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2024年04月18日17:27

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2024/04/06(土)オッペンハイマー@グランドシネマサンシャイン池袋

日本は戦争でアメリカから原爆を落とされた国と言う事で、題材を意識せざるを得ないと言う事と、クリストファー・ノーラン作品と言う事、両方がきっかけで観て来ました。


歴史や戦争についての側面も多分にありながらも、個人的には「オッペンハイマー」と言うタイトル通り、人生の様々な局面での生き様、人間関係やエピソードが柱である作品、として伝わりました。

その上で、同時代の国家、個人ごとの価値観の違いなどが、社会的、歴史的な要素として関わってくる印象です。
人の命を奪う結果に繋がる事を理解しつつも、科学者、プロジェクトリーダーとして「原爆の父」となっていく姿は、物事の二面性の両方に足を踏み入れる生き方、と言う点で「風立ちぬ」を想起しました。


研究者としての劣等感があったからこそ、プロジェクト推進の強い動機になったのだろう事、その後のストローズとの軋轢に繋がった事など、人生の因果を感じます。
また、女性関係で後先を考えない行動が、実験が大きな被害を生み出すことを意識していながらプロジェクトを進めた乖離的な行動に繋がっているように、全てが繋がっている「伝記」と感じます。


戦争や原子爆弾そのものの善悪には踏み込まない作風である一方、「これで誰も戦争を考えなくなる」と言う、当時の(そして今も)正当化理論に対して、「もっと大きな爆弾が生まれる」と対になる意見は挙げられるなど、客観的な平等性の認識までは感じます。

また、オッペンハイマーの行動の結果に対する、罪悪感や自罰感情を、代替的な懲罰や、権威や周囲からの赦しで終わらせない、と言う強い倫理的な意志を感じる作品でした。

特に、アインシュタインが終盤で語る「君のためじゃない、彼らのためだ」は、印象に残る台詞。


また、内容的に音の迫力が重要な作品だったため、BESTIA enhancedで観て、映画館で観るスクリーンと轟音の効果が絶大だと実感しました。

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