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2024年04月03日14:26

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「オッペンハイマー」

”オッペンハイマー”という映画を見てきた。この映画は昨年アメリカで公開され大評判になったものだが、日本では原爆製造の映画ということで公開されなかった。今年になってようやく公開のめどが着き、3月29日ロードショー開始となった。
いくつものアカデミー賞を受賞しているし、そのほかの賞もいろいろ受賞している。

さっそく見てみることにして調布駅そばの映画館(シアタス調布)に予約を入れた。この映画館では昨年”LIVING”を見たので様子は知っている。ネットで簡単に予約できる。今回は大きい特別ホールだった。(IMAXレーザーだった。)
 昨年のLIVING:https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1984752638&owner_id=39904538

入る前にコーヒーを買って持って行った。壁いっぱいの巨大スクリーンと音声はとてつもない大音響で重低音はビンビンと体や座席に響く。家内は耳を塞ぎながら映画を見、私はずっと補聴器を外していた。

私はずっと以前”オッペンハイマー”と云う伝記を読んだことがある。ので、これの映画化だろうと思っていたが、違った。
3時間という長い映画だが、オッペンハイマーがレッドパージ(赤狩り)の査問委員会で追及を受けるところから始まる。質問に答える内容がドラマ化されていく。査問委員会の話と彼の体験が交錯していく構成となっている。
彼はハーバード大学を卒業後イギリスのケンブリッジ大学に留学しニールス・ボーアの指導を受ける。ボーアからドイツのゲッチンゲン大学に行くことを進められそちらへ移りヴェルナー・ハイゼンベルクと知り合う。
映画では出てこないがケンブリッジにいたとき杉浦義勝、ポール・ディラックと同じ下宿に住む。オッペンハイマーはこの時代一時精神を病む。
アメリカへ戻ってカリフォルニア工科大学、カリフォルニア大学バークレー校の教授となる。
映画では自身の研究で核分裂を応用した原子爆弾の可能性を持つ。ドイツで核分裂に成功したことをニュースで知る。
グローブス将軍はドイツが先に原爆を開発するのを恐れ原爆開発のための”マンハッタン計画”を立ち上げる。グローブスは原爆開発のリーダーとしてオッペンハイマーを抜擢する。オッペンハイマーはニューメキシコ州にロスアラモス研究所を作り、町を作って5000人ともいわれる研究者とその家族を集める。
マンハッタン計画ではアメリカ中にいくつもの施設を作りウランとプルトニウムを製造しロスアラモスへ運び込む。
オッペンハイマーはその材料で原子爆弾を作り上げる。
ニューメキシコ州の砂漠でプルトニウム原子爆弾の爆発実験がおこなわれた。(CGで作られた爆発の映像と音量はものすごく見ていて目がクラクラするほど。)
実験は成功して研究者たちは喜びに沸くが爆発力のあまりのすごさにオッペンハイマーは愕然とする。

さらに開発中からエドワード・テラーによる水爆の案が出される。オッペンハイマーは水爆の開発には反対する。

しかし原爆が完成する前にドイツは降伏する。そのため日本に使用するように方向転換する。映画ではオッペンハイマーも日本に使用するのを賛成する。
(伝記では爆発の映像フィルムを日本に示せば目的を達すると使用に反対したように書かれていたと思う。)
映画には実験での原爆の爆発の映像はあるが広島長崎への投下の様子はない。広島長崎に投下されたという説明だけだ。壊滅した街の様子や惨状なども出てこない。

トルーマン大統領は日本への原爆投下を命ずる。日本が無条件降伏後オッペンハイマーはアメリカを救った英雄として称賛されるが、大統領と面会したときオッペンハイマーは”私の手は血塗られているように思う”というとトルーマンは”原爆投下の責任は作った者ではなく使った者にある”と言い、オッペンハイマーを”泣き虫”と憤慨し、”このような者を二度と私の前に連れてくるな”という。
これは伝記にもあった。

オッペンハイマーはソ連のスパイだという告発で査問委員会にかけられるのだが、それは彼がマンハッタン計画にかかわる前に共産党と関係があったためそのことを追及される。彼の弟夫婦や彼の妻が結婚する前共産党党員であったために原爆開発の情報がソ連に流れたのではないかと疑われた。しかし彼自身は党員ではなかったし弟夫婦も妻のキティもマンハッタン計画にかかわる前には脱退していた。

映画は査問委員会の結論が出たところで終わる。彼は政府秘密にアクセスできず公職追放となる。

映画は様々なドラマが査問委員会を挟んで展開するため、当時のオッペンハイマーをめぐる事情を知ってないと分かりにくい。
私は今までに量子力学や科学者たちについて書かれたいろんな本を読んできたので理解できたが、いきなり映画だけを見るとなんのことだかわからない話や人物たちも色々出てくる。
さらに原爆製造や投下の話は日本人にはタブーでトラウマになっている部分もあるだろう。アメリカでは評判の映画だが、今回見たときは客は少なくガラガラだった。
面白かったのは全裸のセックスシーンがあったため成人指定映画(R15+)となっていたが小学生ぐらいのが2人見ていた。
当時にはこの映画に内容以外にもさまざまな話もあるのでいずれ書いてみたい。



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