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2023年12月09日13:06

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12/5 モネ 連作の情景@上野の森美術館

若い頃(確か中高生だった)「積みわら」の連作を見てとても感動した。
画家というのは、同じモチーフを何度も何度も飽きずに描く、その季節、その時刻、その天候によって太陽の光が異なり、ものの色が異なり、影が異なることを鋭く感じ、写しとっている、なんと偉大なことだろう、と、そのことに感動した最初だった。印象派との出会いだった。

この展覧会、行くのに躊躇していた。国内外40の美術館から集めた、モネだけの展覧会というが、わずか75点で入場料2800円は高い。しかも混んでいるという。しかも、しかも、美術館としてはイマイチの上野の森美術館だ。しかし、副題「連作の情景」には惹かれる、若い頃味わったあの感動をもう一度味わえるか?
《積みわら、雪の効果》1891年 スコットランド・ナショナル・ギャラリー
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当日券はあるようだったが、やはり混んでいた。「やまと絵」展くらいか。入り口のロッカーは思ったより空いていたが、中に入ったらコートのままの人が多かったので、ロッカーの存在を知らないか、外にあるので入れ損なったか、だ。混んでいるのに大きな鞄に着膨れの人が多いのは困る。美術館に慣れていないな。
圧倒的に美術鑑賞初心者の若い人が多い。ミュージアムショップは、一旦外に出て並んで入る。結構な列を作っていた。
最後の5章10点のみ写真撮影可。

結論から言うと、美術鑑賞初心者にはいい展覧会だったと思う。ただ、「連作の情景」と謳うにはいささか不足、物足りなかった。
説明によれば、モネが本格的に連作の手法をとったのは、1890年前後の「積みわら」が最初だと言う。その前の「クルーズ渓谷」も連作手法だと言う専門家もいる。「積みわら」連作はデュラン・リュエル画廊の個展で発表され大成功を収めた。その後「ポプラ並木」「ルーアン大聖堂」「セーヌ川の朝」、そして1899年はロンドンにて「チャリング・クロス橋」「ウォータールー橋」、晩年には「睡蓮」の連作がある。

「クルーズ渓谷」は1889年のフォン・デア・ハイト美術館蔵とウンターリンデン美術館蔵の2点展示。連作は20点以上あると言う。

「積みわら」は3点あったが、ポーラ美術館蔵と大原美術館蔵のはいわゆる風景画であって、色の効果を試した連作のものは、スコットランド・ナショナル・ギャラリー蔵の1点のみ。若い頃感動した「積みわら連作」が見たかった私は、これは肩透かしだったなぁ。
「ポプラ並木」「ルーアン大聖堂」は1点もなしで、がっかり。かろうじて「ウォータールー橋」は3点あったが。
これまで数多くのモネ展、印象派展を見すぎて、感動薄になってしまった自分がダメなのかもしれないが、もう少し突っ込んだ解説があったら違ったかもしれない。ま、それでもモネは好きだし、気に入った絵も沢山あったので、ご紹介しよう。

https://www.monet2023.jp/
https://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=1155263
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印象派を代表する画家のひとり、クロード・モネ(1840-1926)は、自然の光と色彩に対する並外れた感覚を持ち、柔らかい色使いとあたたかい光の表現を得意とし、自然の息遣いが感じられる作品を数多く残しました。同じ場所やテーマに注目し、異なる天候、異なる時間、異なる季節を通して一瞬の表情や風の動き、時の移り変わりをカンヴァスに写し取った「連作」は、巨匠モネの画業から切り離して語ることはできません。移ろいゆく景色と、その全ての表情を描き留めようとしたモネの時と光に対する探究心が感じられる「連作」は、巨匠モネの画家としての芸術的精神を色濃く映し出していると言えるのかもしれません。
1874年に第1回印象派展が開催されてから150年の節目を迎えることを記念し、東京と大阪を会場に国内外のモネの代表作60点以上*が一堂に会す本展では、モネの代名詞として日本でも広く親しまれている〈積みわら〉〈睡蓮〉などをモティーフとした「連作」に焦点を当てながら、時間や光とのたゆまぬ対話を続けた画家の生涯を辿ります。また、サロン(官展)を離れ、印象派の旗手として活動を始めるきっかけとなった、日本初公開となる人物画の大作《昼食》を中心に、「印象派以前」の作品もご紹介し、モネの革新的な表現手法の一つである「連作」に至る過程を追います。展示作品のすべてがモネ作品となる、壮大なモネ芸術の世界をご堪能ください。
*東京展、大阪展で出品作品が一部異なります

1章 印象派以前のモネ

《昼食》 1868ー69年 シュテーデル美術館
これまで3回サロンに入選していたのに、この年にはサロンの入選基準が厳しくなり落選。これを機に、モネは伝統的絵画、アカデミズムに決別したと言う。食卓に座るは妻カミーユと息子ジャン。後ろに立つは訪問客というが、なぜ食事中に訪問客が??
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《桃の入った瓶》アルベルティヌム美術館
初めて見たようなタイプの絵。桃のコンポートにはシナモンが入っているよね。コンポートが置かれている台はどうなっているの?美味しそうではあるが、ルノワールが描いた桃の方が美味しそうでは上。
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《サン=タドレスの小屋》1867年 ジュネーヴ美術歴史博物館
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《ザーン川の岸辺の家々》1871年 シュテーデル美術館
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《ザーンダムの港》1871年 ハッソ・プラットナー・コレクション
広重の澪標を描いた浮世絵を思いだす。
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どの絵も画面の多くを川や海にして、水面の揺らぎと映りに注力しているように思える。

2章 印象派の画家、モネ

《ヴェトゥイユの教会》1880年 サウサンプトン市立美術館
水面の表現は、素早く軽く叩くようなタッチに。このモチーフは、1901年、1902年に連作を描いているという。
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《ヴェルノンの教会の眺め》1883年 吉野石膏コレクション
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3章 テーマへの集中

《プールヴィルの断崖》1882年 東京富士美術館
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《プールヴィルの断崖》1882年 トゥウェンテ国立美術館
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断崖絶壁、石灰岩の岩肌や引き潮の浅瀬の光景にモネは気に入り、ここで100点近くの海景画を描いたという。最初はその造形、のちに気象へと関心が移る。4点あり。

《ラ・マンヌポルト(エトルタ)》1883年 メトロポリタン美術館
エトルタのアヴェルの門はモネだけでなく、ブーダンやクールベも描いていて有名だが、ここはその奥にあり、村からは直接見えないが、モネは何度も出かけている。
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《エトルタの ラ・マンヌポルト》1886年 メトロポリタン美術館
3年後の作品。こういう見比べが楽しい。
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4章 連作の画家、モネ


《ウォータールー橋、曇り》1990年 ヒュー・レイン・ギャラリー
(ここからは最後の1点を除き撮影可)
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《ウォータールー橋、ロンドン、夕暮れ》1994年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
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《ウォータールー橋、ロンドン、日没》1994年 ワシントン・ナショナル・ギャ
ラリー
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この時のロンドンの大気はひどいスモッグで深刻な状態だったが、モネはこれを好んだとか。《ウォータールー橋》の連作は、すぐそこの国立西洋美術館(松方コレクション)にもあった。

5章 「睡蓮」とジヴェルニーの庭

《睡蓮》1897−98年 ロサンゼルス・カウンティ美術館
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《睡蓮の池》1918年 ハッソ・プラットナー・コレクション
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《睡蓮の池の片隅》1918年 ジュネーブ美術歴史博物館
最後気に入った作品。
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それにしても、知らない名の美術館が多かったなー。海外旅行に行かれない私はもっと楽しむべきだったか。

2024年1月28日まで
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写真撮影可の部分がありましたので、アルバムあります。
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000120925312&owner_id=2083345
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