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2023年04月17日18:19
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『パリタクシー』＠ 角川シネマ有楽町
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2022年製作／フランス
原題：『Une belle course』(美しき航路･道程)
海外版タイトル：『ドライビングマドレーヌ』
アズさんからプラチナ情報を得た。
人生崖っぷちのタクシー運転手が、
介護施設に入る老婦人を乗せて、
パリの街を東西に突っ切る途上、
彼女の人生の節目､節目になった場所を経巡って…
という映画らしい？！
これは！
大好きな､でも､もうしばらくは行けそうにない パリ の街並みを
堪能できそうだ。
おしゃれでブランド大好きな友人S子さん、
飛行機は嫌いだけど､パリにだけは行ってみたいと
常々言っているので、
これはぜひ誘ってあげねば！と声を掛けると、
即！同行するとのこと。
久々の銀座！に2人で出掛けて行った。
4/16(日) 10：30〜（91分）
舞台はパリ。
暮らしの中で色々借金がかさみ
働きづめのタクシー運転手｢シャルル｣。
交通違反も続き､あと2点で免停。 崖っぷちである。
そんなある日、長距離移送の声が掛り、向かう。
（オォ〜〜ッ！ 改修中のノートルダムが！！）
迎車はパリの東の郊外｢ブリ=シェル=マルヌ｣��
老婦人を西の郊外の介護施設に送るのだ。
行ってみると､
老婦人｢マドレーヌ｣(リーヌ・ルノー)は､もう道に出て待っていた。
（BRY-SUR-MARNE）マドレーヌの自宅がある地域。
パリ中心から12.6km。
古代より人々が暮らしていたマルヌ川沿いの地域で、
かつては裕福なパリ市民の別荘地でもあった。
開発が進んだ現在も閑静な住宅街の姿を保っている。
｢少々やっかいなバアサンだなぁ〜｣
そう思いつつ、シャルルは最短距離で目的地に向かう、
…が、マドレーヌが声を掛ける。
｢ちょっと､ヴァンセンヌに寄ってもらえない？｣��
（VINCENNES）12区の、マドレーヌが生まれ育った町。
広さ9.95㎢のヴァンセンヌの森は、
古くはフランス王の狩場であり、
西のブローニュの森と並んで「パリの肺」と呼ばれる。
ヴァンセンヌ城、動物園、競馬場、花公園、湖などを有する
市民の憩いの場。
そして、マドレーヌが自身の人生を語り始める。
父はナチスに処刑された。
母子家庭。
衣裳担当のお針子をする母を助けて働いたのは
パルマンティエ大通りにあった劇場。��
（AVENUE PAEMENTIER）
母が働く劇場があった10区から11区に渡る大通り。
通りの名は、18世紀に家畜の餌だったジャガイモを
食用として紹介した農学者パルマンティエからつけられた。
地下鉄パルマンティエ駅周辺はオーガニック店、クラブ、
バーなどでにぎわう若者に人気のエリア。
第二次世界大戦末期、ナチスからパリを解放してくれたのは米軍。
アルコル橋 ��
（PONT D’ARCOLE）マドレーヌとシャルルはここで一服。
セーヌ川右岸のパリ市庁舎とシテ島を結ぶパリで初の鉄橋。
1944年のパリ解放時には自由フランス軍の戦車が通った。
マドレーヌは若い米兵に恋をした。
そして、彼がアメリカに去った後、妊娠に気づいた。
産まれたのは息子。 母と共に必死で育て、
やがてマドレーヌは、息子を連れて溶接工と結婚。
しかし夫はDV男だった。
そしてその暴力が息子に及ぶに至り、
マドレーヌは反撃に出た。
夫の局部を溶接の道具の火で直撃！
当時のフランスでは、夫が家族を殴っても容認される。
マドレーヌは一方的に殺人未遂で有罪に。
コンシェルジュリ��
（LA CONCIERGERIE）アルコル橋から見えるかつての牢獄。
14世紀にフィリップ4世の王宮として建てられ、
のちにマリー・アントワネットが投獄されたことでも知られる。
見学には、同じくゴシック様式でステンドグラスが有名な礼拝堂
「サント・シャペル」との共通チケットがおすすめ。
パレス･ド･ジャスティス��
（PALAIS DE JUSTICE）若きマドレーヌが裁かれた裁判所。
現在もフランスの最高裁判所として利用されている。
ノートルダム大聖堂などとともに世界遺産「パリのセーヌ河岸」に
登録されたシテ島の歴史的建造物。
エッフェル塔��
（LA TOUR EIFFEL）パリのシンボル。
1889年のパリ万国博覧会の際に建設された鉄骨記念建造物。
高さは約300m。
シャンゼリゼ通り��
（AVENUE-DES-CHAMPS-ÈLYSÈES）
マドレーヌとシャルルがアイスを食べた
パリで最も美しいと呼ばれる大通り。
凱旋門から伸びる全長2kmほどの通り沿いには美しい並木が続き、
クリスマスの華やかなイルミネーションも有名。
ヴァン･ドーム広場��
（LAPLACEVENDME）シャルルが娘とのドライブで
イルミネーションを見せた世界的に有名な広場。
高級ブランドショップや宝飾店、ホテルが軒を連ねる。
中央の円柱の頂上にはローマ皇帝カエサルに扮したナポレオン像がある。
マーシャルジュアン広場��
（PLACE DU MARÈCHAL-JUIN）マドレーヌとシャルルが
ディナーをするレストランがある17区のエリア。
周囲はパリ有数の高級住宅地。
収監後、時代はDVからの女性保護が認め、
マドレーヌの懲役は16年間に短縮され出所。
16年ぶりに出逢った息子は、
夫殺しを図った女の子として悲惨な子供時代を過ごし
母を恨んで、報道写真家としてベトナム戦争に従軍、
戦死した。
クルブヴォワ��
（COURBEVOIE）老人ホームがあるイル=ド・フランスの街。
パリ中心から8.2km。
南に高層ビルが立ち並ぶビジネス街｢ラ･デファンス｣地区が広がる。
こうして、マドレーヌを送り届けた数日後、
シャルルは、彼女の人生に触れて自身の人生を見直し、
ぎくしゃくしていた関係を改善した妻を伴い
マドレーヌを訪問した。
ところが！！
マドレーヌは弱り切っていた心臓が
介護施設入所後すぐ、動きを止めたというのだ。
そして手渡されたマドレーヌからの手紙は、
シャルルの明るい未来を示唆するものだった。
人生が面白く無い運転手とワガママ婆さんの
お気軽なパリの街のロードムービー
のつもりでいたら、これほど深い１日が描かれていたとは？！
どこにでも在った、女性に対する暴力を描きながら、
主演俳優2人の掛け合いは楽しく、
彼らが見せるウィットに富んだ会話は聴き応えがある。
私好みの､シッカリとした会話劇。
このお２人。
国民的シャンソン歌手のリーヌ･ルノーと、
大人気コメディアンのダニー･ブーン、
プライベートでも親しく、それがどのシーンも
言いようなく暖かいものにする。
そして、この２人に並ぶもう１人(？)の主役は、
美しいパリの街！
エッフェル塔、シャンゼリゼ通り、洒落たビストロ
パリのエレガントな美しさは
マドレーヌの人生の様々な通過点を彩る。
そんな彼女の言葉のひとつひとつは、
心に染み入っていった。
「一つの怒りで一つ老い、一つの笑顔で一つ若返る」
ところで、
本作はパリ市中をタクシーで走る物語だが、
パリ市中で撮影をすると、
500メートルごとに牽引車から撮影をするはめになり、
交通渋滞のせいで何度も撮影をやり直すことになる。
それは高齢のリーヌにとって大きな負担だ。
そこで監督は、ピエール・コットロー撮影監督が発明した
画期的なLED技術で、
タクシーの撮影をスタジオ内で行うことにした。
あらかじめ走るタクシーの中からパリの風景を撮影しておき、
スタジオ内に置かれたタクシーの周囲にL字型のスクリーンを配置、
その映像を流したのだ。
タクシーの中にいる俳優たちは動くパリの風景を眺めながら
演技をしたそうだ。
通常、合成映像は
グリーンの背景を使い、編集作業で合成が行われるから
演じている俳優たちは背景にグリーンしか見えない。
だが、コットロー氏が開発した方法だと、
俳優たちはリアルな背景のなかで演じることができるので、
演技にも現実味が一層増したという。
「リーヌとダニーは本当にタクシーが走っている錯覚を
起こしたようです。
この撮影法を使ったのは私たちが初めてかもしれません。
私はこの手法が未来の都市部での撮影法になると思います」
とは、コットロー氏の言葉である。
終映後、私もS子さんも、しばし､今観た映画を反芻するように
座席を立てず。
うるむ目で隣を見たら、S子さんもウルウルしていた。
車の運転大好きで、今も公私で車を乗り回す彼女。
最近、運転しながら見える車窓からの風景で
マドレーヌのように
自分の来し方を想い出すことが多いと言う。
正に！S子さんにはジャストタイムな映画だったようだ。
ランチは、
フランス料理？と言っていたのが、
すぐにでも映画の話がしたく、
至近の電気ビル地下、
開いているならどこでもイイヤとはいえ、
それでも餃子に定評のある｢天鴻餃子房｣
良く食べ、良くしゃべり、
心もお腹も、満足満足！充たされました。
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