地球外少年少女

2022年　磯光雄

ライトノベルに興味が持てない。それを原作とした軽薄な艶笑アニメ、安易な異世界転生アニメには辟易させられている。いや辟易するほど見ていない。放送開始にあたり、まぐれ当たりを求めて第一話を録画してもそういう内容だったら予約を取り消すからだ。

そうした荒んだ気分を本作で振り払おう。原作、脚本、監督は磯光雄、電脳コイルからちょっと間があいた事情はwikipediaに詳しい。宇宙ステーション、彗星の衝突、高度化するAI、ナノマシンの脅威、脳内インプラント。浮遊するドローン、電脳メガネ、地球の重力に耐えられない月うまれの子供、考えの浅い人、真摯な人。厨二病、環境テロリスト、動画配信。Deegle, オニクロ。いろんな作品からパーツを引用しながら磯光雄監督らしいプロット。現実からスタートして、少しだけ角度をつけた世界線をまっすぐ伸ばして未来世界を得る、SFの作り方の基本に忠実。電脳コイルと同様に子供たちだけでなんとかしようとするのはジュブナイルの手法だったか。ジュブイナイルだが大人の鑑賞にじゅうぶん耐える。

Netflixから電脳コイル同様の作品制作を依頼されたのだろう、制作には時間がかかったそうだがスポンサーはよく我慢した。宇宙ステーション内の広告看板やピクトグラムといったディテールは日本文化に馴染んでいないと理解できないであろうにも関わらず世界配信されたそうだが、日本を正面に出した方が日本のアニメとしてウケるとの判断があったのだろう。ディズニーやマーベル、ジブリとは違う戦い方がある。