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先生のストーリーテリングコミュの劇・シロクマと海の命の物語

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ある劇の一幕「シロクマと海の命の物語」

ここは、21世紀の北極海。地球環境の激変は、北極海の氷を解かし、シロクマも滅ぼしつつあった。
(暗い舞台、中央に氷の精とシロクマが座っている。そこにスポットライト)
(遠くから海の音、波の音、アザラシの声)
シロクマ:聞いてるかい、氷の精。もう僕はあと僅かだ。
     こうやって君と僕は、この海に消えていくのだろうか。
氷の精 :お前も私も、北極海最後の生き残りかもしれない。
シロクマ:僕が最後のシロクマ、そして君が最後の氷というわけだ。

氷の精 :私たち氷は、また海に戻る
     お前が私と同様に、海に入ったら、お前は、今までお前が
     食べていたアザラシや魚たちにお前が食べられる。それか
     らお前は骨になり、深く海の底に沈んでいく。小さな生き
     物がお前の骨まで食べ尽くす。お前はそうやって海の一部
     になっていく。
シロクマ:それじゃ、僕の思い出はどうなる。
     食べられたら、体がばらばらになるように、僕の心もばら
     ばらになるのかい。
氷の精 :お前の思い出もすべて、海の一部だ。
     お前達生き物は、形があるから、いつもその形にこだわる。
     そして、自分だけの命にこだわる。自分の空腹、自分の満
     腹、自分の幸せ、自分の不幸、自分だけの思い出。
     私たち海は、形がない。
     氷となり、熱に溶け、空に舞い上がり、雨のしずくと成って、
     また海に戻る。
     そうやって、海は生きている。
シロクマ:僕が死んだら、そうやって僕も海の命になれるのかい?
氷の精 :お前は、生きている今だって、海の命の一つだ。
     形にこだわるから、命が一つだと言う事がわからない。
シロクマ:僕の前足、僕の爪。
     僕の鼻。父さんそっくりだって、母さんが言っていた。
     形のある僕たち生き物は、そんな形を失うのがこわくて
     しかたない。
氷の精 :不思議なものだ、命に形なんてないのに。
     コップが割れて、形をなくしても、形のない水はそこか
     らなくならない。
     お前の体をみたしていた命はなくなったりはしない。
     ただ、もっと大きな命に戻っていくだけだ。
     ちょうど一滴の水が、海に戻るのと同じだよ。
     一つ一つのお前の思い出も、目に焼き付けた様々な風景
     も、みんな。
     ごらん、こうやって手にとった水のひとしずくは、そう
     やって海に帰っていった者達の命の思い出の一つ一つだ。

(くじらの声)(※音楽:地球交響曲第6番 12.13 対話の最後まで流し続ける)

氷の精 :どこからか、鯨が呼んでいる。
シロクマ:思い出すなぁ、僕は鯨と話した事があるんだ。
     僕がまだ子どもの頃のことだった。
     鯨の親子が僕の氷の島を通りかかった。
     鯨の子どもは、母さん鯨の乳を飲んでいた。
     びっくりしたよ。鯨は、僕たちシロクマと同じ仲間だったんだ。
氷の精 :そうとも、鯨もシロクマも、そしてアザラシもみんな
     ほ乳類だ。
     そして、あの恐ろしい人間もな。
     お前達は、卵を産まない。
     母親は、体の中で赤ちゃんを育てる
     卵で生まれないお前達ほ乳類は、母親の体の中で守られて
     生まれる。
     遠い昔、恐竜というは虫類が地球の王者だった。が、みんな滅び
     てしまった。
     お前達ほ乳類が、この世界で生き延び、進化してきたのは、母親
     が体の中で赤ちゃんを守るからだ。

(ドーン)(突然の銃声)

シロクマ:来た。人間だ。(人間1.2が、銃を抱えて登場。)
     とうとう僕を討ち取りに来たんだ。

人間1 :いたぞ、あそこだ!
     おーい、とうとう見つけたぞ!(銃を構える)

氷の精 :卵を産まないほ乳類は、そこから愛を進化させた

(パン、パン)(銃声の音)
人間2 :くそ、外れた。

氷の精 :子どもと、親と仲間のぬくもり。愛はそこから始まった。

(パン)
シロクマ:うわっ!

人間1 :よし、あたったぞ!

(シロクマは、前に倒れ、胸を押さえて再び起き上がる。右手(右前足)には赤い血。)
シロクマ:見てくれ海よ。僕の血はこんなにも赤く、温かい。
氷の精 :そうだ、それが君の命、そして愛だよ。
     さあ、海に帰ろう。
     お前の命はなくなったりはしない。

(パンパン)(銃声)
人間1 :おい、ボートもってこい。
人間2 :海に逃げるぞ。

シロクマ:さようなら人間達、僕は最後のシロクマになったけど
     決して人間の勝手にはさせない
     僕の体は、海に戻すよ。
     僕の命も海の命もひとつなんだから

人間2 :撃てっ!(ドン)

シロクマ:さようなら、人間たち。
     もし君たちが絶滅せずに生きるなら
     命のつながりと優しさを語り続けて欲しい。
(氷の精とシロクマ、徐々に舞台中央から沈んでいく)(音楽ひとしきり) 

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