mixiユーザー(id:2083345)

2023年12月31日14:36

229 view

12/29 キース・ヘリング展 アートをストリートへ@森アーツセンターギャラリー

大掃除も年賀状も終わったので、暇といえば暇。じっとしていられない夫が、何か展覧会はないか?という。「キース・ヘリング展」は会期中無休、大晦日も正月3が日もやっている、さすが六本木。
フォト
まさに私と同世代の人。生きていれば65歳か。活躍は、20代から亡くなった31歳までのたった10年ほどだったらしいが、誰もが「知っている」ストリート・アートの先駆けだ。
バスキアとも同世代(数年前同じ美術館でバスキア展もあったが行かなかった)だが、バスキアの方が髑髏をモチーフに荒々しいタッチなので暴力的な印象がある分、ヘリングは、コミックのようなタッチで、ユーモアがあり、今でいう「カワイイ」も感じられるのでより万人受けするだろう。バスキアは薬中で、ヘリングはエイズで亡くなっている。
バンクシーもそうだが(いや、バンクシーの方が最たるものか)、時代・社会風潮と密接な関係にあり、メッセージを残して消えゆく運命のアートだ。没後も残りうるのか…ヘリングは没後30年、似たようなアーティストが追随しても、唯一無二の作風は今でも「独自で新しい」。それを感じた展覧会だった。

会場は最後の章を除いて写真撮影可。森にしては珍しく作品リストがあったが、これはぜひ手にとって欲しい。会場途中で「活躍」する。
混雑はそこそこ…もちろん若い人が多い。冬休み中は混むかも。

https://macg.roppongihills.com/jp/exhibitions/keithharing/index.html
https://kh2023-25.exhibit.jp/
フォト

明るく、ポップなイメージで世界中から愛されているキース・ヘリング。
ヘリングは「アートはみんなのために」という信念のもと、1980年代のニューヨークを中心に地下鉄駅構内やストリート、つまり日常にアートを拡散させることで、混沌とする社会への強いメッセージを発信し、人類の未来と希望を子どもたちに託しました。ヘリングが駆け抜けた31年間の生涯のうちアーティストとしての活動期間は10年程ですが、残された作品に込められたメッセージはいまなお響き続けています。
本展は6メートルに及ぶ大型作品を含む約150点の作品を通してヘリングのアートを体感いただく貴重な機会です。社会に潜む暴力や不平等、HIV・エイズに対する偏見と支援不足に対して最後までアートで闘い続けたヘリングのアートは、時空を超えて現代社会に生きる人々の心を揺さぶることでしょう。


1章 公共のアート

《サブウェイ・ドローイング》
1980年人々の日常の一部として見てもらえるようにニューヨークの地下鉄構内の空いた広告板に貼られた黒い紙にチョークで描く。もちろん違法なので、描いてはすぐ地下鉄に飛び乗り次の駅へ移動、逮捕されたこともあるとのこと。
ただ、注目したいのは、今でもよく目にする公共物を破壊するような、落ちない落書きではなく、あくまでも「空いた紙に」描いたところだ。「アートはみんなのために」というヘリングのパフォーマンス、誤解しないようにしたいと思った。
フォト

そういうわけで、剥がされて捨てられたり、持ち去られたりしているので、こうして残っているのは貴重。
フォト


2章 生活と迷路


《無題》1988年
自由で華やかで刺激的な日常の反面、 HIVの蔓延とゲイへの偏見が暗い影を落とす。白黒反転させた写真と得体の知れない怪獣、絵の具のドロッピングが不穏な空気を醸し出す自画像。
フォト

《フラワーズ》1990年
フォト

フォト
《スリーリトグラクズ》1985年
人が組むのも、体の動きを表現する線もヘリングの特徴。個人で活動するより共同体である方が力強いという考えを持っていたヘリングは社会貢献活動に積極的だった。
フォト

キャプションに「アフリカの芸術から着想を得た表現」とあり、なるほどと初めて気づく。
《ストーンズ》1989年
フォト

《ドッグ》1986年
フォト

フランシス・ベーコンやバスキアの展覧会を手がけた画廊トニー・シャフラジ・ギャラリーより出版されたこの版画シリーズは蛍光インクが効果的に使われている。
フォト

入口でもらった作品リストをブラックライトにかざすと…
フォト


3章 ポップアートとカルチャー
ヘリングが手がけた舞台芸術や広告ポスター、LPレコードのジャケットなど紹介

《アンディ・マウス》1986年
もちろん、ミッキー・マウスとアンディ・ウォーホルとの合体。ウォーホルとは交流があった。
フォト

《「スウィート・サタデー・ナイト」のための舞台セット》1985年
黒人のストリートダンスと、社交だインスの誕生300周年を記念したパフォーマンスのセット。6メートルの大型作品。
フォト

《レトロスペクト》1989年
フォト


4章 アート・アクティビズム

ヘリングは、HIV・エイズ予防、核放棄、反アパルトヘイトなどを題材に力強いメッセージを込めた作品をポスターにして発表。常に大衆にダイレクトにメッセージを伝えることを考えた。

《沈黙は死》1989年
ナチスの強制収容所で同性愛者の男性につけられたピンクの逆三角形を上向きにし、同性愛差別に対する抵抗を示した作品。
フォト

《ヒロシマ 平和がいいに決まってる!!》1988年
フォト

フォト

フォト


5章 アートはみんなのために


アートを富裕層だけでなく、大衆にも届けたいという思いで、自身がデザインした商品を販売するポップショップを作ったり、子供たちのための絵本なども数多く手がけた。
フォト

《赤と青の物語》は単純で分かりやすい。欧州人では作れない単純明快さがいい。
フォト

フォト


6章 現在から未来へ

《ブルー・プリント・ドローイング》1990年
漫画のコマのような画面には、性の解放やテクノロジーの発達、暴力や戦争などを連想されるものが描かれているが、順番もストーリーも見る者に委ねられている感じ。この展示の仕方も秀逸だ。
フォト

フォト

《イコンズ》1990年
ヘリングの多くの作品に登場するキャラクターたちを、エンボス技法を用いて立体的に表現した輪郭線と鮮明な色彩によって、象徴化している。ヘリングというと、私たちは誰でも、いつでも、光輝く這い這いする赤ちゃんや吠える犬、動いている人を思い出すのだ。
フォト


トピック:キース・ヘリングと日本
ここだけ撮影不可。
1988年ポップショップ2号店を東京青山にオープン。当時販売された品を展示。

↓これはミュージアムショップの撮影コーナー
フォト

知らなかったのは、88年1月24日来日したヘリングが表参道の路上に絵を描いている写真。人垣ができていたが、現在だったらこんなもんじゃないだろう。当然皆ただじっと見ているだけでスマホを向ける人はいない(笑)遭遇したかったなぁ。

ヘリングが余白を埋めた大きな招き猫も展示されていた。フリーハンドで破綻なく余白を埋めているのがすごい。

アルバムあります
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000121025236&owner_id=2083345

2月25日まで



21 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年12月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31