モンスーリー家は7人家族、それに加え、今ちょうど新隊員のハルミさんが語学研修で来ており、部屋は人でいっぱいになっていた。突然現れた僕を迎え入れてくれたことにひどく恐縮したが、皆に言われるまま、客としてもてなされた。まずお茶が出され、ムッシュ以外には使っていない座布団を勧められ、入れ替わり立ち代り現れる村の人達にもちゃんと紹介され、しばらくして晩ごはんまで出てきた。あまりの歓迎ぶりに戸惑いながらも、いかにもおふくろの味といった感じの、美味しいTajine de poulletとアラビアパンをご馳走になった。今までは特に気にすることが無かったが、つまり、今まではレストランでの食事がほとんどだったので、常にフォークとナイフを使って食事をしていたのだが、ここではそういう食器は使わないので、左手を使わないように気をつけ、右手だけで食事をした。白い大きな平皿をみんなで囲み、おかあさんが右手だけで上手に鳥や野菜をちぎり分け、皆のほうへ寄せ配る。僕は数時間前にあれほど大量に食べたばかりにもかかわらず、再びタジンをたっぷりとご馳走になった。