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2020年06月25日09:14

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「デッド・ドント・ダイ」

ジム・ジャームッシュの新作映画だ。
ジム・ジャームッシュの作品は「パターソン」以来となるが、相変わらず解釈が難しい作品を作る監督である。

舞台となるセンターヴィルは、飼っているニワトリがいなくなると、世俗を捨てて森の中で暮らしている変人が盗んだ、と通報が入るようなアメリカの田舎町である。
街の警察官のクリフ(ビル・マーレイ)とロニー(アダム・ドライバー)は一応捜査をするが、事件性はないと考え署に戻ることにした。
しかし夜の8時にもなるのに外は明るいままである。
クリフが奇妙に感じていると、ロニーは大変なことが起きることを予言した。

その晩、街の外れのダイナーにゾンビが現れ従業員2名をかみ殺した。
ゾンビはなぜか「コーヒー、コーヒー」と繰り返し、コーヒーポットを手に入れてご満悦の様子にも見えた。
翌朝、クリフとロニー、そしてもう一人の女性警察官ミンディは現場に駆け付ける。
田舎町ではあり得ない凄惨な殺人現場に、3人はさらに何かが起こっている事を察知する。
クリフとロニーが街を捜査すると、墓地で大きな穴を見つける。
墓からゾンビが抜け出たような穴を見て、二人はゾンビが街を襲っていることも想定した。
そして実際、街はすぐにゾンビに襲われ始めるのである。

ダイナーのほか、街に1軒しかないガソリンスタンド兼雑貨屋兼おもちゃ屋や、少年拘置所などが先に描かれ、同時進行的にそれぞれがゾンビに襲われるシーンが描かれる。
だが、ダイナーの常連の工具屋とガソリンスタンドのヲタク店主以外、キャラクター間の関連性はほとんどなく、エピソードがバラバラに進行していく。
この監督が「ミステリー・トレイン」や「ナイト・オン・ザ・プラネット」で使った「同時進行」技法に、ある意味近いかもしれない。
しかしはっきり言って、この手法でゾンビ絵映画を製作した意味がまったくわからない。
この監督なので元々期待してはいなかったが、ゾンビ映画独特のドキドキ感はもちろんない。
そして観終わった後のカタルシスもない。
挙句の果てに、ティルダ・スウィントンが演じた移民の葬儀屋である。
「キル・ビル」のユマ・サーマンばりに日本刀を振り回すが、その意味がまったくわからないまま消えてしまった。
これまでもこういうテイストの作品を撮ってきた監督という事を知っていたから、観終わった後も「まあ、こんな感じか」と思えたが、これまでこの監督の作品を観たことがない人であれば、見終わった後に相当混乱するのではないかと思う。

正直、作品に進歩や成長が見られないので、この監督の作品はもう観ることはないだろうと思った。


66.デッド・ドント・ダイ
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