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2022年06月01日22:10

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大島渚映画_2

戦場のメリークリスマス
1983年度作 出演者は坂本龍一、ビートたけし、デビット・ボウイ、トムコンティ
戦争末期の日本軍の捕虜収容所における英軍捕虜たちと日本軍捕虜監督者たちとの葛藤。戦争映画なのに戦闘シーンが無い。

日本人の精神(考え方)と西洋人のの精神が合わず、さまざまな葛藤があるが、その中でローレンスとハラ軍曹(ビートたけし)の奇妙な友情というか関係と収容所長のヨノイ大尉(坂本龍一)とイギリス人捕虜セリアズ(デヴィッド・ボウイ)の関係という2組が物語を形作っている。
”生きて虜囚の辱めを受けず”という日本軍隊の精神性と西欧合理性の葛藤が悲劇を生み出す。

昔日本に住んでいたことがあって日本語が話せ、日本人を理解できるローレンスを通じて捕虜を統括しようとしているたたき上げの軍人であるハラ軍曹とローレンスの奇妙な関係。ハラはローレンスをよく殴るが、しかし二人はどこか理解しあっているようにも見える。
隠していた無線機が見つかった時、ヨノイは病人を含めた捕虜全員を広場に並ばせるがそのとき病人の捕虜が倒れて死んでしまう。捕虜隊長が非難して抗議する。ヨノイが隊長を切ろうとするときセリアズが進み出て間に入る。セリアズはヨノイを抱きしめキスをする。ヨノイはあまりのことに驚きその場に倒れてしまう。セリアズは穴に首まで埋められ処刑される。
(たぶんヨノイには以前からそのような感情があったことにそのとき気が付く。)
(ある朝鮮人兵士がイギリス人捕虜と関係したことがバレて朝鮮人兵士が切腹させられるが、介錯の兵士が失敗する。ハラ軍っ曹はその兵士を怒鳴りつけ自分が一刀のもとに介錯する。ハラは自分なりに朝鮮人兵士の家族が軍人恩給を受けられるように処置する。)

戦争が終わりヨノイは裁判で処刑され、ハラも処刑が決まっている。その処刑前夜に留置場へローレンスが訪ねてくる。ハラは留置されている間にすこし英語を覚えローレンスと英語で話す。二人は以前とは立場が逆になってしまっている。捕虜収容所時代は粗暴で傲慢だったハラは卑屈で恥ずかしそうな物言いに変わっている。昔話が終わりローレンスが帰ろうとするとハラが呼び止める。
ハラは”Merry Christmas, Mr. Lawrence”と言う。そのときのハラの顔は何かを訴えるようで切ない。

この映画はいろいろな解釈ができる。
 日本の価値観と西洋の価値観の葛藤。(捕虜にたいする西洋の考えをハラは理解できない。)
 ヨノイの同性愛的な感情。セリアズの弟との確執。
 ハラの粗暴だがどこか純粋な心情。
 
大島渚が戦争映画を作るとこのように敵でもなく味方でもなく、究極の場における人間を描くということだろう。

この映画の原題はハラが最後に言った言葉「Merry Christmas, Mr. Lawrence」である。


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