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2024年03月30日00:42

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『高橋留美子傑作集 金の力』コミック

<ストーリー>
 高橋留美子がビッグコミックスピリッツに不定期連載している中年男を主人公にした連作。「ふたりの家」「君はNo.1」「嫌なランナー」「金の力」など6つの短編を収録。
<コメント>
 なんだろう、この読後の釈然としない感は。どの話も非常に面白い。登場人物の心情は上手に描かれているし、内容も話のストーリーもオチが効いていて実に面白い。
 ところがどこか釈然としない。何度か読み返して分かった。「あ、これ身につまされるんだ」と。
 どの話も主人公の初老の男が若かったり、美熟女だったりと知り合ってなんとなく関係性が出来て「あわよくば」的な願望が生まれてくる。高橋留美子はそんな実際には実行に移せないような小さな願望までオチで無残に踏みつぶして初老のさえない男に現実を突きつける。
 いや、確かに面白いよ。でもあんまりじゃないか?もうちょっと夢を見させてくれてもいいんじゃないか?そう思ってハタと気が付いた。これって冒頭から途中までは『黄昏流星群』に似ているのだ。そしてあっちがありえないような深い肉欲に突入するのに対して「そんなわけねーだろ」というかのような現実を突きつけるのだ。
 あるいは少年誌ではありえないような能力を持った若者たちの青春劇や恋愛劇を描いているので、その正反対の物語としての作家内バランスかもしれない。
 そういう意味で「面白いけれど初老男性として情けなさを突きつけられているような読後感にさせてくれる」ということかな。
 だから、中年・初老男性でなければすごく面白い短編集だといえる。特に女性にとっては。

高橋留美子傑作集 金の力 (ビッグコミックススペシャル)
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