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2024年03月13日09:43

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現在の文化の情景

アカデミック系文化だけでは語れない現在の文化の情景
 日本のアカデミック系アートは、明治時代に西洋文化の影響を強く受けて構築された価値観によって成り立っている。そのため、日本の古来から続いている伝統的文化が抜け落ちていたりする。日本絵画の造形と日本画の造形の違いなどが、その1例だが、西洋文化の影響には、プラスの面とマイナスの面があることを自覚している人は意外に少ない。日本独自の価値観や伝統を軽んじることで生じる不都合は結構ある。明治期の罪は、武士が支配して構築された江戸時代の文化を否定したことだろう。これは、流石に無理があって、多くの専門家に即座に否定された。それでも、政府は、武士社会や武士が関わった文化を認めようとはしなかった面は拭えない。日本人の感性から言えば、武士社会の否定は、考えられないだろうが、明治政府にとっては、江戸時代は忌むべき世界だったのだ。そのため、明治期に、多くの文化的破壊が行われ、日本の重要な文化財が海外へ流出した。国宝級の作品も海外に売っぱらわれていた。また、多くの仏像が破壊されたのも明治期の文化政策の特徴だ。神社と寺が共存していたのが分けられ、今のようなありようになったのも明治期からだ。西洋文化の流入と江戸時代への嫌悪が、明治政府をそうさせた。明治期は、日本の夜明けと称されるが、偏った夜明けであったことは確か。明治期に作られた価値観が、今の価値観に大きな影響を与えているが、それが、正しいとは言えないのは、正当な日本文化の流れとは、別の流れを明治政府は意図的に作ったからだ。ここに、齟齬が生じる要因がある。日本の文化人の中には、明治政府のやり方に不満を持つ人もいて、直ぐに反論を開始する。だが、それでも、こぼれ落ちた文化は、存在した。漫画などは、そんな文化の1つだ。漫画の漫の字が漫画の価値を下げると考えていた漫画家もいたが、実は、漫画のユーモア、つまり、喜劇性は、エンターティンメントの世界では、非常に重要な要素であり、実際には高く評価されて当然なのだが、観衆を楽しませる演芸を価値の低いものとする価値観が明治期に生まれてしまった。これも、西洋文化の影響だろう。しかし、西洋にも喜劇は存在したため、明治政府の勘違いによって、文化的価値観が歪められてしまった結果だろう。エンターティンメント、つまり、観客を喜ばせることの価値を認識できなかったのだ。この歪められた価値観は、しばらく続く。これは、おかしいと気付き、エンターティンメントが再評価され始めたのは、最近のことではないかと思う。漫画などもエンタメ性が強いため、小説などと比べて、価値が劣ると思われていた時期があった。明治期に作られた価値観の弊害だ。現状、優秀な小説は、学問になってしまい、大衆の支持は失ってしまった。文学も結構だが、エンタメ性を失うばかりか、物語性まで失ってしまった文学に、未来はあるのだろうか。小説が再生するには、物語性を取り戻すしかないのではないかと思われる。逆に、漫画は、アカデミック系の影響を受けなかったため、大衆の中で、大きく成長した。日本の文化の多くは、大衆の中で育つことを知らない訳ではないと思うが。専門家と言われる人達の勉強不足が感じられる。
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