♪ζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|
   わた しのなかにか  ぜがあつて も   しづ かにうみは あ きのなか

 このやうに、「上句」の「二小節」目の最後に『四分休符(ζ)』が一つあつて、「一拍」の休みがしつかりとある。
 
この上は、「あつても」を「あらうとも」と「五音」にして、全部で「十五音・七音・五音」の「二十七文字」の音調にして見ると、

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|♪♪♪♪♪♪♪γ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|
   わた しのなかにか  ぜがあ らう とも    しづかにう みは あきのなか

 これでも「上句」の「二小節」目の最後に『八分休符(γ)』があり、『詠歎』が確保されてゐると考へる事が出來、いかにそれが重要なものであるかが理解されたものと思はれる。
 その意味でも、「上句」の「十五文字」は考へ得る最高の音數であらうかと思はれ、これでも「中七句」と「下五句」を合せた「十二音」よりも多い文字數なのだから、これ以上多くなつて、他の「中句」か「下句」に『字餘り』が出來てしまふと、短歌と同じ音數になつてしまふ可能性さへ生じて來る。
 いや、事實、「中句」と「下句」がこの儘でも、「上句」の「私」に「く」といふ一字を加へるだけで、

  C♪♪♪♪†ζ|γ♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|
   わたく しの    なかに かぜが あらう とも   しづ かにう みは あきのなか
 

              
 このやうに「五小節」になつて、『字足らず』の短歌と言つても通用しさうなぐらゐであるし、最初の「十三音・七音・五音」の音調の時でも、「下句」が「秋の中なり」と「七音」のなると、

  C♪♪♪♪♪♪♪♪|♪♪♪♪†ζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪♪♪†|
    わたしのなかにか  ぜがあつて   しづかにう みは あきのなかなり
 
 これだけで、「五七七」の片歌の『字餘り』のやうのなつてしまふ。
 これを最終形の「十六音・七音・七音」で詠んで見ると、

   C♪♪♪♪†ζ|γ♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪†ζ|♪♪♪♪♪♪†|♪♪♪♪♪♪†|
    わたく しの     なかにかぜが あらう とも   しづ かにう みは あきのなかなり


                
 このやうに短歌の雰圍氣になつてしまふので、發句を詠まうと思ふのならば、「下句」の「七音」は避ける可きである事が解る。
 それに「上句」の「十五文字」以上は、發句の基本的な形式の破壊といふ危険性さへ含んでゐると言へるだらう。

 では、「上句・中句・下句」の總てが『字餘り』なつて、その字數が短歌の『三十一文字(みそひともじ)』を越える事が出來ないかといふと、大いに興味のある問題だと言へるが、それはまた別の項に譲る事にしよう。



六、「中句八音」の『字餘り』に就いて 第六章『字餘り』の『拍子』に就いて
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=52701749&comm_id=4637715



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